週刊映画鑑賞記(2021.12/13~2021.12/19)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。
今週は「東映金田一耕助まつり」でした(笑)。

先週の日曜から4日連続で、東映チャンネルで『獄門島(1949)』『三つ首塔(1956)』『悪魔の手毬唄(1961)』『悪魔が来りて笛を吹く(1979)』の4作品が放送されました。
先日日本映画専門チャンネルで放映された4K修復版『犬神家の一族』の余韻がまだ残っていて、この際石坂浩二以外の金田一耕助も見てみようという気になっていたのです。
ちなみに4作品とも今回が初鑑賞です。
12/13(月)
『獄門島 総集篇』🈠
(ホームシアター:東映チャンネル録画)

この映画では「獄門島」と書いて「ごくもんじま」と読みます。
今回放映されたタイトルは「総集篇」と銘打ってますが、元々は総尺170分もの大長編を前後篇に分けて公開したものを100分くらいに再編集したものです。
そのため全体にカット繋ぎがかなり雑なのが気になりますが、それでも推理ものに不可欠な登場人物の紹介は冒頭でしっかり出来ているので見ていて特に不都合は感じません。
この点は流石”日本映画の父”マキノ省三の息子:松田定次監督といったところです。
ただ、この映画はオチが原作と全く違うものになっていました。(市川崑監督版とも違う)
しかも、物語の中枢ともいえる家主:鬼頭嘉右衛門役を千恵蔵が二役で演じています。
この二役の必要性は最後まで分からずじまいでした。

昭和初期の映画スタア:片岡千恵蔵が演じる金田一耕助には前から興味がありました。
スーツ姿の金田一というのは、ヨレヨレの着物姿の石坂浩二版を見慣れた目にはかえって新鮮に映ります。
ただし、謎解きの面白さはほとんどありません。
何をどう推理してその結論に至ったかを一切描かれないまま、千恵蔵が一方的に真相を語るのみです。
あくまでも大スタア:片岡千恵蔵の独演会を楽しむべき映画になっています。
しかも、この金田一は自分の探偵事務所を構えていて助手まで雇っています。

千恵蔵版金田一シリーズのオリジナルキャラクター:助手の白川静子女史がかなり有能で、しかもどエライ別嬪さんなのです。
作品ごとに女優さんが変わるらしく、今作は喜多川千鶴さんという方でした。
初登場作品の『本陣殺人事件』(映画版タイトルは『三本指の男』)』では原節子さんが演じていたそうです。
元々は『本陣殺人事件』に登場する被害者の友人でしたが、東映映画では以降の金田一作品にも継続して登場します。
新憲法により女性の参政権や男女平等が定められたばかりの頃の作品なので、映画でも男と対等に活躍する女性キャラクターを登場させたものと思われます。
12/14(火)
『三つ首塔』🈠
(ホームシアター:東映チャンネル録画)

昭和31年に公開された片岡千恵蔵版金田一シリーズ最終作です。
この頃になるともう金田一耕助とは名ばかりで、銃撃戦や格闘が見せ場となるアクションものになっていました。

そればかりか、謎解きシーンではなぜか住職に変装して関係者全員を欺きます。
この変装ってどう考えても必然性が無い気がするんですけど・・・(笑)。

そして遠山の金さんよろしくバッと衣を脱ぎ捨てて正体を現し、まるで最初から事情を知っていたかのように事件のあらましを語って聞かせてくれます。
千恵蔵センセイ、当時掛け持ちしていた『多羅尾伴内』シリーズとごっちゃになってませんか?

今回の白木静子役は高千穂ひづるさんという当時の売れっ子女優でした。
美人だな~。
本作の金田一がスーパーマン過ぎるためか、地道に捜査する白木女史のほうがよっぽど印象に残りました。

美人といえば、若き日の中原ひとみさんの可愛いことといったら!。
子供の頃、歯磨き粉のCMに家族全員で出ておられたのを思い出しました。

千恵蔵版金田一のフィルムはあと2本現存しているそうなので、いずれその2本も放送してくれないかと期待してます。
12/16(木)
『悪魔の手毬唄』🈠
(ホームシアター:東映チャンネル録画)

まさかの高倉健=金田一耕助!。
数年前に日本映画専門chで放送されたことがありましたが、その時はうっかり録り逃しておりました。
「衛星放送だからそのうち再放送するだろう」と思っていたもののなぜかその後二度と放送されることはなく、そのためずっと「見てみたい」と思っていたのです。
あの時の放送は健さんが亡くなった時の特集企画だったのかも知れません。

しかし、その健さん版金田一を観られる日が遂にきたのであります。
スポーツカーをブイブイ乗り回し、上から目線とキザなセリフ回しで周囲の人たちをイラッとさせる・・・。
金田一耕助というよりどちらかといえばシャーロック・ホームズみたいな探偵像でした。
健さんといえば「忍耐の人」というイメージが強いですがその面影は微塵もありません(笑)。

