ホームシアターのスクリーンを交換しました
もう一ヶ月以上前の話になりますが・・・
ホームシアターのスクリーンを新調しました!

今回の記事は、その購入から設置に至るまでの個人的記録です。
【旧スクリーンの問題点】

以前まで使っていたスクリーンは、OSスクリーン社製:SEP-120LM-MRK2。
電動巻き上げ式/アスペクト比2.35:1(シネマスコープ)の120インチでした。
現在の家を建てたときに購入したものです。
生地はハイビジョンの反射特性を追い込んだという「ピュア・マットⅡEX WF203」(現在は生産終了)。
大阪のAVショップへ直接足を運び、自分の目でじっくり見て確かめたうえで決めました。
現在でもハイビジョン映像を見る限り画質面での不満は全く感じませんでしたし、4K映像でもモアレが出ることはなく全く不具合なく見られます。
そのため昨年春頃まではスクリーンの買い替えなど全く考えもしていませんでした。
しかし・・・私は気付いてしまったのです。
ロール式スクリーンが抱える致命的問題に!。

これはSEP-120LM-MRK2の上部巻き上げ部分です。
よく見るとスクリーンにシワが生じてうねうねと波打っていることが分かります。
これはスクリーン全体のテンションが不均一なことから起こる現象であり、構造上避けることは出来ません。
このシワが映写される映像に悪影響を及ぼします。
カメラが固定されたフィックス画面や激しい動きのシーンではほとんど気になりませんが、カメラがゆっくりパーン(横移動)する画面ではこのシワの部分の画がゆらゆらと揺らいで見えるのです。
特に映像がシンプルなアニメでははっきり分かります。
このことに気付いた瞬間から、私はこのシワが気になって気になって仕方がなくなってしまいました。

ロールスクリーン下部のアンダーバーには「テンションアジャスト機構」と呼ばれるしわ補正つまみが付いていて、これを回すことでスクリーンを引っ張ってシワを伸ばす仕組みになっていました。
しかし、下部のシワはこれでなんとか出来ても上部のシワまでは取れません。
画質面での不満は特に無かったのですが、この”シワ問題”がひどく気に障るようになってきたため思い切って買い替えることにしました。
【新しいスクリーンの選択】

新しく買ったのは、壁に固定して常設する「張り込み式」と呼ばれるタイプのスクリーンです。
張り込み式スクリーンは常に生地を上下左右均等に引っ張っている構造なので画面上にシワが生じることはありません。
メーカーは前の製品と同じOSスクリーン社です。
以前お世話になった同社の営業さんが非常に好印象だったことから今回もOSスクリーン製でいくことに決めました。

アスペクト比は以前のものと同じ2.35:1(シネマスコープ)です。
上部の収納ボックス部が無くなった分、スクリーンサイズそのものも120インチから130インチに大型化することが出来ました。
設置する壁の幅を考えると最大で140インチも夢ではなかったのですが、両サイドにメインスピーカーを置くスペースを空ける必要があったため130インチで手を打ちました。
フレームも含めた全体の横幅は約3240mm。
設置する壁の横幅が3600mmなので、そこから左右スピーカー設置分を差し引くとこれがこの部屋に設置出来る最大サイズになります。
正味の画面サイズは、幅:3038mm x 縦:1293mm。
ハイビジョン画面を映す場合は幅:2299mm x 縦:1293mmとなり、16:9換算では104インチに相当します。

また、フレーム部分はベロア仕上げのフロッキー加工(黒)になっていて、余計な光を反射しない作りになっています。

そして、最も重要な生地には4K対応の「ピュアマットⅢ Cinema(WF302)」を選択しました。
12年前に買った前のスクリーン(「ピュアマットⅡ」)は2Kフルハイビジョン用でありながら4K-HDR映像も問題無く楽しめておりましたので、シワの問題さえなければ買い替えはもっと先になっていたと思います。

