男の戦い

28日(月曜)は第94回アカデミー賞授賞式の日でした。
私は午後から3回目のワクチン接種のため終日休みを取っていて、朝からWOWOWの授賞式生中継を見ておりました。
まあ、色々ありましたけど今年のアカデミー賞で一番の話題といえばやっぱり・・・

ウィル・スミスさんですね。
確か11時半頃(日本時間)だったと思います。
奥さんの容姿を笑いのネタにした司会者に無言で歩み寄りばちこーん!。
リアルタイムで見てしまいました(汗)。
「生で見られるから」と録画していなかったことが悔やまれます。
暴力はいけません。
それはよく分かっています。
でも、私にはウィルさんのあの行動を批判することは出来ません。

奥さんの身になって考えてみましょう。
病気のため仕方なくスキンヘッドにしているのに、世界中に中継・配信されているアメリカ映画界最大の晴れの舞台でその容姿をバカにされたのです。
女性にとってこれほどの恥辱があるでしょうか?。

それだけではありません。
あの場にいたアカデミー会員たちのほとんどがあのジョークにゲラゲラ笑っていたのです!。
最近マイノリティに対して必要以上に気を使い、また、そうした作品に優先的に賞を与えてきたアカデミー賞。
その会員たちがたった一人の女性を公衆の面前で嘲笑ったのです。
奥さんにとってあの状況は「いじめ」にも等しいものだったのではないでしょうか?。
そのときの彼女の表情がそれを物語っています。
あの瞬間、奥さんの味方は夫のウィルさんただ一人でした。
もし、ウィルさんがあの場の雰囲気に流され笑って済ませてしまったら、晴れの舞台だったはずのアカデミー賞受賞式が奥さんにとって恥辱の思い出しか残らないものになります。
あの状況下で奥さんを守る方法はただ一つ。
すぐに、同じ場所で奥さんを侮辱した相手に屈辱を与えることです。
それはあのタイミングでなければなりません。
後から批難声明を出したり訴えを起こしたりしてもそれでは遅いのです。

しかも、今回の作品賞は聴覚障害者を描いた『コーダ あいのうた』でした。
作品賞発表のとき、参加者全員がスタンディング・オベーション状態で手の平をヒラヒラさせて祝福していましたが、あれは耳が聞こえない人にとっての拍手なのだそうです。
本当なら感動的に見える場面だったはずですが、私の目にはもう空々しいパフォーマンスにしか見えませんでした。
アカデミー賞全体と『コーダ あいのうた』の受賞を空疎なものにしてしまったもの。
それはウィルさんの感情的な行動ではありません。
無思慮な司会者の言動と、それを聞いてへらへら笑っていたアカデミー会員たちです。
ウィル・スミスさん。
出来れば、このあとの主演男優賞を「こんなうわべだけのアカデミー賞なんかに価値は無い!」とか言って辞退して見せたら最高にカッコ良かったと思うのですがね。

大事なことなのでもう一度書きます。
確かに暴力はいけません。
ウィル・スミスさんも他にうまいやり方があっただろうとは思います。
それでも私は今回のウィル・スミスさんの行動を肯定します。
彼にとってあのビンタは家族を守るための戦いだったと考えていますから。
<(_ _)>
お付き合いいただきありがとうございました。