ちょっと驚いたのは、千恵蔵版のレギュラーキャラだった白木静子助手がこの健さん版にも登場したことです。
(今作の白木女史役は北原しげみさん)
どうやら千恵蔵版の設定をそのまま踏襲しているのかも知れません。

健さんは後年のインタビューでこの作品への出演を「覚えていない」と語っていたそうです。
千恵蔵さんの代役みたいなものなので記憶に残っていなかったのかも知れません。
12/17(金)
『悪魔が来りて笛を吹く』🈠
(ホームシアター:東映チャンネル録画)

今回が初鑑賞です。
劇場ではもちろん、今までビデオや放送でも一度も見ていません。
その理由は・・・
当時、さっそく見てきた叔父がサラッと漏らしたこのひと言でした。
「ボンが犯人やったわ。」
ミステリー映画で犯人をネタバレされたら、もう見ようという気にはなれません(笑)。
その後レンタルビデオなどで見る機会はいくらでもありましたが、このネタバレ事件が尾を引いて手を出し損ねてました。

西田敏行さんは、ちょうどこの頃『西遊記』(シーズン1)の猪八戒役として日本中で親しまれていた頃でした。
人の好さとか包容力では歴代ナンバー1で、彼が画面に出てくるとなんだかホッとします。

自分の血筋に起因する汚れた過去に気付いてしまった美禰子に対し、「わかってますから」とそれ以上言わせない優しさ。
そんな気遣いを自然に出来る金田一は西田さんならではのものでした。
しかしその半面、他の俳優が演じた金田一に比べると頭脳明晰な印象は薄いのは事実です。
シナリオが悪いのか、あるいは必要な部分をカットしてしまったのかは分かりませんが、とにかく登場人物の紹介が不十分なままストーリーを走らせてしまうため、今何が問題であるのかがまるで分かりません。
そのため、金田一が間抜けに見えてしまうのだと思います。
この作品を見たことで、市川崑監督x石坂浩二主演の金田一シリーズがいかに優れた作品だったかが改めて分かった気がします。

宮内淳さんは当時まだボンボン刑事役で『太陽にほえろ!』にレギュラー出演中だったはずです。
よほど熱血刑事のイメージから脱却したかったのか、この初出演映画では正反対の役(連続殺人犯役)を演じています。

しかも犯人役だけでなく、大胆な濡れ場にも挑んでいます。
当時は劇場内で宮内ファンの女性たちが悲鳴を上げたんじゃないでしょうか。

相手役は元『赤ひげ』(1965年)の子役:二木てるみさん。
実の兄とは知らずに愛し合い、子供まで身籠ってしまった幸薄い女の役です。
人物関係をもっときちんと描けていたら、彼女の悲劇性と同時に(実は妹である)美禰子への思いやりも伝わったんじゃないかと残念です。
ちなみにこの映画のすぐ後、西田さんと二木さんはアニメ『がんばれタブチくん』で共演(声の出演)しています。

しかし、最大の見どころというか奇麗どころは椿秌子を演じた鰐淵晴子さんでしょう。。
美禰子の母親であり、亭主以外に主治医や実の兄とも交わっていた色情魔の役です。
この淫乱女が全ての元凶でした。

鰐淵晴子さん、子役時代はこんなに可愛らしかったのに・・・。
そういえばTV版『八つ墓村』でも妖しい美魔女の美也子役を演じてました。

当時こういう汚れ役を立て続けに引き受けていたのはお嬢様女優から脱却したかったからなのか、あるいは余程お金に困っていたからなのか?。
もし私が公開当時にこの映画を見ていたら、中学2年でいきなり近親相姦のドロ沼世界を目の当たりにしてしまうところでした。
まあ、それ以前に金田一が猪八戒に犯人がボンボン刑事に重なって物語に入り込めなかったかも知れませんが(笑)。
【備えよ!】
この冬の北陸地方、どうやら大雪になりそうだとの予報が・・・。
一瞬4年前の悪夢が頭をよぎります。

タイヤは1週間前に替えました。

車にはスコップとスノーワイパーはもちろん、4年前からはタイヤチェーンも積んでます。
4年前の大雪のとき国道8号線で1500台以上の渋滞が起きたことを受けて、一定以上の降雪があった場合は国道や高速道路の規定区間でチェーン装着が義務付けられるようになりました。
主要な幹線道路にはご丁寧にチェーン装着スペースが整備されています。
今後福井の冬道では、チェーンを積んでいなければ国道も高速道路も通してもらえなくなる場合もあるのです。

準備万端整えた翌日、北陸地方はさっそくの雪景色!。
ちなみに今朝の通勤路(農道)はこんな感じでした。
この程度ならチェーンは不要ですが、それでもアイスバーンやハイドロプレーニングでスリップする可能性は十分あります。
今日の職場は40分位で行ける距離でしたが、こんな日は倍の1時間半前に家を出ることにします。
あ~あ、早く春にならないかなあ。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。