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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2022.2/28~2022.3/5)

トガジンです。
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

『少女ポリーナと7つの迷宮』ポスター画像
今週観たのはこれ一本。
他愛もない子供向けのファンタジーですが・・・実はこれウクライナ映画です。



3/3(木)
『少女ポリーナと7つの迷宮』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)
『少女ポリーナと7つの迷宮』ポリーナ
劇場未公開作品。
今回のWOWOW放映が日本初公開です。

ただし、決して現在のロシアのウクライナ侵略に便乗して放映したものではありません。
(1ヶ月以上前から放映リストに挙がっていました)
私はSF・ファンタジー系映画はA級B級を問わず全て予約録画しておき、暇なときにまとめ見することが多いのですが、今作は製作国表示にウクライナの名前があることに気付き即見てみることにしました。


一人の少女が過酷な現実と空想世界を行き来し、何人ものイマジナリー・フレンドたちに後押しされながら成長を遂げていくジュブナイル・ファンタジーです。
ときにはTVゲーム的な画面作りも取り込んでいたりして、いかにも今どきの子供向け映画というイメージでした。

しかし、この子供向け映画にまるで現在のウクライナ情勢を予見していたかのような殺伐とした場面が出てきたのです。

『少女ポリーナと7つの迷宮』廃墟となった街
それはポリーナが最初に飛び込んだ空想世界の場面です。
戦争で荒廃し切った街の中を彷徨うポリーナ。

『少女ポリーナと7つの迷宮』痕跡
そこにはこの地を追われた・・・あるいは亡くなった人たちの生活の跡だけが残されていました。
殺傷シーンこそ出てきませんが、子供向けファンタジー映画でここまで人の死を感じさせる画作りをするものでしょうか。
後で出てくる中世時代のシーンはそれなりにカリカチュアライズした描き方だったのに、ここだけが異様にデティールを描き込んでいます。

『少女ポリーナと7つの迷宮』戦車
ぎゃりぎゃりと音を立てて進む戦車も、瓦礫の山となった街の風景も、まるで実際の戦争跡地で撮影してきたかのようです。

それもそのはず。
ウクライナでは2014年のクリミア危機の時にもロシアと軍事衝突があったばかりなのです。
8年前の戦争を目の当たりにしたスタッフが、この映画の戦争シーンにその記憶を封じ込めていたのかも知れません。

『少女ポリーナと7つの迷宮』ウクライナ夜景
現在私は、ウクライナへ理不尽な侵略戦争を仕掛けているロシアのプーチン大統領に対して激しい義憤にかられています。
でも・・・自分はどれくらいウクライナのことを知っているのでしょうか?。

恥ずかしながら白状します。
実は私、8年前クリミア危機のニュースを見るまではウクライナをロシアの一部と勘違いしておりました。
(あのチェブノイリ原発があることと旧ソ連=ロシアという思い込みによるものです)

『少女ポリーナと7つの迷宮』映画スタジオ
また、映画好きとしては外国のことを映画を通じて知ることが多いのですが、そういえばウクライナ映画って見た覚えがありません。
ただ、映画産業そのものは盛んらしく、東欧の国(しかもロシアの隣)でありながら西欧諸国の映画のロケがウクライナで行われることが多いそうです。
1970年の名作『ひまわり』の広大なひまわり畑のシーンもこの地で撮影が行われたとのことです。
(ひまわりはウクライナの国花)

つまり映画を通じてアメリカやヨーロッパ諸国から外貨が入ってきていたのですね。
ロシアの隣国でありながら西欧諸国寄りになるのも無理からぬ話です。

『少女ポリーナと7つの迷宮』ウクライナの街
この映画に映っていたウクライナの街並みはすでにロシア軍によって破壊されてしまっているのでしょうか?。

『少女ポリーナと7つの迷宮』仲間
そして出演された子役さんや俳優さんたち、そして制作スタッフは今どうしているのでしょう?。
ただただ「全員無事でいて欲しい」と願うばかりです。




