週刊映画鑑賞記(2022.5/30~2022.6/5)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

今週観た長編映画は劇場2本とホームシアター1本の合わせて3本でした。
初見の作品は『トップガン マーヴェリック』のみ。
『シン・ウルトラマン』は3回目。
旧『トップガン』は劇場初公開時以来なので実に36年ぶりの再見です。

あと、土曜日帰宅後に見るつもりだった4K放送版『フランケンシュタイン対地底怪獣』は、仕事が予期せぬ時間延長となったためまだ見れていません。
とりあえず、『大魔神』のときみたいに緊急災害速報が入っていないことを祈るのみです。
5/31(火)
『トップガン』
(ホームシアター:AMAZON PRIME VIDEO)

金曜日に今話題の『トップガン マーベリック』を観に行くことに決めたので前作を観返しておくことにしました。

やはり本物の戦闘機を使ったドッグファイトの迫力と、トニー・スコット監督の映像美と編集センスは今見てもカッコ良いです。
前作『トップガン』はまだ旧・ソビエト連邦が存在していた1986年の作品です。
冷戦期のアメリカ映画であり敵機の名も「ミグ28」となっていますが明確な敵国名は出してません。
この頃のソ連は、ゴルバチョフ大統領がペレストロイカ(政治体制や社会体制など国家の立て直し)やグラスノチ(情報公開)に取り組み始めた頃で、アメリカ映画界もそうしたソ連の政治情勢に配慮したためと思われます。
敵の正体をぼかして描いたことによってリアルな戦争映画とはならず、単にスリリングでスタイリッシュなゲーム感覚の映画に転化されたのかも知れません。
だからこそ、ソ連が解体された後も古びることなく愛され続ける作品になれたのでしょう。

オープニングでは、花形のパイロットではなく空母の飛行甲板員やメカニックマンなど裏方さんにスポットを当てているのが良いですね。
着陸を成功させて小躍りしてる奴なんか最高です。

でもストーリーは・・・。
う~む。
今見てもアメリカ海軍を舞台にしたド派手なトレンディドラマって感じですね(笑)。
この頃のトムさんは終始モテモテでニヤけてばかりいて正直あんまり好きではありません。
むしろ、ライバルのアイスマンや相棒のグースのほうがよっぽど魅力的なキャラクターでした。

そういえば日本でも当時人気のトレンディ俳優を使った『ベスト・ガイ』とかいうパクリ映画が作られてましたっけ。
あの頃の日本映画ってホントに志が低かったなあ・・・。
6/3(金)
『トップガン マーベリック』🈠
(劇場:イオンシネマ白山)

主演のトム・クルーズさん本人が「絶対に映画館で観て欲しい」と呼び掛けていた作品です。
私も本当は大阪エキスポシティのレーザーIMAXで観たかったんですが、先月立て続けに長野と京都へエキストラ遠征が続いたため流石に妻が許してくれませんでした(涙)。

それでも、現在北陸圏で最も優れた音響設備と大画面上映システム(ウルティラ)を有する隣県のイオンシネマ白山へ足を運んできました。
観客は、平日の午前中だというのに半数近くが埋まっていたように思います。
座席は間引き販売されていたことを考えると、これは「満席」と呼んで差し支えないレベルだった気がします。

流石にIMAXには及びませんが、かなり前方寄りの席(4列目中央部)で観たため、視界の全てが映像で埋め尽くされて空中戦シーンでは思わず身体が一緒にぐりんぐりんと動いてしまいました。
4DXだったらマジで酔うかも?(笑)。

前作と同じく今回も敵国の名は明示されません。
そのため、この続編もゲーム感覚の映画になっています。
とは言え、司令官が「勝手に核兵器開発を進めている”ならず者国家”」と呼んでることから北●鮮をモチーフにしているのは間違いありません。
あの国のデブ兄と陰険妹がこの映画を見たら何を言い出すか・・・(以下自主規制)。
もし3作目が作られるとしたら、シベリアのどこかに隠れているというプ●●ン大統領をターゲットにする話になるかも知れません。

正直に言えば、マーヴェリックの超人的大活躍と終盤の出来過ぎな展開には少々食傷気味でした。
しかも、その合間にちゃっかり彼女とバイク二人乗り(しかもノーヘル)でデートというところも相変わらずです(笑)。
まあ、ゲーム世代にはこの上なく面白い映画だと思います。

ネタバレ防止のため詳細は割愛しますが、ストーリーは完全に前作から地続きです。
マーヴェリックが教官として舞い戻ったトップガンチームの一員に、前作でマーヴェリックの相棒だった故・グースの息子がいたのです。
彼との確執がこの続編の縦軸になっていました。

