見たか、君は? 『マジンガーZ』
CATEGORYアニメ:マ行
トガジンです。

東映チャンネルで昨年春から週2話ずつ放映していた『マジンガーZ』再放送が先日最終回を迎えました。
幼少の頃、毎週欠かさず夢中になって観ていたロボットアニメです。
今度の再放送は毎週録画していて、全話とはいきませんでしたが新キャラ・新メカ登場などといった主要な回はしっかり見ておりました。
そこで今回は、少年時代の思い出を軸にTVアニメ『マジンガーZ』について語らせていただきます。
オープニング&エンディング

オープニングは出撃から機械獣軍団5体を撃破するまでを描く「マジンガー無双」。
「小型機で巨大ロボット本体にドッキングして自分の思うがままに操縦する」というコンセプトに、小二男子のハートは鷲掴みされてしまいました。
次々と繰り出される必殺武器も子供心を掻き立てます。
目から破壊ビーム!。
胸からは一瞬で敵を溶かしてしまう熱線!。

特に血沸き肉踊ったのは、肘から先をロケット噴射で飛ばして敵にぶつけるロケットパンチ!。
放送開始からわずか1分で私は『マジンガーZ』の虜になっておりました。

音楽担当は、今も現役でご活躍中の渡辺宙明先生。
だだんだんだだんだん~と盛り上がっていくイントロは、57歳の現在の私を7歳の頃の気分にぐいっと引き戻してくれました。
当時の私は作曲家の名前など全く知らなかったものの、重量感とカッコ良さを合わせ持つマジンガーの音楽には何か特別なものを感じておりました。
「3つ子の魂百まで」とか申しますが、宙明先生のサウンドが幼い私の魂を大きく揺さぶったことは間違いありません。

今でも見るたび胸がワクワクするエンディングの内部透視図。
これ、実は当時(昭和47年)のトレンドを踏まえたものだったんじゃないかと考えています。

エンディングを見たとき、ちょうど同じ頃放映されていた『人造人間キカイダー』を思い出しました。
あの深みのあるストーリー設定と奇抜なデザインは子供心にもかなり衝撃的だったと思います。
そういえば、『マジンガーZ』も『人造人間キカイダー』も今年で誕生50周年なのですね。(*´꒳`*ノノ゙パチパチ~
しかも『キカイダー』の音楽も渡辺宙明先生が担当されています。
妙な関連性を感じますね。

かつて大ヒットした男の子向けおもちゃ、変身サイボーグを覚えているご同輩は多いんじゃないでしょうか。
透明ボディの中部にメカが詰まったサイボーグ素体に仮面ライダーやウルトラマンなどの服を着せて「変身」させるというもので、言ってしまえば男の子版リカちゃん人形です(笑)。
実はこのオモチャが発売されたのは『マジンガーZ』『人造人間キカイダー』と同じ昭和47年なのです。
しかも『キカイダー』の放映開始とほぼ同時期(7月)でした。
つまり、昭和47年の子供向けサブカルチャーは透け透けがトレンドだったのです(笑)。

もちろん、マジンガーZにもキカイダーにも変身出来ました。
あと、電人ザボーガーからストロング・ザボーガーにバージョンアップしたときなども服だけで対応出来ますから、とてもリーズナブルなオモチャだったと思います。
オープニングとエンディングに思いのほか字数を使ってしまった・・・(汗)。
ここから本編の話です。
第1話「驚異のロボット誕生」
第2話「ストップ ザ あしゅら軍団」

見ていてまず思ったことは「めちゃくちゃ画質がいい!」ということです。
まるでセル画を直接見ているかのようでした。
これは東映のフィルム保存状態が良いことに加え、『マジンガーZ』が35ミリフィルムで制作されていたことが大きいです。
後続の『グレートマジンガー』『グレンダイザー』『ゲッターロボ』などは全て16ミリなので、それらが仮に4Kリマスター化されたとしても今回の『マジンガーZ』のような高画質は期待出来ません。

『マジンガーZ』といえば、大ボスのドクター・ヘルより幹部のあしゅら男爵のほうがインパクトが強いです。
右半分は女性で左は男性。
右側だけ映るときは女性の声で喋り、左側のときは男性の声。
そして正面を向いたときは男女でハモります。
「下半身は一体どうなってるんだろう?」と子供ながらに興味深々でありました(笑)。