生地については、メーカーからピュアマットⅢ(WF302)と更に上のグレードの「レイロドール(HF102)」の2種類のサンプルを送ってもらって比較検討しました。

ピュアマットⅢ(WF302)は従来のピュアマットⅡをより明るくしたグレードアップ版で、従来のブルーレイやBS放送を映す限りでは私の愛機:DLA-X990Rとの相性はとても良いと感じました。
一方のレイロドール(HF102)ですが、こちらはどうやらHDR映像に特化した生地らしく非HDR映像を映写した場合は不自然に明るすぎました。
普段私が見る映像ソースはBlu-rayやWOWOWなど非HDR素材のほうが圧倒的に多いので、今回は「ピュアマットⅢ Cinema(WF302)」を選択しました。
HDR映像を映写するときは若干暗くなってしまいますが、X990Rのレンズアパーチャー(モードごとに基本明度をプリ設定する機能)を使ってHDRモードの時は自動的に明るさが上がるよう設定します。
また、張り込み式スクリーンは後から生地のみを購入して張り替えることが可能(ОS担当者談)とのことなので、将来的にはスクリーン買い替えではなくレイロドール生地への張り替えで済むかも知れません。
【購入】
発注したのは実はずいぶん前で、昨年の夏頃でした。
カタログには16:9タイプの製品しか載っていなかったため、まずはOSさんに直接電話してシネスコタイプが欲しいことを伝えました。
以前は16:9とシネスコの両タイプともカタログに載っていましたが、シネスコスクリーンは需要が少ないためか現在は特注扱いになっています。
発注そのものはOSスクリーン社HP内の<カスタムメイドスクリーン>ページから出来ますが、細かなオプション等については担当者と直接電話でやり取りしながら決定していきました。
安い買い物ではないので何度も連絡させていただきましたが、担当者の対応は”ある一点を除いて”(これについては最後に述べることにします)非常に迅速・丁寧で、以前の営業さんと同じく好印象を受けました。

発注して約2週間後に商品が届きました。
気になるお値段は税込み33万円です。
もう一度書きます。
税込み33万円です。
ただし、昨今あらゆる物の値段が値上がりされているようにホームシアタースクリーンも例外ではないようです。
最近ネットで知り合ったホームシアター仲間の話によると、現在は10万円近くも高くなっているとのことでした。
「値上げし過ぎじゃないか?」とも思いましたが、半年前は120円だったペットボトルの水が今は140円になっていることを思うと、この値上げ幅もある程度致し方ないのかも知れません。
偶然とはいえ、早めに決断していてラッキーでした。
それと、私の場合は最初にOSスクリーンに電話で問い合わせたときちょっとしたトラブルがあって、逆にそのおかげで大幅に値引きしてくれた可能性もあります。
「現在おたくのピュアマットⅡを愛用している者だが・・・」と話を切り出したのですが、応対した女の子がまだ新人だったらしく商品の事を何も分かっていなくてトンチンカンなことばかり言うのでついカッとなって「もういい!。他のメーカーにする!。」と電話を切ってしまったのです。
その後すぐに上司らしき人から折り返し電話があって、かなり上の立場の人が直接応対してくれることになりました。
それで大幅に値引きしてくれていたのかも知れません。
購入資金は、毎月2万円(実入りが少ない月は1万円でも可)を専用の口座に積み立てている「AV機器専用基金」から捻出しました。
2019年春にAVアンプを買い替えたり4Kチューナー内蔵レコーダーやアナログレコードプレーヤーなどを買って全額使い果たしてしまった時期もありましたが(汗)、あれからまた地道に貯金し続けたことで33万円のスクリーンを一括キャッシュで買えるまでに貯まっておりました。

型番はPA-130L-02_WF302です。
”PA”は同社の張り込み式スクリーンを指し、”130”はスクリーンサイズ(インチ)、”L”はシネスコアスペクトを意味します。
そして最後の"WF302"がスクリーン生地です。
先に述べたようにシネスコスクリーンは同社のホームページやカタログには載っていません。
私のためだけのオンリーワン製品みたいでちょっといい気分です(笑)。

設置は業者には頼まず自分で行うことにしました。
メーカーに設置費用を訊いてみたところ「製品代とは別に工事費約10万円が必要」と言われたため、即座に「自分でやります」と答えてしまいました(笑)。
前の電動スクリーンのときは棒状のケース部を壁に取り付けるだけだったので、最初だけ片方の端を妻に支えてもらった以外は基本的に私一人で取り付け出来たからです。
しかし、今回はなかなか設置作業に取りかかれないまま実に半年近くも廊下の隅に置き放し状態になっていました。
今度のスクリーンは最終的に横3.3メートル/縦1.3メートルもある巨大なレフ版みたいな形状となり、しかも最後には総重量20キロ近くあるそのスクリーン本体を壁に取り付けるという大仕事があるからです。
二人同時に作業を行わなければならない部分が多く、しかも後半はデリケートなスクリーン生地がむき出しのまま壁に取り付けるという難しい力仕事部分もあるため、妻とのコンビではスクリーンを傷つけてしまう恐れがありました。
どう考えても、もう一人男手が必要です。
このため、購入から半年間ずっと組立作業に取りかかれずにいたのです。