この映画で唯一マーヴェリックに人間味を感じたのは、かつてのライバル:アイスマンとの再会シーンでした。
流石のマーヴェリックも、絶望的に成功率の低い作戦に若者たちを送り出さねばならない苦悩と、かつての相棒の息子との関係に悩み苦しんでいました。
そんな中、かつてのライバルにして親友の前でだけは見栄も体裁も忘れて涙ながらに弱音を吐露します。
しかしアイスマンは末期の咽頭がんで余命僅かとなっており話すこともままならない状態でした。
そのため最初は筆談で会話していましたが、最後は絞り出すような自分の声でマーヴェリックにエールを送ります。
アイスマンを演じたヴァル・キルマーさんは実際に咽頭がんを患って一時は声が出せない状態でしたが、今はA.I.技術で自分の声で話せるようになっているそうです。
最後のセリフはこの技術を使ったものと思われます。

あと(ネタバレになるので詳しくは書きませんが)最後に僚機を守るためマーヴェリックがとったある行動が鳥肌ものでした。
私はああいう場面に弱いのです。
(まだ観てない人にはなんのことかまるで分からないですよね。スミマセン)
『シン・ウルトラマン』
(劇場:イオンシネマ白山)

午後からはもう一回これを見て帰ることにしました。
『シン・ウルトラマン』3回目の観賞です。

今回、ネットで座席予約していたときふと魔が差しました。
いつもだったらDからFの11番か12番(センターライン)を選ぶのですが、私は先日も同じ席で『シン・ウルトラマン』を2回観ているのです。
それを繰り返しても意味はありません。
しかし、実はこの劇場には、私が今まで体験したことのないある特殊な席があるのです。
今回はそれを試してみることにしました。

それは、劇場最前列でほぼ寝そべった状態でスクリーンを見る(見上げる)コンフォートシートというものです。

初めてこのシアターに来た時からず~っと気になっていたこの座席。
試すなら今です!。

そう考えた次の瞬間、私は中央部のコンフォートシートをポチっておりました。
もう後へは引けません(笑)。
スクリーンのほぼ真下から見上げるウルトラマンや怪獣の雄姿はいかなるものか?。

これがコンフォートシートとスクリーンとの距離感です。
まさに仰ぎ見るという言葉がぴったり!。

座った(寝そべった)状態で仰ぎ見たスクリーンはこんな感じです。
パノラマ撮影なので凸状に歪んでますが、その圧倒的な威圧感は感じていただけるかと思います。

また、私の目の前にはこの劇場ご自慢の高さ2.5mのサブウーファー群がずらりと並んでいます。
今回はここから出る重低音を全身に浴びることになりました。
いつもの4~6列目あたりでは前の座席に遮られて重低音は弱まりますが、ここでは腹にズシズシと直撃してきます!。
禍威獣の咆哮。
ウルトラマン着地時の衝撃波。
山の形を変えてしまうほどのスペシウム光線の威力。
どれも全身に響いてきます。
入場前にトイレを済ませておいて本当に良かったです。
そうでなければ振動で上映中何度も尿意を催したに違いありませんから(笑)。
↑ちなみに、シュレックみたいな緑の5本指靴下を履いた足の主が私です。(〃´∪`〃)ゞ

このアングルで仰ぎ見る怪獣映画は最高です。
もしかすると元々これくらいの距離感で見ることを想定して画作りしているのかと思ったくらいです。
そして、最高なのはウルトラマンや怪獣(禍威獣)だけではありません。

今回妙に顔アップやローアングルが多い長澤まさみさんも、前回普通の席で見たときより数倍肉感的に見えてトキメキました。
彼女が気合を入れるたびにバチンと叩くお尻が視界いっぱいに映ったときとか、巨大化した彼女がローアングルショットで迫ってくる場面なんかもう・・・(以下自粛)。

あと、こういう画も低い位置から見上げると異様に立体感が増して見えました。
改めて見ると、元々『シン・ウルトラマン』はローアングルショットが多いんですよね。
そのためかコンフォートシートで観てもそれほど疲れることはありません。
ただ、総理役の島田久作さんの正面どアップだけは勘弁して欲しかったですけど(笑)。
今回は、コンフォートシートを試すこと以外にもう一つ注意して見ていた部分がありました。
それはウルトラマンの顔・・・特に口元の変化です。

特撮ファンなら知らない者などいないと思いますが、一応説明しておきます。
オリジナルTVシリーズではウルトラマンの顔とスーツは大きく分けて3回変化しています。
その理由は演出や設定上の理由によるものではなく、単に劣化のため作り直すたびに様々な改良を加えたためでした。
最初のものはAタイプと呼ばれるラテックス製のマスクで口が動くように作られていました。
そのため回を重ねるごとに口元が徐々にグニャグニャになってしまい、時々中の人の歯が見えてしまうことさえありました。
そのAタイプマスクと同じ型を使いプラスチックで生成し直したのがBタイプマスクです。
口の動きは演出上生かされることが無かったため廃止されましたが、その代わり生き物感が失われた気がします。
最終のCタイプは口の幅が大きくなり目の角度も優しい感じになりました。
実相寺昭雄監督はこのCタイプウルトラマンを「仏様のようだ」と評したそうです。

