週刊映画鑑賞記(2022.3/7~2022.3/13)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

今週観たのはこの3本。
新旧『ナイル殺人事件』の見比べはなかなか興味深かったです。
3/7(月)
『ナイル殺人事件』🈠
(劇場:福井コロナシネマワールド)

原作は超有名なミステリー小説で過去にも映画化されてますからオチを知っている人も多いかと思います。

今回はエルキュール・ポアロがあのようなサイコパス人間になった理由も描かれていて、それがストーリーの縦筋に加えられています。
『ナイル殺人事件』のトリックはすでに有名ですから、今までとは違った視点が必要と考えたのでしょう。

今どきの映画らしく、LGBTや黒人キャラクターを大勢割り込ませています。
でも、これらは『ナイル殺人事件』に必要な要素とは思えません。

Lのおばさん二人はともかく、あの格差社会の時代において黒人と白人が対等の立場でいることは考えにくいです。
オリジナル作品であればいくらポリティカル・コレクトネスを盛り込もうと自由ですが、完成された原作に無理矢理やり割り込ませるのはいかがなものかと思います。

また、原作には居なかった人物が一人新たに加えられています。
前作『オリエント急行事件』で知り合ったプークという青年です。
立ち位置的には原作/旧作映画のレイス大佐とオッタボーン夫人とファーガスンをひとまとめにしたような役割ですが、この青年の割り込ませ方に少し無理を感じました。
正直言って、これは必要ない改変だった気がします。

リネット役のワンダー・ウーマン・・・じゃなくてガル・ガドットさん、めっちゃ綺麗!。
彼女の姿を拝むだけでも劇場に行く価値ありです(笑)。
律義さと天真爛漫さを併せ持っていて、それが仇となって敵を作ってしまっているという設定になっています。
また親友の恋人を奪ったことにも良心の呵責を抱いているようで、殺されてしまったときは哀れみを感じていました。
ただ、ひとつ気になったのはガドットさん(この呼び方でいいのだろーか?)一人があまりにも突出し過ぎていることです。
浮いていると言ってもいいくらいですが、彼女が不在になってから以後一気に画面が寂しくなりました。

あと、船のセットは素晴らしかったのに対し、ロングショットの風景がどれもCG感丸出しだったのは残念でした。
ケネス・ブラナー監督(主演も兼任)は本職が俳優さんとあって絵作りにはあまり頓着していないのかも知れません。

劇場は最近利用することが多い福井コロナシネマワールドさん。
そのうちのドルビーアトモスを備えた10番スクリーンです。

でもこの映画のアトモス効果はそれほどではなく、俳優のセリフの聴き易さを重視した音作りでした。
やはり俳優が監督するとこうなるのでしょうか?。

あと、福井コロナシネマワールドさんは今月からロビーをリニューアルすると予告していたのでそちらも楽しみにしていました。
入った瞬間、全体的にすっきりして広々とした感じになっているのが分かります。
大きく変わったのは売店周りで、コンビニみたいな非接触支払機になったのと無人ドリンクバーが出来たこと、そしてなぜかメロンパンのお店が加わってました。
う~む、期待してたのとちょっと違う・・・・。
3/9(水)
『ナイル殺人事件』(1978年版)
(ホームシアター:BS-hi録画)

こちらは1978年12月公開のジョン・ギラーミン監督版です。
11年前BS-hi(BSプレミアムの前身)で録画したBD-Rで鑑賞しました。

日本公開時は『ルパン三世(ルパンvs複製人間)』と同時上映で、正月映画として大々的に宣伝されていました。
「絶対に結末は教えないでください」というネタバレ禁止コピーと、主題曲「ミステリー・ナイル」は今でもよく覚えています。
「ミステリーナイル」はてっきり主題歌だと思っていたんですが、この歌は本編では一度も使われていませんでした。
もしかすると日本だけのイメージソングだったのかも知れません。
そういえば、このジャケット写真のような夜景も映画には出てきませんでした。
それとも、当時の日本公開バージョンにはこの曲がエンディングで流れていたのでしょうか?。
70年代の海外映画の場合、時々日本の配給会社が勝手にBGMを差し替えることがあった(例:『ドラゴン危機一発』)ので、その可能性も無きにしも非ずです。
当時本編に使われていたかどうかを覚えてる方いらっしゃいませんか?。

アニメ大好き少女だった妻(当時小四)は劇場版『ルパン』が見たくて仕方なかったものの、教育熱心だった母親になかなか言い出せずにいたそうです。
そこで一計を案じた妻は「『ナイル殺人事件』を観たい」とねだって、初の映画館に連れて行ってもらうことに成功したのでした。
でも、翌年の『カリオストロの城』は同時上映が『ミスター・ブー』だったため同じ手は使えず、結局『カリ城』には連れて行ってもらえなかったそうです。
妻には気の毒ですが私はこの話を聞いて大笑いしてしまいました。

