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映画と日常

『ガルム・ウォーズ』

トガジンです。

今年5月に劇場公開された作品ですが、残念ながら福井県ではどこも上映してくれませんでした。
本日、宅配ネットレンタルで届いたDVDでの鑑賞です。

ガルム・ウォーズ』🈠
(ホームシアター:レンタルDVD)
ガルムウォーズ

押井守監督の実写映画は鬼門であると分かっていながらもついつい観てしまいます。
『うる星やつら』時代からのファンですから仕方ありませんけどね。

<あらすじ>
戦いの星・アンヌン。
ここには創造主ダナンがつくったクローン戦士ガルムと彼らから神聖視される犬グラと鳥が生息している。
ガルムはたとえ命を落としても、その個体の記憶をクローンの脳に転写することで幾世代も生き延びることができる。
ダナンが星を去った後、星の覇権をめぐって3部族の抗争が続いていた。
ある日、空の部族・コルンバの女性飛行士カラは、陸の部族・ブリガの兵士スケリグとの戦闘の最中、情報操作に長けた部族・クムタクの老人ウィドと出会う。
「我々は何処から来て何処へ行くのか?」
ウィドの不可思議な問いによって敵同士である彼らの間に奇妙な連帯が生じ、3人は「ガルムの真実」を探る旅に出る。
しかし、それは神の怒りに触れる行為だった・・・。


かつて総製作費80億円とまでいわれ、あのジェームズ・キャメロン監督も参加するはずだった幻の企画『ガルム戦記』。
コストがかかりすぎるということで1999年に一度は製作凍結されたものの、押井監督の執念で完成させたのが本作です。
とはいえ、今回の製作費は20億円ということですから大幅スケールダウンさせられたことは確かでしょう。

2年ほど前にWOWOWで、この作品のメイキング番組である『ノンフィクションW さらば愛する日本よ~密着・押井守の世界挑戦800日~』が放映されました。
そこには、予算とスケジュールの制限によって当初の構想から大幅にコンテを削除・変更するのに苦労している押井監督の姿が映し出されていました。
そうして完成した『ガルム・ウォーズ』の出来はいかなるものだったのでしょうか?。

結論から申し上げるなら、押井守監督の実写作品としてはマシなほうではあります。
しかし、いかんせん予算が無いために安っぽい作りを隠し通すことが出来ていません。

舞台が荒野と浜辺と森の中しかなく、その移動の合間における状況説明も全てナレーションで処理されていました。
序盤の戦闘以外に躍動感のあるシーンはほとんど無く、まるで舞台のような会話劇ばかりが延々続きます。
まるでテレビシリーズのダイジェストのような構成です。

オープニング映像は『攻殻機動隊』そのものでしたし、終盤の巨神兵みたいなロボットを止める方法は『劇場版・機動警察パトレイバー2』における移動砲台ロボット戦と同じ「陽動の隙にケーブルを切る」というものでした。
非常に言いにくいのですが、新しいものが何も見られず「抜け殻のような作品」でした。
思えば、昨年の『パトレイバー首都決戦』も過去作のアニメ『パトレイバー2』の焼き直しでした。

『うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー』
『劇場版・機動警察パトレイバー』シリーズ
『攻殻機動隊』と『イノセンス』
『天使のたまご』
『立食師列伝』。

押井守監督はこれまで、過剰なほどのサービス精神と中二病をこじらせるに十分なイマジネーションを持ってアニメーション映画をけん引してきた人物です。
しかしその実写作品においては、アニメ作品ほどの良作は何一つありません。
自主製作映画が陥りがちな内輪受けに走ったり、アニメの演出技法を無理矢理適用しようとして破綻させりしてました。

昨今では、片淵須直・細田守・原恵一・神山健治・新房昭之・新海誠などといった新世代のアニメ監督が台頭してきています。
宮崎駿監督も長編復帰に意欲を見せ始めました。
そろそろ押井監督もアニメに軸足を戻していただきたいです。
ただそれだけです。


最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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