『マジンガーZ』ファースト・エピソードは2話連続でした。
1話であの有名な「神にも悪魔にもなれる」の名セリフが登場。
兜甲児が操縦に不慣れなため暴走状態に陥りますが、その場面では『ゴジラ』『大魔神』の作曲家:伊福部昭氏の楽曲が使用されています。
使われたのは東映動画『わんぱく王子の大蛇退治』の曲です。
第1話を演出した芹川有吾さんは『わんぱく王子の大蛇退治』の監督を務めた方でした。
そのため巨大なマジンガーZが動くシーンに伊福部先生の音楽を使うことにしたのではないでしょうか。
もちろん、渡辺宙明先生に失礼のないよう了解を得たうえでのことだと思います・・・多分。

『マジンガーZ』には番組全体を総括するチーフディレクター(総監督)という役職は存在しません。
しかし東映動画では第1話の演出方針が全話に渡って維持されることが多いため、第1話の演出を担当した芹川さんがチーフディレクターに相当すると考えています。
第3話「マジンガーZ 消滅作戦」

3話目で早くもボスと子分たちが登場。
アニメといえどもやはり東映作品ですね。
最初は甲児に因縁つける形で登場しますが、最後は殴り合いで友情してました(笑)。
今回初めて気が付いたのですが、ボスの子分って最初はヌケとムチャ以外にあと2人いたのですね。
あと、ヌケとムチャが意外に運動神経が良いのにも驚きました(笑)。

『マジンガーZ』といえば「ロケットパンチ!」「光子力ビーム!」といちいち武器名を叫ぶ兜甲児(石丸博也さん)の声が印象的です。
『機動戦士ガンダム』が登場するまでは全てのロボットアニメのお約束だった「武器名コール」ですが、『マジンガーZ』も最初の数回分では武器の名前は一切叫んでいません。
ロボットアニメには「いちいち武器名を叫ぶのは音声入力のためである」という裏設定がありますが、初めてマジンガーに乗った甲児は武器の名称を知らないためいちいち手動操作するしかなかったようです。
しかし、最初のころの試行錯誤な感じが乗り物としてのマジンガーZのリアリティを高めていたようにも思います。

さらに、この回から甲児のパイロットスーツが登場。
全高18メートルのロボットの頭の上に乗って戦うのですからヘルメットとシートベルトは絶対必要でしょう。
ていうか、3話までよく生きてたなと思います(笑)。

このあとジェットスクランダーが登場するまでは、ドクター・ヘルとあしゅら男爵が機械獣で攻めてきてそれをマジンガーが撃退するというパターンの繰り返しです。
さすがの私も飽きてしまって、あとは重要と思える回だけをチョイスして見ることにしました。
その選択基準は主に新キャラや新メカの登場回とかレギュラーキャラの退場(死亡)回などといったものですが、ミネルバXやラインX1(シローの恋愛話)など変化球的な回もチェックしています
もちろん、お色気が多い回も見逃しません(笑)。
第34話「紅い稲妻 空とぶマジンガー」

ジェット・スクランダー登場回。
ここまで数回に渡って空を飛べないマジンガーZの苦戦を描き、この34話でジェットスクランダーが登場します。
そして、この2本の放送(昭和48年7月15日と22日)と同時期に劇場公開されたのがこちら↓の映画です。

『マジンガーZ対デビルマン』(7月18日公開)です。
同じ永井豪先生の『デビルマン』とのコラボレーション作品であると同時に、新兵器ジェットスクランダーのお披露目作品でもありました。
実はこの『マジンガーZ対デビルマン』こがそ日本初のマルチユニバース作品ではないかと思っています。
第38話「謎のロボット ミネルバX」

兜十蔵博士が遺した設計図から作られたマジンガーZの兄妹機:ミネルバXの回。
マジンガーを見てメソメソ涙を流すミネルバに、マジンガーも彼女(?)の膝にひざまくら。
それを見て嫉妬するアフロダイA・・・じゃなくて弓さやか。
なんかもう自分が何見てるのかわからなくなりました(笑)。
『ウルトラマン』の実相寺昭雄監督作みたいな変化球的な回かと思ったら、なんと担当はチーフディレクターの芹川さんでした。
これが久しぶりのマジンガー演出で、(良い意味で)肩の力が抜けてる感じがします。
第40話「悪魔の支配者 ブロッケン伯爵」

