週刊映画鑑賞記(2021.10/4~2021.10/10)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。
右耳の不調はまだ続いております。
それでも多少は聴覚が復活してきていることと、見たい映画を我慢し続けるのも限界にきているので、今週はどうしても見たかった2本の4K放送映画を見ることにしました。
2本ともオーディオ帯域はあまり広くなさそうな日本映画です。
10/6(水)
『日本のいちばん長い日』(4Kリマスター)
(ホームシアター:日本映画4Kチャンネル録画)

先々週の土曜日(9/18)に4K日本映画+時代劇チャンネルで放送されたピュア4K放送版です。
実は、中耳炎にかかったばかりの時「古いモノラル音声だから多分大丈夫だろう」と見始めてみたのですけど、やはり酷い耳鳴りと耳が詰まったような突発性難聴状態のため気持ちが悪くなってしまい、タイトルが出る前に中断してしまいました。
今週に入って耳鳴りもかなり収まってきたため、この日じっくり腰を据えて見ることにしました。

『日本のいちばん長い日』の4Kリマスター版は、2年前にも劇場(「午前十時の映画祭FINAL」)で見ています。
今回放送に使われた4K映像のマスターは「午前十時~」のときと同じものと思われます。

いつもはこの黒沢年雄さん演じる畑中少佐の暑苦しさばかりネタにしていましたが(笑)、今回はこの人が全く関わっていないある場面に思わず食いついてしまいました。

その場面とは、昭和天皇が読み上げる「終戦詔勅」をNHKの録音技師たちがレコード盤に記録するシーンです。
このときNHKの技術者は皇居に録音機材を持ち込み、天皇陛下の声を直接録音盤に刻んでいます。
これはリアルタイムカッティングと呼ばれる方法で、一般的な一度テープに録音したものをレコード化するものではなく、その場の音を直接レコードの原盤に刻み込むという作り方です。
一度録音するやり方に較べて製造工程が省略出来る分早く作れますし、(理屈では)音質面においても有利になります。
しかし、直接リアルタイムに記録作業するわけですから、レベル調整や傷・ホコリの付着によるノイズ混入など作業中は一瞬たりとも気が抜けないはずです。
しかも相手は天皇陛下。
さらにその内容は日本の将来に大きく関わる重大なものなので、絶対に失敗は許されない仕事です。

録音班は複数同時作業しているのでスペアはあります。
しかし!。
もし万が一、彼ら全員がカッティングに失敗したとしたら・・・?。
その時は畏れ多くも天皇陛下に対して「テイク2」をお願いすることになってしまいます。
そんなこと、音声のプロである彼らには・・・いや、それ以前に当時の一般国民からは口が裂けても言い出せるはずありません。
彼ら技術者たちの心労たるや察するに余るものがありますね。

ところで、今回どうして私はレコードの録音シーンに目が止まったのか?。
その理由は、私が昨年およそ30年ぶりにアナログレコードプレーヤーを買ったからに他なりません。
レコード盤に直接針を落として音楽を聴く。
埃や微傷が付いていたら、それがプチッとノイズとなって聴こえてくる。
再生前には埃を吹き払い、盤を片付けるときにももう一度付いた埃や指紋を清掃する。
こんな面倒臭くもどこか楽しい作業(儀式と呼ぶべきか)を毎月1回はやるようになったため、ついついレコード盤作りの場面に目が止まってしまったのであります。
そういえば、レコード盤をカッティングする場面がある映画って『日本のいちばん長い日』以外に見た覚えがありません。
他に何かあったかな?。
10/7(木)
『ゴジラvsビオランテ』(4Kリマスター)
(ホームシアター:日本映画4Kチャンネル録画)

4Kリマスター化により、市販ブルーレイを遥かに凌ぐ高画質で蘇った『ゴジラvsビオランテ』。
3月から日本映画専門チャンネルが放映してきた「ゴジラ最恐画質」シリーズも今回でひとまず終了です。
『vsビオランテ』は終盤夜のシーンが多いことと、水しぶきや光の演出を効果的に使っている作品なので、4K化による恩恵も非常に大きかったように思います。

子供たちが見た夢を描いた絵を一斉に見せる場面。
その全てがゴジラの絵!。
何度見てもこの場面はゾクッとさせられますね。
4Kリマスターのおかげか、一枚一枚の絵のクレヨンのタッチまで伝わってきます。

でも、こうして見ると私が自分で描いたプロフィール画像(アバター)と大して変わりないような・・・?。
私がこの絵を描いたのは確か4年前の5月。
当時私は53歳・・・う~む。

実は私、平成VSシリーズはあまり評価していない人間なのですが、この『ゴジラvsビオランテ』だけは例外です。
まず、なんといってもストーリーの根幹部分が秀逸なのです。
原案は「ゴジラストーリー原案コンテスト」公募作品5025本の中から選ばれた小林晋一郎氏のアイデアによるもので、ミサイルなどの物理攻撃ではなくゴジラの細胞から作った薬物兵器「抗核バクテリア」でゴジラうを封じるというもの。
そして、その抗核バクテリアもまた核兵器に代わって世界に災いをもたらす可能性があるという、初代『ゴジラ』のオキシジェン・デストロイヤーにも通じる存在なのです。
私も大学時代「ゴジラストーリー原案コンテスト」に応募してみた者の一人ですが、そんな私としては嫉妬を感じてしまうほどの素晴らしいアイデアです。

