週刊映画鑑賞記(2022.9/12~2022.9/18)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

今週はこの2タイトル。
『ワンダヴィジョン』は全9話のドラマシリーズです。
あと、ディズニープラスでもう一本途中まで観た作品があったのですが・・・その件は最後の方で。
9/12(月)
『トゥモロー・ウォー』🈠
(ホームシアター:アマゾン・プライムビデオ)

ある日突然、30年後の未来からタイムマシンで未知の軍隊がやって来た。
彼らは30年後の世界は怪物の襲撃を受け人類絶滅が近い状況だと言う。
そこでタイムマシンで過去の世界へやってきて戦闘要員を未来に送り兵士の数を補いたいとのこと。
元・軍人で今は生物学の教師をしているダン・フォレスター(演:クリス・プラット)も徴兵され、娘と妻を残して未来の戦場に向かうことに。
「なんか設定が無理矢理な気がするなあ」と思いつつ、見始めるとそんなことは忘れてしまうくらいテンポが良くて楽しめました。

それでも、「未来からタイムマシンでやってきた」などという眉唾ものの話に対し、世界各国が疑いもせず速攻で軍隊や物資を送り込むと決定してしまう点にはストーリー展開を急ぎ過ぎている感がありました。
TVのニュース画面だけでもいいから、最初は各国政府が疑って動こうとしないのに対し未来人が何らかの方法で事実と信じさせる描写が必要だったと思います。
あと、「現代から未来へ行って戦死したら歴史が変わってしまうのでは?」という疑問については、「今後30年以内に死ぬことが分かっている人物だけを選別している(なにせ未来から来た軍隊だから資料がある)」という設定でなんとなく納得しました。

敵は「ホワイトスパイク」と呼称される、人間を食う地球外生物の群れ。
数匹のメスを無数のオスが守り、餌(人間)を運ぶという『エイリアン2』とほぼ同じ設定で、もしエイリアンが地球に来ていたらこうなってしまうんじゃないか?と思わせるような世界観でした。
お世辞にも「斬新」とか「良く出来ている」とは言えませんが、面白さを阻害するほど駄目ではないというくらいのSF度です。

ネタバレは避けますが、終盤の予想外の展開には細かいことを忘れて見入ってしまいました。
30年後の世界でとある身近な人物と思わぬ形で再会(といってもダンにとってはほんの数日後ですが・・・)があり、それが物語全体の軸になっていきます。
また、後半は序盤に登場した現代の人物たち(ダンの父親や地質学にやたら詳しい生徒)が再登場して行き詰まりかけた物語を再び動かすという伏線回収の心地良さもありました。

それと、この作品はドルビーアトモスの音響設計がかなり優秀です。
タイムトラベル時の轟音。
上空を飛び交うヘリコプター。
四方八方から襲ってくるホワイトスパイクたち。
天井に取り付けたトップスピーカーたちが嬉々として音を鳴らしてくれていました。
序盤の性急な展開だけは残念でしたが、見終わってみれば満足度は結構高かったです。

でも、一つだけ気になる点がありました。
未来世界でタイムマシンの開発に関わった国の国旗が一瞬だけ映るのですが、その中に日本の日の丸が無いのです。
「タイムマシン開発には日本の技術力が必要だろう!」と思ったのですが、「今の日本はもはや最先端技術からは取り残されている」と国際社会からは見られているのかも知れません。
でも、それ以上に問題なのは日本の代わりになぜか隣のK国の旗があることです。
これ見たお隣さんは大喜びだったでしょうね。
「日本に勝った」って(笑)
9/13(火)~15(木)
『ワンダヴィジョン』🈠
(ホームシアター:ディズニープラス)

MCUのキャラクター、ワンダ(スカーレット・ウィッチ)とビジョンを主人公とした全9話のドラマシリーズ。
先週、全く事前情報が無いまま『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(以下『ドクター・ストレンジ/MOM)』を見たのですが、強敵となって登場するワンダを見て「彼女は何故こうなってしまったのか?」ということが作品中で全然説明されておらず内容を半分も理解出来ませんでした。
その後、ドラマシリーズ『ワンダヴィジョン』を事前に見ていないと『ドクター・ストレンジ/MOM)』は理解できないと知らされました。
「それってシリーズ作品としてどうなの?」とか思いつつ、このまま理解出来ないまま終わるのも癪だと思って『ワンダヴィジョン』全話を見てみました。
メディアミックスも結構ですが、それならそれで誰もが物語を理解出来るようにする工夫は必要だと思います。
『ドクター・ストレンジ/MOM)』を見た全ての人がディズニープラスに加入しているとは限らないのですから。