新しい敵幹部:ブロッケン伯爵が登場。
小学生には喋る生首と首のない胴体の組み合わせが怖かった記憶があります。
デザインは、あしゅら男爵が人間を縦切りだったので今度は横切りにしてみたとのことです。
さすがは永井豪先生!。
第48話「ボスロボット 戦闘開始!!」

ジャンジャジャーン!。
ボスボロット登場回。
ボス一味が3博士を誘拐して密かに作らせた自分たちのロボットです。
その事情を知らない甲児と弓教授は「ドクターヘルの新機械獣か?」とマジンガーを出撃させ、あしゅら男爵は(ライバルの)ブロッケン伯爵のロボットと勘違いし、ブロッケンもまたあしゅらのロボットと思い込むという3すくみ状態に陥ります。

同じ構図でボロットの映像を見る弓教授とあしゅら男爵。
このカットバックには大笑いしました。
演出はミネルバXの回と同じ芹川有吾さん。
なんかノリノリで作ってるのが伝わってきます。。
第52話「甲児ピンチ!さやかマジンガー出動!」

『マジンガーZ』で一番のお色気回ですが、実はこれも芹川チーフディレクターの担当回だったりします。
この頃は同じ原作者による『キューティー・ハニー』が始まっていました。
『マジンガーZ』も男の子のリビドーを刺激するような絵作りを意識していたのかも知れません。

さやかの戦闘服が見えそで見えないミニスカスタイルに変わったのも『キューティー・ハニー』の影響でしょうか?。
それとも『ガッチャマン』の白鳥ジュンへの対抗心?。
現実には絶対あり得ない戦闘スタイルですが、ロボットアニメにおける女子のミニスカ戦闘服は一つの伝統となり、その後『コンバトラーV』『ボルテスV』へと受け継がれていきます。
昭和49年1月放送分からは毎週のように新兵器&新キャラクターが怒涛のように続々登場します。
第59話「前戦基地 地獄城!!」・・・アイアンカッター登場
第60話「マジンガーZ 秘密兵器発射!!」・・・ドリルミサイル登場
第61話「宿命のロボット ラインXの歌」・・・シローの悲恋話
第64話「女007対ブロッケン殺人鬼」・・・みさとさん登場
第68話「地獄の用心棒 ゴーゴン大公」・・・ゴーゴン大公登場
第69話「空中溶解!ホバーパイルダー」・・・ホバーパイルダー破壊される
第70話「不死身の指揮官 兜甲児‼」・・・主役ロボットが出動しない(出来ない)という当時としては珍しい話
第71話「危機突破!!新パイルダーGO!!」・・・ジェットパイルダー登場
第72話「必殺!!大車輪ロケットパンチ」・・・両腕をぐるぐる回してロケットパンチを勢いづけただけですが・・・
第73話「誘拐されたマジンガーZ」・・・サザンクロスナイフ(スクランダーの翼から出す手裏剣)登場
第74話「壮烈!!アフロダイAの最後!!」・・・1話以来のパートナーロボット:アフロダイAの最期
第76話「世紀の恋人 ダイアナンA!」・・・さやかの新しいロボット:ダイアナンA登場
第78話「あしゅら男爵 太平洋に散る!!」・・・あしゅら男爵死す
第79話「マジンガー 爆発1秒前!!」・・・もりもり博士死亡
第83話「初見参!!妖怪参謀ピグマン子爵!!」・・・ピグマン子爵登場
第87話「爆死!!恐怖のピグマン子爵!!」・・・ピグマン子爵死す(早っ)

これらは放送開始から約1年経ったことへのテコ入れかと思われます。
特にホバーパイルダーからジェットパイルダーへの交代は、昭和49年春から始まった同じ永井豪先生原作の『ゲッターロボ』との差別化だったのだろうと思っています。
例えば、ゲッターマシンが3機ともロケットノズルで空を飛ぶのに対し、プロペラ機のホバーパイルダーでは見劣りするからジェット推進機に変えよう・・・とか?。

