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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2022.6/20~2022.6/26)

トガジンです。

毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

20220626 「週刊映画鑑賞記」トップ画像
今週は『スター・ウォーズ』スピンオフドラマ『オビ=ワン・ケノービ』全6話と、カンヌ映画祭で「ある視点」賞を獲得した『PLAN75』の2タイトルです。

今回の記事には2作品ともネタバレが含まれています。
未見の方はご注意願います。




6/20(月)~6/22(水)
『オビ=ワン・ケノービ』(全6話)🈠
(ホームシアター:ディズニープラス)
『オビ=ワン・ケノービ』ポスター画像
『スター・ウォーズ』サーガEpisode3とEpisode4の間の出来事を描くスピンオフドラマ『オビ=ワン・ケノービ』。
同じスピンオフドラマの『マンダロリアン』が想定外に面白かったため本作の配信開始を心待ちにしておりました。
全話が出揃うまで観るのを我慢していましたが、今週22日に最終話が配信開始されるとのことで月曜から水曜まで一日2話づつ3日かけて視聴しました。

『オビ=ワン・ケノービ』
1本あたり40~50分程度(1話のみ55分)なので、2本続けて観ても映画1本分くらいですし朝と夜に1本づつ観るのも自由です。
音声は英語+日本語字幕版を選択しました。
映像仕様は4K+HDR、音声はドルビーアトモス立体音響です。

『オビ=ワン・ケノービ』隠居生活
オーダー66から生き延びたジェダイ・マスター:オビ=ワン・ケノービは、惑星タトゥイーンでベン・ケノービと名を変えてかつての弟子だったアナキンの息子:ルークの成長を見守り続けていました。
しかし、10年の歳月はかつてのジェダイマスター:オビ=ワン・ケノービの気力と体力を大きく削いでいたようです。
ジェダイの生き残りを探す帝国の尋問官からはひたすら逃げ隠れ、オビ=ワンと同じく生き延びていたジェダイの仲間を冷たく見放したのには正直驚きました。

中年オビ=ワンと幼レイア
そのオビ=ワンが再びライトセーバーを手にとって立ち上がることになったきっかけは、アナキンのもう一人の子:レイアの誘拐事件でした。
レイアの養父:ベイル・オーガナの要請を受け、オビ=ワンは10歳のお転婆娘レイア・オーガナの救出に向かいます。

『SW EP4』ベン・ケノービも一緒
このドラマを見ていて、『スター・ウォーズ(EP4)』を最初に見たときから44年間疑問に思っていたことの一つが解消しました。
その疑問とは、レイアを救出に来たルークが「ベン・ケノービも一緒だ」と言ったとき、レイアは「ベンも?」と初対面のはずのルークに着いていきます。
レイアは何故「ベン・ケノービがオビ=ワンの偽名である」と知っていたのでしょうか?。
この件について私は、「レイアは養父のベイルから「オビ=ワン・ケノービというジェダイの生き残りがベン・ケノービと名乗ってタトウィーンに隠れ住んでいる」と聞かされていたのだろう」と勝手に脳内補完しておりました。
でも、実はレイアは幼い頃にオビ=ワン(ベン)と会っていて、彼のジェダイとしての実力と優れた戦闘指揮力を知っていたのですね。

『SW EP4』助けてオビ=ワン・けのーび
しかし、それは同時に別の違和感も生み出してしまいました。
その新たな違和感とは、大人になったレイアが『EP4』冒頭でR2-D2に託したメッセージ内容のことです。
「クローン戦争のときのように今一度父を助けてください。オビ=ワン・ケノービ、貴方だけが頼りです。」
ベン・ケノービとオビ=ワン・ケノービが同一人物と知っているなら、どうして幼い頃に自分を助けてくれたことに一切触れなかったのでしょうか?。
それは最終回でも回収されることはなく、「ああ、後付けで作ったスピンオフではどうしてもこんな綻びが出てしまうのだな」と少しガッカリしました。
メッセージの件については、「ベイダーの襲撃を受けている最中に大急ぎで録画したため子供の頃の話は割愛したのだろう」と、再び脳内補完することにします(笑)。