その点に対する不満は拭い切れませんが、『ワンダヴィジョン』自体は確かに面白いドラマでした。
最初は3話づつ3日に分けて見るつもりだったのが、3話目の終わり際から急激にストーリーが進展し始めたため初日で4話まで見てしまいました。
最終的にはやはり3日かけて見終わりましたが、3-3-3の予定が4-3-2になりました(笑)。

3話の途中まではアメリカの50年代ファミリードラマ風になっていて、笑いどころにドリフのコントみたいに「キャハハ」とおばちゃんの笑い声が入り『奥様は魔女』のパロディみたいな話が続きます。
「このドラマ、一体何がしたいんだ?」と思いながら見ていたら3話の最後で急展開が!。
このドラマ、実は双子の兄に続いてヴィジョンまでも失って心を閉ざしたワンダの内面世界を描いたものだと分かりました。

6~7話あたりから、ふと「これって『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』と同じ構造じゃないか?」と思い始めました。
ウエストビューの街は永遠に学園祭前日を繰り返す友引町。
愛するヴィジョンや空想上の子供たちとの生活を望むあまり、魔力で結界で囲ったウエストビューの街を作ったワンダはラム。
そのワンダの願いと能力に便乗してウエストビューの街を陰で支配していたアグネスは無邪鬼。
ラムやアクネスたちと共に幸福な結婚生活に浸りながらも、内心では街の異常性に気付いてたヴィジョンが諸星あたる。
ウェストビューの正体を探ろうとして排除された面堂終太郎とサクラ先生はモニカ・ランボー?。
街の外周部で人形のように動かない住人たちは無邪鬼が運んでいたマネキンか?、もしくはそれぞれの夢の世界に閉じ込められた温泉マークやしのぶや竜之介たちか?。
こう考えることでこのドラマの全体像がなんとなく掴めました。
大きな違いは、最後にウェストビューの街を閉じ込めた結界を消滅させたのがヴィジョン(あたる)ではなくワンダ(ラム)自身であったことです。
ただし、そのキッカケを与えたのはやはりワンダの妄想の中の存在でしかなかったはずのヴィジョンでした。

全話見終わっての感想は「ワンダってなんて哀しい女性(ひと)なんだろう。」のひと言でした。
結局、現実のヴィジョンも双子の兄も、さらには妄想上の夫と子供たちまで失ったのですから。

これはこれで楽しめましたが、胸のつかえが完全に下りたわけではありません。
最終回のラストカット。
スカーレット・ウィッチは本物の魔女であるアグネスから能力を吸い取ったことでアグネスの邪気まで併せ持ったのでしょうか?。
それともワンダとスカーレット・ウィッチは別人格?。
【勘弁してよ・・・】
実はもう一本ディズニープラスで見た作品があったんですが、こちらは現在のアメリカ映画界の流行り病とも言えるポリティカル・コレクトネス忖度があまりに酷かったため序盤で見る気が失せました。

その作品とは、実写版『ピノキオ』です。

実写版『ピノキオ』は以前他社で何度か作られたことがありましたが、今回のはディズニー社が昔のアニメ版のストーリーやキャラクターをベースに実写化したものとのことです。
ところが!。

本作ではなんと、ピノキオを動けるようにしてくれる妖精がスキンヘッドの黒人なのです!。
今の世の中、こんなことで文句言ったら袋叩きにされそうですがあえて書かせてもらいます。
これは無理!
有色人種の役に無理矢理白人がキャスティングされることを「ホワイトウォッシング」と呼び「人種差別だ」と非難を受けるケースが増えています。
でも、今回はその真逆で「ブラックペインティング」とでも呼ぶべきものだと思います。

かつての名作ディズニーアニメ版を下敷きとして作られた映画なら、妖精役も素直に白人女優で良いだろうと思うのですがね。
監督は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のロバート・ゼメキス監督なのに何故こんなことに?。
アメリカ映画のお偉いさんたちは最近「ポリコレポリコレ」と頭がおかしくなってしまったんじゃないかとさえ思います。
<(_ _)>
今週もお付き合いいただきありがとうございました。