『マジンガーZ』はオモチャも画期的なものが多かったです。
特に全高60センチのジャンボマシンダーと、小さいながらもアルミダイキャスト製でずっしり重い超合金の二つは大変な人気でした。
私はどちらも買ってもらえなかったですが、超合金についてはとても嫌な思い出が残っています。
マジンガーZの超合金を買ってもらったクラスメートが学校に持ってきて自慢していたのですが、給食の後とつぜん盗難騒ぎになって男子全員が疑われたのです。
結局犯人は分からずじまいでしたが、品物はいつの間にか本人の手元に返ってきたとのことでした。
おそらくどこかに置き忘れたのを「盗まれた!」と騒ぎたてただけだろうと思っていますが、本人は何も語らずその後転校してしまったため真実は今も闇の中です。

昭和49年7月の「東映まんがまつり」で、最終回の内容を先出しした映画が公開されました。
『マジンガーZ対暗黒大将軍』です。
私は当時映画館で観ましたが、憧れのマジンガーZがボロボロになって敗北する様(さま)を見せつけられてかなりのショックを受けました。
それでも、劇場版ではZとグレート・マジンガーの共闘がちゃんと描かれていて、最後もマジンガーZに花を持たせる終わり方になっていましたからグレートに嫌味を感じるようなことはなかったです。
第92話「デスマッチ!!甦れ我等のマジンガーZ!!」(最終回)

しかし、TV版の最終回ではマジンガーZは最後までやられっぱなしです。
そして、甲児が気絶したあとにグレートマジンガーが現れて2体の敵戦闘獣を余裕で倒して去っていきます。
これでは、マジンガーZがグレート・マジンガー登場のための咬ませ犬にしか見えないではありませんか!。

グレートの印象も劇場版のときとは大きく変わってしまい、「最後にちょろっと出てきて美味しいとこだけ持って行きやがって!」と嫌な気分にさせられました。
そうした反感から、翌週から始まった『グレート・マジンガー』はほとんど見なかったです。

この感覚は、好きだった『帰ってきたウルトラマン』が次の『ウルトラマンA』でやられ役にされてるのを見て無性に腹が立ったときと同じものです。

永井豪先生の回顧録漫画『激マン!』によると、グレート・マジンガーへの交代は新しいオモチャを売りたいスポンサーと番組の長期化による視聴率低下を恐れるTV局の思惑によるものだったようです。
そんないきさつが原因なのかどうか分かりませんが、永井豪先生は漫画版『グレート・マジンガー』未完結のまま『グレンダイザー』に移行していますし、メイン脚本家の藤川桂介さんは「剣鉄也は主人公として面白みが無い」と『グレート・マジンガー』に批判的だったそうです。
『マジンガーZ』最終回と同時にロボットアニメから心離れた私ですが、実はマジンガーとゲッターからは別の形で離れられずにおりました。

「冒険王」や「少年サンデー」で連載されていた漫画版『グレート・マジンガー』『グレンダイザー』『ゲッターロボ』がとてつもなく面白くて夢中になって読んでいたのです。

特に桜多吾作先生の描いた『グレート・マジンガー』は、後半でそれまで守ってきた人々に裏切られながらも孤独に敵と戦い続けるという想定外の展開になっていきます。
これは77年以降ロボットアニメで過激な展開を数多く描いた富野喜幸監督作品より数年前の作品です。
しかも、『マジンガーZ』から『グレンダイザー』まではミケーネ帝国を軸とした一本の縦軸が通っています。
小学高学年になった私はただの勧善懲悪ものでは飽き足らなくなっていて、こうした大人社会のエッセンスが加わったものに強く惹かれるようになっていたのです。
桜多先生の『マジンガー』シリーズと石川賢先生の『ゲッターロボ』についてもいつか記事にしたいと考えています。
いつになるかは分かりませんが(汗)乞うご期待!。

『マジンガーZ』が、今の私を形成している要素の一つであることは間違いない事実です。
還暦目前のおっさんに少年の日の心トキメキを呼び起こさせてくれた東映チャンネルさんに心から感謝します。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!。