確定申告期限まであと9日。
現在、一年分の領収書やレシートの山と格闘中であります。
令和3年確定申告
毎年この時期が来るたび「月ごとでもいいから帳簿をつけとけばよかった・・・」と後悔します。
成長しませんね~。
なんだか夏休み最終日に必死で宿題を片付けた小学生の頃を思い出します(笑)。


今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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COMMENTS

4 Comments

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ゾンビマン  

毎度です。

私もプーチンという独裁者だけは絶対に許せないです。
今はそれでなくてもコロナ禍で世界が力を合わせてウィルスと戦っていたとき。
私も外国のことには疎いですが、どんな理由があっても、軍事力で攻めたらアウトです。ウクライナの人々を救いに行けない各国の対応にもイライラします。
いよいよ日本もヤバいんちゃいますか?

2022/03/06 (Sun) 23:37 | EDIT | REPLY |   

へろん  

飛び込んだ空想世界で繰り広げられる戦争の光景、って私の敬愛する小松左京先生の小説にも同様のモチーフがいくつかあるのを思い出しました。小松先生も第二次世界大戦を経験しておられ、その影響が強く出ています。その到達した境地が「なぜ過去を変えてはいけないのか?」であり、悲惨な歴史を変えられるものなら変えても良いのではないか、というのは深く共感しています。現実には(今のところ)過去を変える手段が無いので、変えるなら未来しかない。どう変えるかは難しいところですが、良い方向へ変える模索は続けたいものです。

『ひまわり』の舞台はウクライナでしたか! 名作と言われる割にはまだ未熟な頃に観てよく分からなかった、のですが、今観るとまた違った気持ちになるんでしょうね。

2022/03/07 (Mon) 07:26 | EDIT | REPLY |   

トガジン  

ゾンビマンさん、コメントありがとうございます。

>各国の対応にもイライラ

迂闊に手を出すと本当に週末戦争になってしまうため仕方ないといえば仕方ないですが・・・。

肝心のNATO諸国がああも役立たずではウクライナの人たちが気の毒過ぎますね。
いくら経済制裁を強めても「勝てばどうとでもできる」と思ってるプーチンを抑えられるとは思いません。
ましてや、ウクライナ国旗色のライトアップとか自国内での反戦デモなんか何の助けにもならないです。

映画的発想では国籍不明の特殊部隊を送り込んで非道な独裁者を始末する・・・みたいな展開を期待したいところです。

あと、今回の事態に便乗して「自分なら上手く状況を収められた」と現アメリカ政府を誹謗して自分の売名行為に利用していたトランプや、侵攻そのものではなくパラリンピック期間に戦争を始めたことにだけ批難したバッハにも虫唾が走りました。

>日本もヤバい

このままプーチンの暴挙を許してしまったら、中国と北朝鮮も「あいつら核をちらつかせれば何も出来ないやんけ」と動き始めるかも知れませんね。
中国はまず台湾を、そして尖閣諸島を力づくで奪いにかかるでしょうし、その先にはアメリカとの同盟国である日本もターゲットになり得ます。
その場合の日本は今のウクライナと似た立場になりますから。

2022/03/07 (Mon) 22:10 | EDIT | REPLY |   
トガジン

トガジン  

へろんさん、コメントありがとうございます。

私が好きな怪獣映画でも、監督やプロデューサーに戦争体験があるかないかで被災者の見せ方がまるで違うんですよね。

『少女ポリーナと7つの迷宮』は2019年制作の映画です。
前の戦役からわずか5年後の作品というわけですから、戦争で踏み躙られた街の描写が過剰にリアルになるのも納得がいきます。

『ひまわり』はイタリア・ソ連・フランス・アメリカの4国合作映画でした。
当時のウクライナはソ連の一部でしたからあの広大なひまわり畑のラストシーンが撮れたのです。
1970年といえば冷戦時代のはずなのに、アメリカとソ連が同じ映画作りに参加していたのは実は凄いことだと思います。

2022/03/07 (Mon) 22:34 | EDIT | REPLY |   

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