『オビ=ワン・ケノービ』リーヴァ
視聴者が抱くそれらの疑問点から目を逸らさせるためか、本作はオビ=ワンとベイダーではなく元ジェダイ候補生の復讐者:リーヴァを軸に物語が進行します。
なんだか胡麻化された気分です。
ずっと楽しみにしていた反動もあって消化不良感が半端ありません。

ちびレイア
内容的には不満が残りましたが、幼い頃のレイア姫を演じた子役さんが小生意気だけどとても可愛くて、しかも故・キャリー・フィッシャーさんの面影も感じさせてくれる好演を見せてくれました。
最終回まで気持ちが萎えることなく見ていられたのはこの子のおかげです。



23日(木曜)は叔父の7回忌法要に参列するため早朝から大阪へ行っておりました。
法要は午前中だけで終わったため、福井では上映予定が無いこの映画を見て帰ることにしました。

6/23(木)
『PLAN75』🈠
(劇場:なんばパークスシネマ)
『PLAN75』ポスター画像
カンヌ映画祭で「ある視点」賞を獲得した近未来SF作品です。
”PLAN75”とは「75歳を超えた老人は自らの生死を”自分の意志で”決定してよい」という日本政府が制定した法制度です。
それはつまり「安楽死」の奨励ということでもあります。
あくまでも「本人の自由意志による」とのことですが、現実的には75歳以上の老人に部屋を貸してくれる不動産屋は皆無で、ハローワークで仕事を探しても適合する求人は0(ゼロ)・・・。
そんな行き場を無くした独居老人たちの淋しく残酷な日常を淡々と描いているのがかえって怖いです。
そのドライさはまるで星新一先生の短編SFや藤子・F・不二雄先生の大人向けSF漫画のようでした。


劇中で流れるTVCMを見ていると、まるでたちの悪いブラックジョークのようです。
この映画の中の日本ではPLAN75は当たり前のように受け入れられているということなのでしょうか?。

『PLAN75』角谷ミチ
主人公:角谷ミチ(演:倍賞千恵子さん)は、仕事も住む場所も失い、挙句は友人の孤独死を目の当たりにして、まるで保護施設にでも入るかのようにPLAN75に応募してしまいます。

成宮とミチ
安楽死を受け入れたミチのメンタルサポートを担当する若い女性オペレーター:成宮瑶子(演:河合優実さん)。
決められた時間内では親しく話し相手を務めますが、制限時間が過ぎると途端に事務的口調に変わります。
しかし、ミチとの会話を重ねるうち、成宮はいつしか彼女に対して少しづつ情が移ってしまいます。

そして執行前夜。
「いつもお喋り出来るのが嬉しかった。」

このミチの最後の言葉に成宮は冷静さを失い思わず声を震わせます。
単に仕事として割り切って携わってきたことが、実は他人の人生の終焉に深く関わるものであったのだと実感したのでしょう。

全体的に乾いたトーンの映画でしたが、このシーンにだけは私も涙腺が緩みました。
賠償千恵子さん。本当に素晴らしい女優さんです。

『PLAN75』林檎
この映画ではリンゴが重要なモチーフとして使われています。
まず、ミチと仕事仲間の高齢女性たちが一緒にリンゴを食べるシーンがありました。
中には傷んだものも混じっていましたが「食べてしまえば一緒よ」と皆で笑い合います。

PLAN75で安楽死した人たちは個別に埋葬はされず、遺品も遺骨も参加者分をまとめて一緒に”処分”されます。
見終わってから考えると「食べてしまえば一緒」とはそのことを暗示するセリフだったような気がします。

