一期一会の戦友たち

今月9日(月)と10日(火)の二日間、私はとある怪獣映画の撮影にエキストラとして参加するべく長野県へ行っておりました。
当日の撮影は主演俳優もいらっしゃる重要な場面でした。
また、伏せられている登場怪獣の正体も判明しました。
ご一緒させていただいたエキストラの皆さんとも仲良くさせていただきましたし、私自身もかなり良いポジションをいただけてしっかり画面に映ることが出来たと思ってます。
短いながらも、とても濃厚で充実した時間を過ごさせてもらいました。
「あの楽しかった長野での二日間を是非ブログに書き残したい。」
そう考えて、帰宅後すぐにキーボードを叩き始めました・・・が!。

残念ながら、撮影内容についてブログに書くことは規約で固く禁じられております。
そのため、撮影に関する部分については明記することが出来ません。
本当は映画が公開されるまで記事に書くのは控えるべきなのかも知れませんが、1年以上も時間が空いてしまうと現地の好印象や今回ご一緒したエキストラ仲間との楽しい思い出も全て色褪せてしまう気がします。
それらの記憶が生々しく残っているうちにどうしてもブログに書き残したい!。
そこで、今回は撮影内容や具体的な名称(人名・建物名)は極力伏せて、あくまでも「エキストラ目的の長野県遠征記」として書き残すことにしました。
内容的にはただの旅行記なのでカテゴリー違いになりそうですが(笑)、そもそも旅行の目的が映画の撮影のためなのでどうかご勘弁願います。
地名については応募要項にも明記されているので書いても文句は言われないでしょう。
長野県岡谷市です。
この地が選ばれたのは、この映画の監督さんが長野県出身だからでしょうか?。
【5月9日(前日入り)】

撮影当日(10日)の集合時間はなんと朝6時!!。
福井県在住の私には当日対応することなど絶対不可能です。
そのため、前日のうちに長野入り(=前泊)する必要がありました。
グーグルナビでは福井から岡谷市へは車で4時間半とのことだったので朝6時頃に家を出たんですが、途中何度も休憩を挟んだため最終的に5時間以上かかってしまいました(笑)。
ガソリン満タンで出発したのに、着いたらもう20%くらいしか残っておらず、高速代も7千円以上・・・(汗)。

この日の現地はあいにくの雨でした。
気温も前日までとは打って変わってひどく寒かったです。
(大変失礼ながら)最初は岡谷市を(それこそ福井みたいな)昭和レトロな田舎町だとばかり思っておりました。
なぜなら今回の映画の時代設定が昭和22年頃だったからです。
ところが、実際に着いてみると、市役所や病院がすごく立派だったり、現場のすぐ近くには大きなショッピングモールもあったりして昭和レトロな街というイメージとはまるで違ってました。
あと、感心したというか感動すら覚えたのは長野の人たちの運転マナーの良さです。
道に慣れていないため右折でなかなか動けずにいることが多かったんですが、そんな時ほとんどの車が道を譲ってくれました。
また、歩行者に対しても完全に渡り終えるまで待ってくれるドライバーさんが多く、長野の皆さんのおおらかさを見た気がしました。

到着したらなにはともあれお昼ごはんです。
諏訪湖を有する岡谷市はウナギ料理が名物とのことで、街の人に「あそこが美味しい」という店を教えてもらってそこでお昼を食べました。
入ったのは濱丑さんというお店です。
店内の写真は撮ってませんが、清潔で感じの良いお店でした。

私が注文したのはうな丼の上セット。
お値段1,980円!。
普段だったら「高っ」と絶対頼まないメニューですが、せっかく長野まで来たのにご当地ものを食べないでは意味がありません。
コシがあって噛み応えあるウナギと甘辛い出汁とのコンビネーションが最高でした。
お腹を満足させたら、次は撮影現場の確認(ロケハン)です。

私の背後に写っている古めかしい建物が今回の撮影現場です。
昭和11年に建てられた鉄筋コンクリート2階建ての建物で、今は国の有形文化財になっているそうです。
スタッフさんの姿は見えませんでしたが、周囲には機材車らしき関東ナンバーの車が多数停められていました。
せっかくなので建物前で自撮りでパチリ!。
雨の中、翌日の撮影に向けて気分を盛り上げました(笑)。

今回泊まったホテルはホテルオークニさん。
1泊4,500円ほどでした。
ちなみにこのホテル、撮影現場へは歩いて2分程度の近距離です。

お部屋はまあ・・・普通のビジネスホテルです。
大浴場は無く、風呂はユニットバスになります。
夕食は当地の美味しいラーメン屋を探して食べに行きました。
知識も土地勘も無いので食べログ情報が頼りです。
ところが!。

第1候補に挙げていた店がよりによって9日と10日は連休?。
おいおい、食べログには「営業中」って書いてあったぞ?。
「よろしくお願いします」じゃねーよ、商売する気あんのか!。

仕方なく第2候補のお店へ。

ここは麻婆ラーメンが美味しいとのことだったので迷わず注文。
この日は雨で寒かったこともあり、辛くて熱い麻婆ラーメンが身体を温めてくれました。
【10日(本番!)】

そして撮影当日。
天気はご覧の通り晴天です。
朝6時に集合し、衣装への着替えとメイクを澄ませて撮影現場へ移動します。
各エキストラの役柄は、応募時に提出した顔写真や服のサイズをもとにあらかじめ決定されていました。
(衣装姿もお見せしたいところですが、今は公開するわけにいきません)
この日のエキストラは総勢30名と聞いていましたが、午前と午後の部に分かれていて私は午前のチームでした。