ようやく取付けに踏み切ったのは昨年末です。
帰省していた大学生の甥っ子(妹の息子)をアルバイトに雇いました。
バイト代は日給5,000円。
「たぶん5時間もあれば出来るだろう」と踏んで時給1,000円X5時間という目安で決めました。
本人もお年玉代わりのバイトの申し出を喜んでくれて、最後まで手を抜かず真面目に仕事してくれました。
【設置作業】

まずは前のスクリーンを撤去します。
スクリーンを収納してワイヤレスリモコン受信パーツを取り外します。

スクリーン周辺のスピーカー類を一時撤去し、脚立を二つ用意して壁から本体を取り外しました。
(この作業は二人がかりで行ったため作業中の写真は撮っていません)
ちなみに右上の光は心霊現象ではありません(笑)。
この部屋はホームシアター専用部屋なので、迷光対策として壁紙・カーテン・天井を全て黒を基調にしています。
そのため撮影するのがとても難しく、強めに当てた照明がものの見事に写り込んでしまったのです。

購入から半年もの時を経て、いよいよ新スクリーンを開梱です!。
4辺の枠組金具、接続プレート、スクリーン生地取付用バネ、その他必要なネジ類が入っています。

そして最も重要なスクリーン生地。
ロール状になっていて金属パーツとは別に厳重に梱包されていました。
これを取り付けるのはフレーム組み立ての後なので、最初はこのまま安全な場所に退避させておきます。
買ったばかりのスクリーンに傷でも付けたりしたら大変ですからね。

まずは長方形のフレームの組立です。
向きなどを間違えないよう確認しながら仮置きします。

そして四隅を金属プレートで繋ぎ合わせていきます。
このときフレーム全体の形が歪んでしまうと綺麗なシネマスコープ画面にならないので要注意!。
最初は軽くネジ止めして、最後に歪みがないか確認しながら本締めします。

フレーム組み立ては完了しました。
次はいよいよスクリーン生地の取り付けです。

表面に傷を付けないよう細心の注意を払いながら作業開始です。
甥には冗談で「もしスクリーンの表面に傷をつけたらバイト代は無しだぞ」と言ったんですが、あとで甥に聞いたら「あの時の伯父さんは目が笑っていなかったよ」と言われてしまいました(汗)。

生地はフレームの裏側から取り付けます。
この時二人一組でそれぞれ反対側から均等に引っ張りながら取り付けていく必要があります。
(そのためこの作業中の写真は撮っていません)
ここが今回の第一関門でした。
このために甥っ子をバイトで雇ったのですが、彼は飲み込みが早くて作業は思ったよりスムーズに進みました。

生地の取り付け部分はこんな感じです。
上下11箇所、左右7箇所で均等に生地を張り込んでいきます。
(迂闊にも全部を張り終えた全体写真を撮り忘れてしまいました)

続いて壁に固定用金具を取り付けます。
ちなみに、この取り付け作業しているおっさんが私です。
頭頂部がちょっと薄い気もしますがどうか見なかったことにしてやってください(笑)。

二人がかりで金具に本体を取り付け、ネジで軽く仮止めします。
(取り付けは二人がかりで行ったため作業中の写真はありません)
仮止めにしたのは、このあと位置と角度を細かく追い込んでいく必要があるためです。

このような水平基準器をスクリーン中央部に置いて傾きを確認しながら固定していきました。

さらにプロジェクター内蔵のクロスハッチ映像を映写して最終確認。
せっかく新しいスクリーンを買ったのに画面が傾いていては意味がありませんからね。

最後に下部のプレートも取り付けて、全部のネジをしっかり固定します。
完成~!