4K高画質で女優さんが滅茶苦茶綺麗に見えるので幸せな気分になれます(笑)。
特に大河内明日香役のスーちゃんこと田中好子さん!。
実はスーちゃんは特撮映画がかなりお好きだったとか。
中でも『モスラ』がお気に入りで、'92年の『ゴジラvsモスラ』出演は自ら志願してのものだったそうです。
特撮映画好きな私としては彼女のそんなところにもシンパシーを感じてしまいます。

実は私、中学時代は本気(マジ)のキャンディーズファンで、推しはスーちゃん一筋だったのですよ。
周囲にはランちゃん派とミキちゃん派が多く、中には「あんな太ったのどこがいいんだ?」などとご本人に対して失礼極まりないこと言う奴もいたのですけど、私はスーちゃんの朗らかな笑顔とコントも照れずにやり切る役者根性が大好きだったのです。
キャンディーズ解散後、女優さんとして才能を発揮していく彼女を見て「ほら見てみい、やっぱスーちゃんが一番才能あったんや。」と自分の選択眼に酔いしれたりしてました(笑)。

彼女がお亡くなりになって今年でちょうど10年・・・。
日本映画界は本当に惜しい女優さんを亡くしました。

女優さんといえば、『vsビオランテ』には無名時代の鈴木京香さんがスーパーX2のオペレーター役で出演しています。
鈴木さんは特撮映画では『ゼブラーマン』で妖艶なコスチュームを披露(ただし主人公の妄想シーン)してくれたりもしましたが、怪獣映画には他の出演作はないようです。
(その代わり・・・と言うのも何ですが、鈴木さんが現在お付き合いされているという長谷川博己さんが『シン・ゴジラ』の主演を務めてました。)
いつの日か再び日本でゴジラの新作映画が作られるとき、是非もう一度ご出演願いたい女優さんのお一人です。

あと、私がこの作品を好きな大きな理由の一つに「中盤の舞台が大阪である」ことが挙げられます。
なぜならば、私は大学進学から約18年大阪に住んでいて、福井にUターンした今でも付き合いのある友人が多いのです。
だから「大阪は第2の故郷」と思っているくらいなのですよ。
「ゴジラは南港沖を大阪市内に向けて進行中」というセリフを聞いてもすぐに「ああ、インテックス大阪があったあそこか!」と即座にイメージすることが可能です。
これが東京が舞台だと、いくら具体的な地名が出てきてもその街のイメージも位置関係も分からないためまるでピンと来ません。
でも、大阪ならば地名と場所のイメージは一致しますし、位置関係もしっかり頭に入っているのでストーリーが頭の中で有機的に繋がって面白さが倍増します。

しかも大阪における戦いの舞台は京橋近辺ビジネスパークなのです。
実は『ビオランテ』公開当時、私はここに移転してきたばかりのよみうりテレビにアルバイトスタッフとして毎日のように出入りしていました。
また、パナソニック・ツインビル内のスタジオにもよく行きましたし、大阪城ホールには仕事とプライベートの両方で何度もお世話になっていました。
そんな親しみ深い街がゴジラによって破壊されるのを見るのは、怪獣映画好きな者として格別なものです。

そして、『ゴジラvsビオランテ』は我が福井県が舞台となる唯一のゴジラ作品でもあるのです。
ラストは高浜原発の原子炉に向かうゴジラと、それを食い止めようとする自衛隊との戦い、そこにビオランテが加わって・・・という展開です。

残念ながら福井ロケは行われなかったようですが、それでもこの映画のクライマックスが福井県が舞台であることと、最後にゴジラが去っていく海が福井の若狭湾であることだけは間違いないことです。
そして・・・

奇しくも、『ゴジラvsビオランテ』4Kリマスター版が放送されたこの日(10/7)、本作の音楽を担当されたすぎやまこういち先生の訃報が入りました。
小1のとき、「ごはんよ!」とどれだけ親に呼ばれようとも頑としてTVの前から離れなかった『帰ってきたウルトラマン』の主題歌。
高校生時代の私に強烈なトラウマを与えた『伝説巨神イデオン』(特に劇場版『発動篇』)
そして、ゴジラ音楽として伊福部昭先生の楽曲にも決してひけをとらなかった『ゴジラvsビオランテ』。
映画では伊福部昭先生の楽曲と混ぜこぜで使用されていて、「伊福部音楽の使用は嬉しいけど、それはすぎやま先生に対して失礼ではないのか?」と思ったくらいでした。
80年代のエネルギーが詰まった怪獣映画音楽だったと思っています。

公開当時買ったサントラCDは今もこうして大事に持っています。
すぎやま先生、数々の素晴らしい曲をありがとうございました。
忘れません。
■10/4(月)
『ウルトラQ』第28話「あけてくれ!」
(ホームシアター:BS4K録画)