新作のナイル川流域の風景はほとんどCG合成だったのに対し、こちらはエジプトで撮影した本物の映像が見どころになっています。

カメラワークには制限がありますが、やはり実物がそこに映っているという説得力と迫力は格別です。
なんと言うか、旧作にはエジプトの空気や塵までもが映っているんですね。

新作との大きな違いはリゼットのキャラクターです。
他人の気持ちも立場も平気で踏みにじり、親友の彼氏を奪ったことも一切悪いと思っていない本当に嫌な女で、「こんな女殺されて当然」と思わせるようにステレオタイプな描かれ方をしています。
それに対して新作のリゼット(ガル・ガドッド)は、「根は悪くないけれど天真爛漫さが仇となって敵を作ってしまった」という設定で、ジャッキーに対してもどこか良心の呵責があるような素振りを見せたりしていて彼女の死には哀れみを感じました。

もう一つ見ていて気になったのは「現実ではないポアロの空想(推理)」を、セリフだけでなく逐一再現映像として挿入していることです。
登場人物全員に動機があり、全員にリネット殺害のチャンスがあったことを分かりやすく表現するためだと思いますが、これがいちいちクドくてテンポが悪く、原作を知らずに見た場合は頭が混乱してしまう可能性もあります。
この点ではリメイク版の見せ方がスマートでした。

出演者(登場人物)は全員白人。
現在では黒や黄色の方面からクレームがつきかねないですが、原作もこうだったのですからこれでいいのです。
「新作と旧作どちらが面白かったか?」と訊かれるとちょっと答えに窮します。
人物描写は新作が良かったように思いますが、映像面では実際にエジプトロケを敢行した旧作のほうが見応えありました。
ひとつだけ確かなことは「真犯人もトリックも知らない無垢な状態で見ればどちらも十分面白い映画」ということです。
3/11(金)
『宇宙快速船』🈠
(ホームシアター:東映チャンネル録画)

今回初めて観たんですがなかなかの出来でした。
ストーリーはツッコミどころ満載ですが、特撮映像は想像していたより斜め上をいく見事なものでした。
ただ、侵略者の攻撃に一般市民が巻き添えになるシーンで現在のウクライナ情勢を想起してしまいつい現実に引き戻されてしまいました。

60年代の特撮作品によく登場する長沢浄水場が登場。
化学特捜隊が初めてバルタン星人と遭遇したのも、本郷猛の母校(城南大学)も、妖星ゴラスに立ち向かった宇宙省もみんなここでした(笑)。

子供たちが敵(海王星人)の小型UFOを発見・捕獲するシーン。
私は思わず「介良事件」を思い出しました。

実は私、中学時代に遠藤周作先生の「ボクは好奇心のかたまり」を読んで以来この事件のことがずっと頭から離れませんでした。
それで、12年前(土・日だけ高速代が一律1,000円だった頃)に実際に高知県の介良地区へ行ってみたことがあるのです。
もっとも、介良は福井県と変わらない田園風景で、違うのは周りの人の言葉が土佐弁だったことだけでした(笑)。
ちなみに介良事件は1972年で、この映画は1961年公開作品なのであの事件を参考にしたということはありません。

宇宙人による都市破壊シーン。
爆発の迫力といい、人物入り実景との合成といい、特撮は本当によく出来ています。
人々(エキストラ)が身を伏せる動きと爆発とのタイミングがドンピシャです。
合成の繋ぎ目もコマ送りで見なければ気が付かないレベルです。

でも、ひとつだけ意図が分からないカットがありました。
このビル、なんでヒトラーの絵と「わが闘争」の文字が壁面に飾ってあるんでしょ?。

「侵略者も独裁者も許さないぞ」という意味でしょうか?。
でも、それなら破壊するのは敵宇宙人ではなく地球人類であるべきだと思うのですがね。

街全体をバリアですっぽり包み込むエレキバリア計画。
「こんな防御装置があれば今のウクライナだって助けられるかも」とか考えてしまいます。
侵略者が一方的に街を蹂躙するという場面は今は落ち着いて見られないですね。

アイアンシャープでもなんでもいい。
誰かウクライナの人たちを助けてあげてくれ!。

先日、私と妻のところにも3回目ワクチン接種予約の通知が届きました。
(同居している母は2月に3回目を接種済み)
前2回はファイザーのワクチンでしたが今回はモデルナになるようです。
「モデルナは副作用が強い」と聞いたので少し不安がありますが、その反面「1・2回目ファイザーで3回目モデルナのほうが効果が大きい」とも言われているのでこのまま受けることにしました。
問題は日程です。
モデルナ副作用に備えて翌日も空けておきたいところですが、2連休というのがなかなか確保出来ず結局3月末に接種ということになりました。
(妻はその一週間前に接種予定)
世の中には「自分はワクチン打たない派」と強情張ってる人もいるみたいですが、過去の567感染状況変化を見ればワクチンに効果があることは明らかです。
『宇宙快速船』でヒーロー役を演じた千葉真一さんもワクチン否定派でしたが、結局567に感染してお亡くなりになりました。
皆さん、素直にワクチン打っちゃいましょうよ。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。