もちろん、今まで気になって仕方なかったシワなんか全くありません。
完璧や!
・・・と、思いきや?。

ありゃ?。
ここまできて上下のプレートの向きを間違えていたことに初めて気が付きました。
本来このプレートはスクリーンの裏側に隠れるべきものであって表から見えてはいけないのです。
しまったぁ~~~~!
この瞬間「やり直し?」という言葉が脳裏をよぎりました。
しかし、この時位置と角度に関してはこれ以上考えられないくらい完璧に仕上がっていたのです。
付け直すことによって角度が狂ってしまうリスクを冒すより、少々見栄えが悪くてもこのまま使うことに決めました。
作業にかかった時間はおよそ3時間半。
甥っ子にとってはお得なバイトとなりました(笑)。
【プロジェクター側の設定変更】

映写の前にプロジェクターの設定を変更します。
X990Rだけでなくビクターのプロジェクターには様々な種類のスクリーンに最適化するための設定値が記憶されています。
その数値をビクターのホームページで確認し、以前のピュアマットⅡ用の数値「95」から今回のピュアマットⅢ用の「108」に書き換えます。
使い込んでいくうちに細かな画質設定の必要が出てくるかも知れませんが、今のところこのままの状態で満足して使っています。
【初映写!】

いよいよ実際の映像を使ってテストします。
まずは16:9サイズから。
新スクリーン最初の上映作品はアニメ『ルパン三世 カリオストロの城』。
かつてLD、DVD、ブルーレイ、UHD-BDと最新フォーマット版が出るたび買い直し続けてきた私のフェイバリット作品の一つであると同時に画質判定の基準ソフトの一つでもあります。
そして、前に使っていたスクリーンに歪みがあることに気付いたのは外ならぬこの『カリオストロの城』を観ていたときでした。

映画冒頭のこの場面で、窓の外をゆっくり横切る雲や木々がウネウネと揺らいで見えたことでスクリーンのシワ問題に気付いたのです。
もちろん、今度の張り込み式スクリーンではシワによる揺らぎなど一切無く、画面全体が安定して見えています。

次は、甥が「これを大画面で見てみたい」と言って持ってきたレンタルBD『トップガン:マーヴェリック』を視聴しました。

ただし、『トップガン:マーヴェリック』のBDはシネスコとIMAXの2つのアスペクトが混在しているというシネスコスクリーン使いにとってはかなり難儀な仕様になっています。
そのため、X990Rのマスク機能で上下をトリミングして全編シネスコサイズに統一することにしました。

さすがに全編通して見る時間は無かったため、戦闘機が飛ぶシーン(オープニング/訓練/マーヴェリックの模範飛行/クライマックスの作戦実行)だけをチョイスしながら見ましたが、真っ平&真新しいスクリーンとドルビーアトモス立体音響で私も甥も十分堪能しておりました。
大満足!。
33万円も出した甲斐がありました。

我が愛機:DLA-X990Rも隣のニッパー君も新しい相棒との出会いを喜んでいるようです(笑)。
【仕上げ】

その後、数週間かけてスクリーン周辺を少しづつ整備していきました。
まず、間違えて露出させてしまったプレート部分に周囲と同じ壁紙を貼って目隠ししました。
ネジの部分が盛り上がっている以外は全く気になりません。
更にスクリーンの中央部に赤い▼マークを貼りました。
これはズーム機能やレンズシフト機能で映写位置を変えたあと元に戻すときの目安用です。

また、電動ボックス部が無くなったことで大きく空いたスクリーン上部のスペースには空箱や予備機材など小物を置くための棚を設置しました。
棚板の下部には無反射素材の黒紙(ハイミロン)を貼ったので映写した光が乱反射することはありません。
【スクリーンメーカーに物申す!】

取り外した電動120インチスクリーンは、現在のところ新しく買った130インチスクリーンの箱に入れて保管しています。
今回OSスクリーンさんの対応で唯一気に入らなかったのは、新しいスクリーンを買っても旧製品を下取りしてくれないことです。
これってかなり重要な問題なのですよ。
壊れて使えなくなったわけでもないのに、前の製品を下取りはおろか引き取り処分もしてくれないのです。
最初にこの話を聞いたときには「売りっ放しかよ!」と思わず電話口で怒鳴ってしまいました。
これはメーカー自身が自分たちの首を絞めていることに他ならないと思うのですがね。
私が次にスクリーンを買い替えるとき(10年後くらい?)にはその点が改善されていることを期待してます。<OSさん。
<(_ _)>
個人的な趣味の話(しかも長文)にお付き合いいただきありがとうございました。