東映チャンネルで昨年春から週2話ずつ放映していた『マジンガーZ』再放送が先日最終回を迎えました。
幼少の頃、毎週欠かさず夢中になって観ていたロボットアニメです。
今度の再放送は毎週録画していて、全話とはいきませんでしたが新キャラ・新メカ登場などといった主要な回はしっかり見ておりました。
そこで今回は、少年時代の思い出を軸にTVアニメ『マジンガーZ』について語らせていただきます。
オープニング&エンディング

オープニングは出撃から機械獣軍団5体を撃破するまでを描く「マジンガー無双」。
「小型機で巨大ロボット本体にドッキングして自分の思うがままに操縦する」というコンセプトに、小二男子のハートは鷲掴みされてしまいました。
次々と繰り出される必殺武器も子供心を掻き立てます。
目から破壊ビーム!。
胸からは一瞬で敵を溶かしてしまう熱線!。

特に血沸き肉踊ったのは、肘から先をロケット噴射で飛ばして敵にぶつけるロケットパンチ!。
放送開始からわずか1分で私は『マジンガーZ』の虜になっておりました。

音楽担当は、今も現役でご活躍中の渡辺宙明先生。
だだんだんだだんだん~と盛り上がっていくイントロは、57歳の現在の私を7歳の頃の気分にぐいっと引き戻してくれました。
当時の私は作曲家の名前など全く知らなかったものの、重量感とカッコ良さを合わせ持つマジンガーの音楽には何か特別なものを感じておりました。
「3つ子の魂百まで」とか申しますが、宙明先生のサウンドが幼い私の魂を大きく揺さぶったことは間違いありません。

今でも見るたび胸がワクワクするエンディングの内部透視図。
これ、実は当時(昭和47年)のトレンドを踏まえたものだったんじゃないかと考えています。

エンディングを見たとき、ちょうど同じ頃放映されていた『人造人間キカイダー』を思い出しました。
あの深みのあるストーリー設定と奇抜なデザインは子供心にもかなり衝撃的だったと思います。
そういえば、『マジンガーZ』も『人造人間キカイダー』も今年で誕生50周年なのですね。(*´꒳`*ノノ゙パチパチ~
しかも『キカイダー』の音楽も渡辺宙明先生が担当されています。
妙な関連性を感じますね。

かつて大ヒットした男の子向けおもちゃ、変身サイボーグを覚えているご同輩は多いんじゃないでしょうか。
透明ボディの中部にメカが詰まったサイボーグ素体に仮面ライダーやウルトラマンなどの服を着せて「変身」させるというもので、言ってしまえば男の子版リカちゃん人形です(笑)。
実はこのオモチャが発売されたのは『マジンガーZ』『人造人間キカイダー』と同じ昭和47年なのです。
しかも『キカイダー』の放映開始とほぼ同時期(7月)でした。
つまり、昭和47年の子供向けサブカルチャーは透け透けがトレンドだったのです(笑)。

もちろん、マジンガーZにもキカイダーにも変身出来ました。
あと、電人ザボーガーからストロング・ザボーガーにバージョンアップしたときなども服だけで対応出来ますから、とてもリーズナブルなオモチャだったと思います。
オープニングとエンディングに思いのほか字数を使ってしまった・・・(汗)。
ここから本編の話です。
第1話「驚異のロボット誕生」
第2話「ストップ ザ あしゅら軍団」

見ていてまず思ったことは「めちゃくちゃ画質がいい!」ということです。
まるでセル画を直接見ているかのようでした。
これは東映のフィルム保存状態が良いことに加え、『マジンガーZ』が35ミリフィルムで制作されていたことが大きいです。
後続の『グレートマジンガー』『グレンダイザー』『ゲッターロボ』などは全て16ミリなので、それらが仮に4Kリマスター化されたとしても今回の『マジンガーZ』のような高画質は期待出来ません。

『マジンガーZ』といえば、大ボスのドクター・ヘルより幹部のあしゅら男爵のほうがインパクトが強いです。
右半分は女性で左は男性。
右側だけ映るときは女性の声で喋り、左側のときは男性の声。
そして正面を向いたときは男女でハモります。
「下半身は一体どうなってるんだろう?」と子供ながらに興味深々でありました(笑)。

