週刊映画鑑賞記(2022.2/21~2022.2/27)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

今週観たのは、こちらの「名作」と呼ばれるミュージカル映画1本です。
2/21(月)
『マイ・フェア・レディ』🈠
(ホームシアター:BS4K録画)

昨年末、日本版の舞台女優が亡くなられたことで一躍話題になった作品ですが、決してあの騒ぎが理由で見たわけではありません。

先日映画館で観たスピルバーグ版『ウェスト・サイド・ストーリー』が自分的にとても良かったことで、他のミュージカル映画の名作も観てみたくなったのです。
それで、『マイ・フェア・レディ』を以前BS4Kで録画したままずっとHDDの肥やしとなっていたことを思い出したのでした。

実は私、恥ずかしながら今回が初鑑賞です。
この映画を元ネタに作られた周防正行監督の『舞妓はレディ』は観たんですが・・・(#^.^#)。
初鑑賞ではありますが、歴史的名作ということでおおまかなストーリーは知っています。
また、有名な「踊り明かしたい」を歌うシーンや「ケツに火をつけろ!」のシーンはオードリーの特集番組かなにかで見たことがあります。
その競馬場や舞踏会のシーンの華やかさはオードリーならではの艶やかさ!。
衣装デザイナーはあのオードリー・ヘップバーンが主演とあって腕によりをかけて衣装作りに取り組んだそうです。

ただし、見ていて苦痛に感じる部分が少なくありません。
イライザに淑女教育を施すヒギンズ教授が「男尊女卑」と「身分差別意識」に満ちた実に鼻持ちならない嫌な男なのです。
彼はイライザをモノとしてしか見ておらず、彼女に対して出てくる言葉はパワハラ&セクハラ発言ばかり。
ラスト直前で急に態度を改めますが、どうしてイライザがこんな奴の元に舞い戻ったのか理解に苦しみます。

淑女となってからのイライザのセリフに意味深な一節がありました。
「今まではどんなに貧しくても体を売ることはしなかった。でもレディーなった今は体を売ることしかできない。」

たとえ「ベルギーの王女」と間違われるほどのエレガントさと社交性を身に着けても、イライザは決して上流階級の人間にはなれません。
イライザに恋するボンボンと結婚すれば一応上流家庭には入れるかも知れませんが、あの時代の差別社会においては姑から召使い扱いされるのは目に見えています。
それでいて、以前の貧乏人仲間のところにももう自分の居場所はありません。
つまり、この映画はイライザはあのサイコパスなヒギンズに従属し続けるしか道がないという構造になっているのです。

しかし、イライザには心強い味方がいました。
ヒギンズの母親です。
彼女は全ての事情を知ったうえでイライザを一人の聡明な女性として尊重してくれました。
あの母親の存在が、今後イライザを幸福へ導いてくれるだろう・・・と解釈させる作りになっています。
でも、それは他力本願的な考え方であって、物語的にはやはり主人公たちの行動によって納得いく結末にたどりついて欲しかったです。
実になんとも歯痒い映画で、もしこれがオードリー・ヘプバーン主演でなかったら途中で見るのをやめたかも知れません。

ところで、今作のオードリーの歌は全て他の歌手による吹き替えだそうです。
その歌手は『ウェスト・サイド物語』でもナタリー・ウッドの歌を吹き替えた人ですが、主演女優の歌が吹き替えであることは当時の映画界では極秘事項だったためその歌手の名前はクレジットされていません。
それにしても口パクが完全に合っているのが本当に凄いです。
オードリーもナタリーも撮影時は実際に自分で歌っていたわけですが、このゴースト歌手は先に撮影された女優の口の動きにピッタリ合わせ、なおかつ情感豊かに歌い上げてました。
凄い技量です。
こんなところに往時のハリウッド・ミュージカルの底辺の大きさを見た気がしました。
最後に映画とは全く関係ない話で恐縮ですが・・・
今、東欧が大変なことになってます。

恐ろシアの卑劣で一方的なやり方には心底怒りを覚えます。
でも、それと同じくらいに、何も行動を起こそうとしない西側諸国のウジウジした態度にも腹が立って仕方ありません。
ニュースで「ウクライナを見捨てないで!」と泣き崩れる女性を見ても彼らは何も感じないのでしょうか?。
それは我が国の為政者たちに対しても同じです。
もちろん、我が国は戦争行為を憲法で禁じていることくらい百も承知です。
ウクライナには勝ち目が無いことも、プーちんが核のボタンを押しかねないキ●ガイであることも理解してます。
それでも・・・。
「義を見て為ざるは勇なきなり!助太刀いたす!。」と刀を抜くサムライ魂を見せて欲しい!。
と、そんな夢想をしてしまうのですよ。
日本人にとっての「サムライ」とは、野球やサッカーのチーム名だけではないのですから。
そして。

この男に天罰を!
今週もお付き合いいただきありがとうございました。