『PLAN75』りんご
その仲間たちとのカラオケでミチが歌ったのは「リンゴの木の下で」でした。
さらに、そのレコード(あるいはレーザーディスク?)が入っているダンボール箱は津軽リンゴの箱でした。


リンゴの木の下で 明日また会いましょう
黄昏 赤い夕陽 西に沈む頃に

楽しく頬寄せて 恋をささやきましょう
真っ赤に燃える想い リンゴの実のように


『PLAN75』リンゴの木の下で♪
そして、安楽死を寸前で思い止まったミチが夕陽を見ながら歌ったのもやはり「リンゴの木の下で」でした。

やはりこの映画は「リンゴ」を重要なモチーフにしているようです。
そこから私はこう考えてみました。

アダムとイブとヘビとリンゴ
アダムとイブが蛇にそそのかされて食べた禁断の知恵の実とはリンゴであったと言われます。
リンゴを食べた二人は「知恵」を得た代わりに「不死」を失うことになります。
「知恵」によって人間の寿命が大きく延びたことで老人が増えすぎ、今度は自ら「死」を選択する必要に迫られる・・・といった寓意を込めた映画だったように思います。

この映画が海外(カンヌ映画祭)にすんなり受け入れられたのは、もしかすると旧約聖書のアダムとイブ伝説を下敷きにしていたからかも知れません。

2022-06-23 なんばパークス・ロビー
今回の劇場は大阪ミナミのなんばパークスシネマ。
福井では当初『PLAN75』の上映館が無かったため、この日の大阪行きのついでに観て帰ることに決めていました。

2022-06-23 なんばパークス『PLAN75』チケット
以前もなんばパークスシネマで映画を見たことはありますが、ここ数年は大阪の映画館といえば109シネマズ・エキスポシティしか行っていないため、ここへ来たのは7~8年ぶりだと思います。

2022-06-23 なんばパークスシアター3
私が取った座席はE-8。
この劇場のほぼ中央部です。
ここは音響設備がかなり良いらしくセリフや効果音がとても聴き取りやすくて、特に老人のセリフが重要なこの映画を鑑賞するのに適した劇場だと思いました。

『PLAN75』上映館(福井でも上映)_矢印
あと、帰宅してこの記事を書いているとき気付いたんですが、いつの間にか公式HPの上映館情報が更新されていて福井でも7月下旬からメトロ劇場さんで上映してくれることになっていました。
おおっ、流石はメトロ劇場さん!。
時間さえ合えば地元でもう一度見返したいです。


<(_ _)>
今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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COMMENTS

2 Comments

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ゾンビマン  

毎度です。

大阪球場跡に建てられたなんばパークスシネマ、私的にも、大阪でもかなりオススメのシネコンですね。
ここは小規模シアターでもスペックが良く、小さい事を感じさせないので、『PLAN75』のような小品を観ても得した気分になります。
私は大阪ステーションシティシネマで鑑賞し、たまに聞きとりにくいセリフがあったので、りんごの事にまったく無頓着でした。

2022/06/26 (Sun) 21:41 | EDIT | REPLY |   

トガジン  

ゾンビマンさん、コメントありがとうございます。

>大阪球場跡に建てられたなんばパークスシネマ

大阪球場には学生時代に一度だけ友達数人と行きました。
南海vs日本ハム戦でしたが、門田のフルスイングホームランを生で見たときは思わず立ち上がって拍手してました。
あの跡地でしたね。

>小規模シアターでもスペックが良く

ラストの倍賞さんのアカペラはなんばパークスシネマのシアター3でも耳をすまさなければ「リンゴの木の下で」だと分からなかったくらいなので、音響設備がプアな劇場では監督の意図が伝わらない場合もありそうですね。
偶然とはいえ、今回良い劇場で『PLAN75』を鑑賞できて幸運でした。

2022/06/27 (Mon) 22:25 | EDIT | REPLY |   

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