『マジンガーZ』ファースト・エピソードは2話連続でした。
1話であの有名な「神にも悪魔にもなれる」の名セリフが登場。
兜甲児が操縦に不慣れなため暴走状態に陥りますが、その場面では『ゴジラ』『大魔神』の作曲家:伊福部昭氏の楽曲が使用されています。
使われたのは東映動画『わんぱく王子の大蛇退治』の曲です。
第1話を演出した芹川有吾さんは『わんぱく王子の大蛇退治』の監督を務めた方でした。
そのため巨大なマジンガーZが動くシーンに伊福部先生の音楽を使うことにしたのではないでしょうか。
もちろん、渡辺宙明先生に失礼のないよう了解を得たうえでのことだと思います・・・多分。

『マジンガーZ』には番組全体を総括するチーフディレクター(総監督)という役職は存在しません。
しかし東映動画では第1話の演出方針が全話に渡って維持されることが多いため、第1話の演出を担当した芹川さんがチーフディレクターに相当すると考えています。
第3話「マジンガーZ 消滅作戦」

3話目で早くもボスと子分たちが登場。
アニメといえどもやはり東映作品ですね。
最初は甲児に因縁つける形で登場しますが、最後は殴り合いで友情してました(笑)。
今回初めて気が付いたのですが、ボスの子分って最初はヌケとムチャ以外にあと2人いたのですね。
あと、ヌケとムチャが意外に運動神経が良いのにも驚きました(笑)。

『マジンガーZ』といえば「ロケットパンチ!」「光子力ビーム!」といちいち武器名を叫ぶ兜甲児(石丸博也さん)の声が印象的です。
『機動戦士ガンダム』が登場するまでは全てのロボットアニメのお約束だった「武器名コール」ですが、『マジンガーZ』も最初の数回分では武器の名前は一切叫んでいません。
ロボットアニメには「いちいち武器名を叫ぶのは音声入力のためである」という裏設定がありますが、初めてマジンガーに乗った甲児は武器の名称を知らないためいちいち手動操作するしかなかったようです。
しかし、最初のころの試行錯誤な感じが乗り物としてのマジンガーZのリアリティを高めていたようにも思います。

さらに、この回から甲児のパイロットスーツが登場。
全高18メートルのロボットの頭の上に乗って戦うのですからヘルメットとシートベルトは絶対必要でしょう。
ていうか、3話までよく生きてたなと思います(笑)。

このあとジェットスクランダーが登場するまでは、ドクター・ヘルとあしゅら男爵が機械獣で攻めてきてそれをマジンガーが撃退するというパターンの繰り返しです。
さすがの私も飽きてしまって、あとは重要と思える回だけをチョイスして見ることにしました。
その選択基準は主に新キャラや新メカの登場回とかレギュラーキャラの退場(死亡)回などといったものですが、ミネルバXやラインX1(シローの恋愛話)など変化球的な回もチェックしています
もちろん、お色気が多い回も見逃しません(笑)。
第34話「紅い稲妻 空とぶマジンガー」

ジェット・スクランダー登場回。
ここまで数回に渡って空を飛べないマジンガーZの苦戦を描き、この34話でジェットスクランダーが登場します。
そして、この2本の放送(昭和48年7月15日と22日)と同時期に劇場公開されたのがこちら↓の映画です。

『マジンガーZ対デビルマン』(7月18日公開)です。
同じ永井豪先生の『デビルマン』とのコラボレーション作品であると同時に、新兵器ジェットスクランダーのお披露目作品でもありました。
実はこの『マジンガーZ対デビルマン』こがそ日本初のマルチユニバース作品ではないかと思っています。
第38話「謎のロボット ミネルバX」

兜十蔵博士が遺した設計図から作られたマジンガーZの兄妹機:ミネルバXの回。
マジンガーを見てメソメソ涙を流すミネルバに、マジンガーも彼女(?)の膝にひざまくら。
それを見て嫉妬するアフロダイA・・・じゃなくて弓さやか。
なんかもう自分が何見てるのかわからなくなりました(笑)。
『ウルトラマン』の実相寺昭雄監督作みたいな変化球的な回かと思ったら、なんと担当はチーフディレクターの芹川さんでした。
これが久しぶりのマジンガー演出で、(良い意味で)肩の力が抜けてる感じがします。
第40話「悪魔の支配者 ブロッケン伯爵」

