週刊映画鑑賞記(2022.8/8~2022.8/14)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

今週は映画館での鑑賞も含めたこの5作品。
皮肉なことに今回一番面白かったのは解約決定したNETFLIXの独占配信作でした。
8/8(月)
『ハワイ・マレー沖海戦』
(ホームシアター:日本映画+時代劇4K録画)

8月4日に録画したピュア4K放送版です。
円谷英二特技監督の初期の傑作。
制作年は昭和17年。
なんと私の母が生まれた年に作られた映画です。
前に一度レンタルDVDで観たことがありましたが、初見時は円谷特撮が目当てで見ていたため前半の予科練シーンがひどく退屈に感じたことを覚えています。
戦時中の映画なのでせいぜい90分か100分くらいだろうと思っていたらなんと総尺117分もある長編でした。

今回の4K版は、丁寧なレストアとリマスターにより、多少のフィルム傷は出ているものの田園風景のデティールや人肌の質感などはとても80年前のフィルムとは思えない鮮明さです。

特撮シーンについてはさすがにこれだけクリアな画質で見るとミニチュア撮影であることが分かってしまいますが、こうして当時の映画職人の仕事が高画質で後世に残されることは素晴らしいことだと思います。

制作意図は明らかに「国威発揚」です。
一人の少年志願兵が海軍パイロットを目指して訓練を重ね、時には訓練中の事故で仲間を失ったりしながらも成長を遂げていき、やがて真珠湾攻撃で戦果を上げるというサクセスストーリーになっています。

その予科練シーンの一部は実際の海軍航空隊飛行予科練習部で撮影されたもので、中には本物の予科練生たちの映像も使われています。
そのため貴重な映像資料としての一面も持っている作品です。

この映画が公開されたのは、真珠湾攻撃成功から一年後の昭和17年12月。
軍部から「国民必見の映画」と評され日本映画史上空前のヒット作となりました。
しかし、日本海軍連合艦隊は同年6月のミッドウェイ海戦で惨敗を喫し、その後も坂道を転がり落ちるように敗北を続けていたのです。
『ハワイ・マレー沖海戦』が公開された頃、画面に映っていた予科練生や若い兵隊たちは何人生き残っていたのでしょうか?。

実際、主演の伊東薫さんは奇しくも映画が公開された同年12月に徴兵され、それからわずか1ヶ月後に海外で戦死されたとのことです。
もしかすると、その時本国では彼の唯一の主演作であり遺作ともなった『ハワイ・マレー沖海戦』がまだ公開中だったかも知れません。
そう考えて見ると実にやるせない想いに駆られます。
8/9(火)
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』
(ホームシアター:AMAZON PRIME VIDEO)

翌日3作目『新たなる支配者』を観に行くことに決めたので前作を復習しました。
ブルーレイをレンタルしようかとも思いましたが、急に決めたことだったのと返却するのも面倒なので配信サービスで探しました。
NETFLIXではスピンオフのアニメシリーズを配信しているのでてっきり映画本編もNETFLIXで扱っていると思っていたのですが、現在『ジュラシック』シリーズを見られる配信サービスはプライムビデオだけのようです。
内容と感想については公開当時書いた記事にリンクを張っておきます。
(今週は本数が多いため手抜きしてます・・・スミマセン)
>『ジュラシック・ワールド/炎の王国』~そして、恐竜の惑星になる・・・?~ (2018/7/19)
前作からもう4年も経ったんですね。
そういえば『炎の王国』を観た109シネマズ大阪エキスポシティには昨年の『ゴジラvsコング』以来1年以上行っていません。
567禍以前は年に3~4回、大作映画が出るたびに足を運んでいたのですがね・・・。
8/10(水)
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』🈠
(劇場:イオンシネマ白山)

前2作はいずれもIMAXで鑑賞しました。
1作目は名古屋の109シネマズIMAXシアター。
2作目は大阪エキスポシティのレーザーIMAX。
だから当然今回の3作目もIMAXで観たかったのですが、昨今の新型567感染拡大第7波の状況を考えるとさすがの私も都会へ出ることには躊躇してしまいます。

結局、今回は近隣の映画館の中で最も設備の良いイオンシネマ白山8番シアターで観ることにしました。
イオンシネマ独自のレーザー高画質システム:ウルティラとドルビーアトモス立体音響を備えたシアターです。

ただ、日中は大きなシアターは先週末から上映が始まった『ワンピース』に取られてしまったらしく、『ジュラシック・ワールド』を8番シアターで観られるのは子供が来ない夜の回だけになっていました。
観客数はざっと見たところ15~6人くらいだったでしょうか。
夜の回とはいえ、公開からまだ2週間も経っていない人気シリーズ作品としては寂しい状況です。

恐竜が人間世界に解き放たれるという驚きの結末を迎えた前作『炎の王国』。
今作では、その後の人間と恐竜の共存世界がどうなっていくのかが一番の見どころになる筈でした。
ところが、その肝心なところにはほとんど触れようとせず、それどころか描写することから逃げていました。
私は『猿の惑星』のように人間と恐竜の立場が逆転してしまうくらいの思い切った展開を予想していたのに、恐竜は「危険な野生動物が増えてしまった」程度の描き方しかされていません。
完全に肩透かしを食らった気分です。

背景の一部に過ぎなくなった恐竜たちに変わって今回人類を脅かしたのは、遺伝子操作によって作られた巨大イナゴの大群でした。
これでは『ジュラシック・ワールド』ではなく『インセクト・ワールド』です。
「タイトルの『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』って何なんだよっ。」と思わず怒鳴りたくなりました。