現場となる建物ではすでに撮影準備が整っていました。
私たち午前中チームは建物内で復員庁シーンの撮影です。
内容については書けませんが、主演のKさんの熱演ぶりからかなり大事なシーンであることが分かりました。
私も素人ながら全力で演技したことは言うまでもありません。

今回驚いたのは、この撮影のために現場前の道路を一時通行止めにしていたことです。
看板には「路上作業のため」と書かれてますが、これは完全にウソ(笑)。
車やバイクによる騒音対策のためと思われます。
もちろん許可は取ってあるのでしょうけど、日本映画でも撮影のためにここまでやるんですね。
初めて見ました。

撮影隊は感染対策に非常に気を使っていました。
参加するにも2回以上のワクチン接種証明書が無ければ門前払いされてしまいますし、部屋一つ移動するたびに手指の消毒を求められました。
また、リハーサルはマスク装着で行い、本番のときだけマスクを外します。
その外したマスクは提供された専用マスク袋に入れて保管し、衣装のポケットや小道具に直接入れないよう厳重に注意されました。
別のシーンで同じ衣装を使った人同士で感染でもしたら大変ですからね。
最初に書いた通り、現場で見聞きした内容については一切書くわけにいきません。
でもひとつだけ・・・。
この映画の正体がハッキリしました。
俳優さんのセリフの中に日本の怪獣映画で有名なある島の名前が出てきたこと。(「インファント」ではない)
監督が持っていた台本の表紙にあの独特な形の背ビレがデザインされていたこと。
そしてなにより、監督が演技指導中に口を滑らせて主役怪獣の名を出してしまったこと(笑)。
みんな小声で、「やっぱりアレやな」とヒソヒソ言い合っておりました。
【エキストラさんたち】
今回は私の顔馴染みのエキストラ仲間は一人もいませんでした。
それどころか、「エキストラに参加するのは初めて」という地元の人がほとんどで、逆に私のエキストラ体験をお聞かせすることのほうが多かったです。
私の初めてのエキストラ体験が『シン・ゴジラ』だった話には皆さんガッツリ食いついてくれました。
やっぱり怪獣映画好きな人が集まっていたのですね。
そうして打ち解けてからは、今回の映画の予想はもちろんのこと『シン・ゴジラ』のことや公開間近の『シン・ウルトラマン』のことなど特撮映画の話題が尽きませんでした。
エキストラ出演の一番の楽しさって実はコレなんですよね。
「この人たちとなら絶対友達になれる!」と思える人ばかりでした。
地元の人ばかりではなく、埼玉から来たという方もいました。
この方は私のすぐ近くで演技していたので同じフレームに映っている可能性が高いです。
彼は翌週の茨城ロケにも参加するとのことだったので、映画が公開されたら群衆シーンの中に彼の姿を探してみようと今から楽しみにしています。
あと、偶然同じホテルに泊まっていた人もいて、お互い初めて会話を交わしたときそのことを知って大笑いしてしまいました。
彼らの顔は決して忘れません。
【一期一会】
私たちのチームの撮影は順調すぎるくらい順調に進み、なんとお昼前には全ての出番が終わってしまいました。
「翌日を予備日として用意している」と聞いていたくらいだったのにビックリです(笑)。
午後からは2階で別のシーンを撮るそうで、そちらに出演するエキストラさんたちと入れ替わりました。

衣装や小道具を返却して昼食を食べたら私たち復員庁チームは解散です。
お昼のメニューはスタッフさんの炊き出しカレーでした。
この日の撮影をご一緒し、怪獣映画について楽しく語らった皆さんともここでお別れです。
「では画面の中で!」
「出来ればまたどこかの現場で!」
と、最後にお互い声を掛け合いました。
現実的には、彼らと直接再会できる機会は無いでしょう。
でも、みんなたった半日とはいえ同じ映画のために協力し合った戦友たちです。
本当に名残惜しかった・・・。
【さらば岡谷よ】

午後はタップリ時間が余ったうえに天気も最高。
せっかくなので諏訪湖を見物して帰ることにしました。
でも、こういうとこってオッサンが一人で行っても全然つまんないですね(笑)。
この時ばかりは「妻が一緒だったら良かったのに」と思いました。

諏訪湖から岡谷インターへ向かう途中、再び撮影現場の近くを通りました。
ふと見上げると、私たちのときには無かった大きな照明が上階部分を照らしています。
あの辺りの部屋で別の場面を撮影しているのですね。
「俺も参加したいなあ・・・」と、少々後ろ髪引かれる思いで高速道路へと向かったのでありました。
なにはともあれ、今回も本当に楽しいエキストラ体験となりました。
岡谷市は本当に良いところでしたしウナギも旨かったです(笑)。
私にとって最高のゴールデンウィークになりました。
そして最高の誕生月プレゼントにもなりました。
ありがとう、岡谷市!。
ありがとう、一緒に参加したエキストラの皆さん!。
忘れません!。
肝心な映画撮影の部分を意図的にボカしているため、後半はモヤモヤした感じの記事になってしまいました。
映画の公開が近づいた時、必ずもっと具体的な描写を加えた完全版をアップします。
・・・ていうか、その記事は既に書き上げてあるのですがね(笑)。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。