『シン・ウルトラマン』でもこうした顔の変化は再現されています。
最初地球に来たばかりのときはAタイプマスクのように口元にしわがある顔つきでしたが・・・。

2度目に出現したとき・・・つまり神永シンジと同化した後のウルトラマンは口元が固定されたBタイプもしくはCタイプに近い顔に変わっています。
私はこの変化を、単に「オリジナルの要素(マスクデザインの変化)を取り入れたリスペクトの一つ」としか見ていませんでした。
ところが!。
先日、相互リンクさせていただいているmikaidouさんのブログ「老嬢の鼻眼鏡」を拝読したところ、女性ならではの観点に思わず膝を打ってしまいました。
>http://mikaidou789.blog.fc2.com/blog-entry-1865.html
「タクミさまと一体化してラインがレッドになってからはお顔(特に下唇にあたる辺り)が見事に「タクミさまの造形」に変わってて良きでございました。」
この表現に思わず笑ってしまうと同時に、自分がこの映画をガチガチのオタク脳でしか見ていなかったことに気付かされました。
確かにウルトラマンの顔つきは神永と同化してからは大きく変化しましたが、その後も微妙に顔が変わり続けているように思えたのです。
(静止画で見比べられないのであくまでも主観ですが・・・)
つまり、来たばかりで地球のことも人間のことも何も知らない素の状態がAタイプ。
神永と同化して、コミュ障ながらも人間という不可解な生物について懸命に学んでいるときはBタイプ。
そして人間を信頼して仲間として共に戦うことを決意してからはCタイプ(つまりオリジナル版の完成形)という流れになっているように思えました。
だからこそ、今回の観賞ではラストのゾーフィの言葉「そんなに人間が好きになったのか。」がより深い意味を持って聞こえました。

正直言いますと、私の目からは斎藤工さんの口元がウルトラマンの口元に似ているかどうかは微妙なところではあります(汗)。

でも、早見の質問「あなたは地球人?それとも外星人?。」に対し、神永が「両方だ!。」と即答した瞬間から私にはウルトラマン=神永シンジとして見えるようになりました。
ラストシーンで目を覚ましたのは、元の人間としての神永なのかそれともウルトラマンなのか?。
(神永の遺体は途中で消滅しましたがあれはウルトラマンに吸収されたということなのか?)
いずれにせよ、続編制作を切に願います。

先日早川千絵監督の『PLAN75』がカンヌ映画祭でカメラドール特別賞を受賞されました。
是枝裕和監督やアカデミー賞の濱口竜介監督の時と同じく日本人として誇らしい気持ちでいっぱいです。

ただ、恥ずかしながら私はこの映画の内容についてはニュースを見るまで全く知りませんでした。
紹介映像を見ても、単に「うわー、さくらさん(倍賞千恵子さん)老けたな~」と思っただけでありました(汗)。
ところがよくよく聞いてみるとかなり思い切ったストーリーではないでですか!。
単なる老人問題のお話かと思っていたら、超高齢化社会となった近未来の日本で75歳以上になると自ら生死を選択する制度<PLAN75>が施行されるという近未来SFだったのです。

このストーリーを知った瞬間、私は即座に藤子・F・不二雄先生の『定年退食』という短編SF漫画を思い出しておりました。
もちろん『PLAN75』が『定年退食』のパクリだなどと言うつもりは毛頭ありません。
それどころか、今まで日本人が目を背け続けてきたこの切実な問題に真正面から切り込む映画が日本人自身の手で作られたことに感動と嫉妬を感じます。
しかも主演は山田洋二監督作品常連の名女優:倍賞千恵子さん。
倍賞さんは脚本を読んで「この結末なら」と納得して出演することを決められたそうです。
これは何が何でも絶対見たい!。
いや、見なければならない映画です。
なのに・・・

公式HPの上映館情報には福井の映画館が載っていません!。
このうち一番近いのはユナイテッドシネマ金沢ですが、ここは高速使っても1時間くらいかかるんですよね~。
6月下旬に大阪へ行く用事があるのでそのとき向こうの劇場で見てこようかな。
それにしても・・・。
福井の映画興行主たちよ。
あんたらは何をボンヤリしてるのだ?。
こういう優れた映画は私みたいな物好き・・・じゃなくて映画好きは県外へでもさっさと観に行ってしまうのだぞ。
「商機を逃す」とはこのことだ!。
<(_ _)>
今週もお付き合いいただきありがとうございました。