週刊映画鑑賞記(2022.6/27~2022.7/3)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。
どんなに暑い日が続こうとも、この週刊連載だけは休みません(笑)。

今週観た長編映画は『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』一本のみでした。
6/29(水)
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』🈠
(劇場:福井コロナシネマワールド)

この日は福井にも熱中症アラートが出たくらいの猛暑日でしたが、幸い室内仕事であまり体力を削がれなかったこともあり5時に仕事を終えて6時10分の回を観て帰りました。

劇場は福井コロナシネマワールドさん。
入口前には段ボールで作ったガンダム胸像が飾られていました。
どうやら福井シネマワールドスタッフさんの手作りらしいです。
こういう酔狂さって好きですね~。
色も塗っていたらもっと良かったと思います。

上映館はドルビーアトモスを完備したシアター10です。
このシネコンで2番目に大きいシアターですが、この回の観客はなんと私を入れて僅か5人!。
平日で猛暑日だったことも関係あるのかも知れませんが、それにしても少なすぎです。
あと、客層は(私も含め)50代以上の男性ばかりであったことは言うまでもありません(笑)。

不入りの原因の一つに特別料金大人2千円という点があると思います。
各種割引もサービスデー料金も一切適応されません。
何がどう特別なのかまるで分かりませんが、松竹もサンライズも「見に来るのはどうせ年配のガンダムファンばかりだろう」と足元を見たのでしょうか?。
こんな殿様商売を続けていては映画館から客が離れるばかりですし、アニメだけでなく映画産業全体にもいずれ悪影響を及ぼすと思うのですがね(怒)。

映画の内容は、1979年放送のオリジナル版TVアニメ『機動戦士ガンダム』第15話「ククルス・ドアンの島」を大胆に翻案し最新アニメ技術で長編映画化したものです。
TVシリーズのチーフアニメーターだった安彦良和監督は、ストーリーの良さに反して作画があまりにも酷かったこの回に長年納得出来なかったとのことで、こうした珍しいリメイクが実現したとのことです。
ただ、私は元となったTVアニメ版「ククルス・ドアンの島」は一度も見たことがありません。
福井で『機動戦士ガンダム』が初放送されたのは、都市部から半年遅れの’79年秋からでした。
当時私は中学3年生。
つまり第15話が放送された頃の私は高校受験の最も大事な時期だったわけで、悠長にTVアニメなど見ていられる状況ではなかったのです。
『ガンダム』に関してはその後劇場版3部作を観て「これで十分」と考え、その後TVアニメ版を通して観ることは一度もありませんでした。
ガチガチのガンダムファンの友人には「TVシリーズ版こそ本当の『ガンダム』。お前にはガンダムを語る資格は無いッ。」とまで言われましたが、いまさら43話もあるTVアニメを全部見る気にはなれません(笑)。
そんな私ですが、この映画には少なからず戸惑いました。

『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』・・・とても良いアニメだったとは思うのですよ。
モビルスーツ戦は大迫力でしたし、ドアンをはじめ島の子供たちもホワイトベースの面々も魅力的に描かれていました。
ただ、誰に向けて作った映画なのかが全然分からないのです。

オリジナル版の流れを知る者としては、時系列的にどの辺りに位置する話なのかが分からず頭が混乱します。
例えば、オリジナル版ではジャブローで初登場するはずのスレッガー中尉が、どうしてベルファスト(カイとミハルの悲恋話の舞台)へ行く前のホワイトベースに乗っているのか?。
私は安彦さんの漫画版『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』を全く読んでいないのですが、『THE ORIGIN』ではスレッガーは早い段階から登場しているのでしょうか?。
この映画が狙う客層がオリジナル版のファン層(つまり私くらいのおっさん)ならば、時系列の設定はオリジナルに準拠するべきだったと思います。
なんだかこの1エピソードの中に1st『ガンダム』の名場面を片っ端からぶち込んでいるだけみたいに見えて、控えめに言って当事者自身が作ったファンサービスムービー、悪く言えば安彦監督の自己満足に過ぎない気がします。

ただ、『めぐりあい宇宙編』公開から40年も経っているというのにアムロ役の古谷徹さんとカイ役の古川登志夫さんの声にまるで違和感が無いことには驚きました。
他界されたり声優を引退された方たちの代役さんも皆さん違和感が無くて、その点では安心して見ていられました。

唯一違和感があったのは、セイラさんが変なお嬢様言葉で喋っていたことくらいです(笑)。
『THE ORIGIN』のセイラさんはいつもこんな口調なのかな?。

今回のガンダムは肩の部分に「EFSF」と「WB」のマーキングが施されていますが、これは12年前東京のお台場潮風公園に初お目見えした実物大ガンダムに準拠したデザインと思われます。

ちなみに、こちらが12年前私が実際に撮影してきた実物大ガンダムの写真です。
(左肩のマークは途中から東京オリンピック招致のシンボルマークに変りました)

クライマックスでは、ドアンのピンチに灯台の光を浴びながら颯爽と登場する千両役者ぶり!(笑)。
内容には疑問を抱きつつも、最終的には「こういうガンダムも悪くない」と楽しんで観ておりました。

ただ・・・ドアンと子供たちは本当にあの後もあの島で平和に暮らしていけるのでしょうか?。
あの島からミサイルが発射されたことは連邦軍も確認しているので再調査に行かないはずありませんし、ジオン側もどうしてミサイルが不発だったのか調べに来るはずです。
アムロがドアンのザクを海に捨てて「戦いの匂い」を消したところで彼らが安全になるとは思えないのですが・・・。
【訃報】

去る6月23日。
作曲家:渡辺宙明先生がお亡くなりになられました。
96歳でした。
高3の年末頃、私は大学受験を間近に控えて「勉強!勉強!」と追い立てられ、それでいて志望の芸術系大学への進学を親に猛反対されてもいて心が酷く頑なになっていました。
そんなとき、私の気持ちを前向きに開かせてくれたのが渡辺宙明先生が音楽を担当されていた『宇宙刑事ギャバン』でした。
ある日何気なくTVを付けたらたまたま特撮モノをやっていて、いつもならすぐにチャンネルを変えてしまうところを、その時の私は何故かそのままじ~っと見続けたのです。
このとき私を強烈に惹きつけたのは、蒸着でもレーザーブレードでも戦闘アクションでもありません。
力強さとカッコ良さと少しばかりの切なさを内包し、聴けばどんな嫌なことにも立ち向かっていける気にさせてくれる宙明先生の音楽に聴き入っていたのです。
『マジンガーZ』や『キカイダー』で少年時代の私を虜にした宙明サウンドが、受験を前に心が枯れかけていた私を再び前向きな気持ちにさせてくれました。
改めまして、渡辺宙明先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
そして、受験生時代の私に子供の頃の豊かな気持ちを取り戻させてくださったことに今も感謝し続けています。
<(_ _)>
今週もお付き合いいただきありがとうございました。