新しい敵幹部:ブロッケン伯爵が登場。
小学生には喋る生首と首のない胴体の組み合わせが怖かった記憶があります。
デザインは、あしゅら男爵が人間を縦切りだったので今度は横切りにしてみたとのことです。
さすがは永井豪先生!。
第48話「ボスロボット 戦闘開始!!」

ジャンジャジャーン!。
ボスボロット登場回。
ボス一味が3博士を誘拐して密かに作らせた自分たちのロボットです。
その事情を知らない甲児と弓教授は「ドクターヘルの新機械獣か?」とマジンガーを出撃させ、あしゅら男爵は(ライバルの)ブロッケン伯爵のロボットと勘違いし、ブロッケンもまたあしゅらのロボットと思い込むという3すくみ状態に陥ります。

同じ構図でボロットの映像を見る弓教授とあしゅら男爵。
このカットバックには大笑いしました。
演出はミネルバXの回と同じ芹川有吾さん。
なんかノリノリで作ってるのが伝わってきます。。
第52話「甲児ピンチ!さやかマジンガー出動!」

『マジンガーZ』で一番のお色気回ですが、実はこれも芹川チーフディレクターの担当回だったりします。
この頃は同じ原作者による『キューティー・ハニー』が始まっていました。
『マジンガーZ』も男の子のリビドーを刺激するような絵作りを意識していたのかも知れません。

さやかの戦闘服が見えそで見えないミニスカスタイルに変わったのも『キューティー・ハニー』の影響でしょうか?。
それとも『ガッチャマン』の白鳥ジュンへの対抗心?。
現実には絶対あり得ない戦闘スタイルですが、ロボットアニメにおける女子のミニスカ戦闘服は一つの伝統となり、その後『コンバトラーV』『ボルテスV』へと受け継がれていきます。
昭和49年1月放送分からは毎週のように新兵器&新キャラクターが怒涛のように続々登場します。
第59話「前戦基地 地獄城!!」・・・アイアンカッター登場
第60話「マジンガーZ 秘密兵器発射!!」・・・ドリルミサイル登場
第61話「宿命のロボット ラインXの歌」・・・シローの悲恋話
第64話「女007対ブロッケン殺人鬼」・・・みさとさん登場
第68話「地獄の用心棒 ゴーゴン大公」・・・ゴーゴン大公登場
第69話「空中溶解!ホバーパイルダー」・・・ホバーパイルダー破壊される
第70話「不死身の指揮官 兜甲児‼」・・・主役ロボットが出動しない(出来ない)という当時としては珍しい話
第71話「危機突破!!新パイルダーGO!!」・・・ジェットパイルダー登場
第72話「必殺!!大車輪ロケットパンチ」・・・両腕をぐるぐる回してロケットパンチを勢いづけただけですが・・・
第73話「誘拐されたマジンガーZ」・・・サザンクロスナイフ(スクランダーの翼から出す手裏剣)登場
第74話「壮烈!!アフロダイAの最後!!」・・・1話以来のパートナーロボット:アフロダイAの最期
第76話「世紀の恋人 ダイアナンA!」・・・さやかの新しいロボット:ダイアナンA登場
第78話「あしゅら男爵 太平洋に散る!!」・・・あしゅら男爵死す
第79話「マジンガー 爆発1秒前!!」・・・もりもり博士死亡
第83話「初見参!!妖怪参謀ピグマン子爵!!」・・・ピグマン子爵登場
第87話「爆死!!恐怖のピグマン子爵!!」・・・ピグマン子爵死す(早っ)

これらは放送開始から約1年経ったことへのテコ入れかと思われます。
特にホバーパイルダーからジェットパイルダーへの交代は、昭和49年春から始まった同じ永井豪先生原作の『ゲッターロボ』との差別化だったのだろうと思っています。
例えば、ゲッターマシンが3機ともロケットノズルで空を飛ぶのに対し、プロペラ機のホバーパイルダーでは見劣りするからジェット推進機に変えよう・・・とか?。