放映順では最終回(ただし本放送では放映)という扱いになっていますが、実は初期の段階から準備されていた作品で制作順では4作目に当たります。
円谷一監督はシナリオライターの金城哲夫氏から『マンモスフラワー』や『変身』などいくつか脚本を見せられたときも「いいね~」としか言わなかったのが、この「あけてくれ!」だけは見た瞬間「これは自分が監督する!」と目の色を変えたのだそうです。
(円谷監督が食いついたのが自分が書いたシナリオではなかった金城氏の心中はいかばかりだったか・・・)
ところで、私は先々週あたりから『ウルトラQ』を制作順に並べて考察する楽しみを覚えました。
その視点から今回は一平のことを考えながら見ておりました。

事実上の最終回「あけてくれ!」(制作第6話)では冒頭2カットしか出番が無く、しかも目の前で由利ちゃんを万城目先輩にお持ち帰りされてしまう哀れな一平くん。
いつも先輩の陰に隠れてしまっていた彼は、すっかり非モテ男というイメージが定着しているように思います。
でも、制作順に彼の姿を追ってみるとそれはちょっと違う気もするのですよ。

制作第1話「マンモスフラワー」にはみっちゃんと呼ばれる一平のガールフレンド(由利子が務める新聞社の社員)が登場してました。
初期設定では一平は意外にリア充な奴だったのかも知れませんね(笑)。
しかも、この回では巨大植物に襲われた彼女を助けてしっかり見せ場も用意されています。
でも、残念ながらみっちゃんはその後ぱったり姿を見せなくなってしまいました。
彼女はこの事件のせいで東京が嫌になって田舎に帰ってしまったのかも?。

制作3話「悪魔ッ子」では、一の谷博士が作った超科学メカの操作係を担当。
機械に強くて、一の谷博士の信頼も厚いことが伺えます。

「あけてくれ!」と同時進行で作られた「宇宙からの贈り物」では、拾った金の玉(怪獣の卵)をペンダント化して由利子にプレゼントして気を引こうとしますが、熱でペンダントが巨大化したため拾い物だとバレて嫌われてしまいます。

そして今回の先輩と由利子のあまりといえばあまりな仕打ち・・・(笑)。

でも、やっぱり一平はいい奴なのですよ。
由利子が1/8計画に巻き込まれたとき、由利子が死んだと思い込んだ一平は彼女の遺影に「実は先輩は君のことを心から・・・」と優しく語りかけてました。
この時彼は、二人の仲を認めて自分は身を引いていたに違いありません。
(ただし、この話は由利子の夢オチとされてるためあの言葉も一平の本心とは違うかも知れませんが・・・)

でも一平はめげません。
異次元断層に落ち込んだ超音速旅客機206便にたまたま乗り合わせていた一平は、負傷したパイロットに代わって万城目先輩とともに206便を操縦することに!。
このとき、綺麗なスチュワーデスさんが一平に熱い視線を送っていたりなんかします。
(余談ですが、私はいまだにスチュワーデスをCA(しーえー)とは呼べない昭和脳男であります)

さらにバルンガ事件のときは、身を挺して由利子を庇い瀕死の重傷を負いました。
でも、残念ながら由利ちゃんがこのことを機に一平に心が傾くことは一切無かったみたいです。

そして最後に制作されたエピソード『地底超特急西へ』(他に『ガラモンの逆襲』が最後とされる説もあり)では、派手にやらかしてしまいます。
一平が間違えて人工生命M1号を地底超特急イナズマ号に持ち込んだせいで(しかも密航!)、80億7千万円もする車両と福岡駅施設を完全破壊せざるを得なくなる大事故が発生。
A級戦犯の一平は当然クビになったことでしょうすが、高額な損害賠償を払えるはずもない星川航空もあえなく倒産。
一平はその後SF小説家となった万城目淳の秘書兼運転手となった・・・とか?。
こういう見方も結構面白い気がします。
猛烈に『ウルトラQ』全話を制作順で見返したくなってきました。
・・・って、何回見たら気が済むんだ?<自分。
【今週のトピック】
先週右耳の難聴チェックに使った周波数別チェック動画を今朝もう一度ヘッドホンで聴いてみました。
その結果、先週に較べるとかなり元の状態に戻りつつあるようです(喜)。

先週の時点では右耳では全く聴こえなかった7000Hzの音が、今朝は(左耳よりは弱目ながらも)ちゃんと聴こえるようになってました。
毎日食後に大量の薬を(辟易しながらも)きちんと飲み続けた効果が出ているみたいです。
この調子なら、来週あたり映画館に行って最新映画を楽しむことも出来そうな気がします(素人考えですが)。

まずは『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』。
この夏オープンしたばかりのイオンシネマ白山のウルティラ大画面+ドルビーシネマで観たいなあ。

あと『宇宙戦艦ヤマト2205』も。
個人的に前作『2202』があまりにもクソ過ぎたのでこのシリーズはもう観ないつもりだったのですけど、冒頭14分公開動画を観たら思いの外良さげな感じだったので、小学生時代から続けてきた『ヤマト』ファンの血が騒いでしまいました(笑)。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。