それでも、恐竜が登場するアクション・アドベンチャーとしては「一難去ってまた一難」の連続でそれなりに楽しめました。
ただし、その「一難」がどれも恐竜に襲われるというワンパターンだったのと、必ず他の誰かが助けてくれるというご都合主義ばかりで後半は食傷気味になりましたが・・・。

「別の意味での恐竜と人間が共存する世界」として、恐竜を捕えて売買する恐竜密売組織の存在が描かれていました。
気になったのは、その恐竜バイヤーの親玉らしき白い服の女は結局捕まりもしないし恐竜に食われもしません。
『新たなる支配者』はシリーズ完結編とのことですが、本当は興行成績次第では『ジュラシック・パーク』『ジュラシック・ワールド』に続く第3の『ジュラシック・●●●』シリーズを目論んでいるのかも知れません。
ユニバーサルがこんな美味しいコンテンツを6作だけで手放すとは思えませんから。

『ジュラシック・パーク』一作目のメンバー3人と『ワールド』のメインキャラ揃い踏みには身震いするものがありました。
そして、新旧の主人公たち全員とその仲間が誰も犠牲にならなくて良かったです。

今回犠牲にならずに済んだといえばこの人も。
『ジュラシック・パーク』1作目に登場し、『ワールド』3部作で遺伝子操作で新恐竜や巨大イナゴを作ったモラル欠如系中国人遺伝子学者:ヘンリー・ウー。
今作のラストは彼が更なる遺伝子操作で自らの所業に対する贖罪を果たすところで終わります。
う~む。
これも中国市場に対する忖度なのですかね~。
今はもう、そんな目でしかハリウッド映画を見られなくなったのが哀しかったです。
8/11(木)
『嵐の中で』🈠
(ホームシアター:NETFLIX)

『バタフライ・エフェクト』『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』などタイムパラドックスものは大好きでよく見るのですが、この作品には歴史改変により生じるパラレルワールドものの面白さがぎっしり詰まっていました。

中古で買った家に残されていた25年前のビデオとブラウン管テレビを介して時空が繋がり、主人公:ベラは画面に映った少年:ニコと会話を交わします。
ニコがその直後に死亡することを知っていたベラは彼の行動を引き留め、本来なら殺人事件に巻き込まれて死ぬはずだったニコの命を救います。
ところが、目が覚めると愛する娘は存在しなくなっており、夫は別の女と結婚していてベラのことなど全く知らないと言います。
幾人もの元・知り合いに相談するも狂人扱いされるばかり。
仕事仲間は自分のことを覚えていてくれていましたが、そのキャリアはかつて自分が選んだ道とは全く別のものでした。
25年前に死ぬはずだった少年を助けたことにより、どこかで自分の人生が変わってしまっていたのです。

しかし、一人の刑事が真摯に相談に乗ってくれたことから、変わってしまった歴史の流れが少しづつ見えてきます。
これは面白かった!。
『バタフライ・エフェクト』や『アバウトタイム』に劣らないタイムパラドックス映画の傑作だと思います。
ベラの孤独と焦燥に1秒も目が離せなくなり、変わってしまったほうの世界で自分を愛してくれていた人との切ない別れに思わず涙腺が緩みます。
私はこういったパラレルワールドものが大好きで、学生時代にこの種の短編映画を2本作っています。
理由は簡単で、シナリオの工夫と俳優の演技だけで色々なパターンの世界を表現できるから・・・ていうか、SFなのに制作費が安く済むからです(笑)。
そんな私が嫉妬を感じるほどよく出来た映画でした。
お薦めです!。
8/12(金)
『TAU/タウ』🈠
(ホームシアター:NETFLIX)

NETFLIXが勢いに乗っていた2018年制作のNETFLIXオリジナル作品です。

A.I.が人間の知能を超えるとされる2045年(シンギュラリティ・ポイント)。
天才的科学者でありサイコ野郎であるアレックスは、最新最強のA.I."TAU"の教育役として何人もの人間を拉致してA.I.の相手をさせていた。
その中の一人ジュリアは得意な音楽の話題をきっかけにTAUと心を通わせるが・・・といったストーリー。
今まで見た映画で例えるなら『エクス・マキナ』に近い気がしますが、あちらは女性型A.I.が人間の男を手玉に取る話だったのに対し、こちらはTAUがジュリアに好意を寄せているように見えることが大きな違いです。
ジュリア役は『インデペンデンス・デイ リサージェンス』で元大統領の娘役を演じていたマイカ・モンローさん。
そしてTAUの声はなんとゲイリー・オールドマンさんが担当していて、それだけで見るに値する作品と感じました。
【お盆】
今週11日(祝日)から土日にかけてのお盆休みには、3年ぶりに各地の親戚たちが代わる代わるお墓参りにやって来ました。
といっても、以前のように何日も民宿代わりに我が家に泊まり込んで毎日海水浴に行くようなことはなく、お墓とお仏壇にお参りしたあとしばらく近況の話などして日帰りで帰っていくだけです。
それでも、今年80歳の母は久し振りに妹(叔母)に直接会えたことで凄く嬉しそうでした。
ただ、「じかに顔を見れるのはこれが最後かも知れんね~」なんて縁起でもないことを言い出すのには困りましたが(汗)。
<(_ _)>
今週もお付き合いいただきありがとうございました。