『マジンガーZ』はオモチャも画期的なものが多かったです。
特に全高60センチのジャンボマシンダーと、小さいながらもアルミダイキャスト製でずっしり重い超合金の二つは大変な人気でした。
私はどちらも買ってもらえなかったですが、超合金についてはとても嫌な思い出が残っています。
マジンガーZの超合金を買ってもらったクラスメートが学校に持ってきて自慢していたのですが、給食の後とつぜん盗難騒ぎになって男子全員が疑われたのです。
結局犯人は分からずじまいでしたが、品物はいつの間にか本人の手元に返ってきたとのことでした。
おそらくどこかに置き忘れたのを「盗まれた!」と騒ぎたてただけだろうと思っていますが、本人は何も語らずその後転校してしまったため真実は今も闇の中です。

昭和49年7月の「東映まんがまつり」で、最終回の内容を先出しした映画が公開されました。
『マジンガーZ対暗黒大将軍』です。
私は当時映画館で観ましたが、憧れのマジンガーZがボロボロになって敗北する様(さま)を見せつけられてかなりのショックを受けました。
それでも、劇場版ではZとグレート・マジンガーの共闘がちゃんと描かれていて、最後もマジンガーZに花を持たせる終わり方になっていましたからグレートに嫌味を感じるようなことはなかったです。
第92話「デスマッチ!!甦れ我等のマジンガーZ!!」(最終回)

しかし、TV版の最終回ではマジンガーZは最後までやられっぱなしです。
そして、甲児が気絶したあとにグレートマジンガーが現れて2体の敵戦闘獣を余裕で倒して去っていきます。
これでは、マジンガーZがグレート・マジンガー登場のための咬ませ犬にしか見えないではありませんか!。

グレートの印象も劇場版のときとは大きく変わってしまい、「最後にちょろっと出てきて美味しいとこだけ持って行きやがって!」と嫌な気分にさせられました。
そうした反感から、翌週から始まった『グレート・マジンガー』はほとんど見なかったです。

この感覚は、好きだった『帰ってきたウルトラマン』が次の『ウルトラマンA』でやられ役にされてるのを見て無性に腹が立ったときと同じものです。

永井豪先生の回顧録漫画『激マン!』によると、グレート・マジンガーへの交代は新しいオモチャを売りたいスポンサーと番組の長期化による視聴率低下を恐れるTV局の思惑によるものだったようです。
そんないきさつが原因なのかどうか分かりませんが、永井豪先生は漫画版『グレート・マジンガー』未完結のまま『グレンダイザー』に移行していますし、メイン脚本家の藤川桂介さんは「剣鉄也は主人公として面白みが無い」と『グレート・マジンガー』に批判的だったそうです。
『マジンガーZ』最終回と同時にロボットアニメから心離れた私ですが、実はマジンガーとゲッターからは別の形で離れられずにおりました。

「冒険王」や「少年サンデー」で連載されていた漫画版『グレート・マジンガー』『グレンダイザー』『ゲッターロボ』がとてつもなく面白くて夢中になって読んでいたのです。

特に桜多吾作先生の描いた『グレート・マジンガー』は、後半でそれまで守ってきた人々に裏切られながらも孤独に敵と戦い続けるという想定外の展開になっていきます。
これは77年以降ロボットアニメで過激な展開を数多く描いた富野喜幸監督作品より数年前の作品です。
しかも、『マジンガーZ』から『グレンダイザー』まではミケーネ帝国を軸とした一本の縦軸が通っています。
小学高学年になった私はただの勧善懲悪ものでは飽き足らなくなっていて、こうした大人社会のエッセンスが加わったものに強く惹かれるようになっていたのです。
桜多先生の『マジンガー』シリーズと石川賢先生の『ゲッターロボ』についてもいつか記事にしたいと考えています。
いつになるかは分かりませんが(汗)乞うご期待!。

『マジンガーZ』が、今の私を形成している要素の一つであることは間違いない事実です。
還暦目前のおっさんに少年の日の心トキメキを呼び起こさせてくれた東映チャンネルさんに心から感謝します。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!。
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