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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2022.11/28~2022.12/4)

トガジンです。

毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

20221204 TOP
今週観たのは上記の3本です。
奇しくも庵野秀明さん関連の作品ばかりとなりました。
このうち、DAICON版『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進せよ!』は2週連続の視聴となりましたが、8ミリ映画制作経験者としては見どころがテンコ盛りだったのでもう一回見返しました。



11/28(月)
『シン・ウルトラマン』
(ホームシアター:AMAZON PRIME VIDEO)
『シン・ウルトラマン』アマプラ配信
公開当時映画館で3回見ていて今回が4回目ですが、味が落ちることは少しもなく今度も美味しくいただくことが出来ました(笑)。
ただ、劇場の大画面と大音響で仰ぎ見た時と違って、今回は若干の物足りなさと違和感が残りました。

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前半では怪獣の出現もウルトラマンの地球来訪も全てメフィラス星人の策略によるものだったという話になっています。
そうしたロジカルな面白さは満点に近いのですが、情感に訴える部分や童心に還った気持ちになれる部分が欠如しているように感じました。
例えば、ガヴァドンやウーやヒドラみたいに子供たちの心が怪獣・・・じゃなくて禍威獣を呼び出してしまう話とか、ジャミラやシーボーズのように怪・・・じゃなくて禍威獣に肩入れしたくなるエピソードも見たかったです。

『シン・ウルトラマン』禍特対メンバー
ウルトラマン(リピア)が「地球人を好きになった」と言っても、彼がこの映画で接触した人間は禍特対のメンバー4人と神永の元同僚:加賀美の5人だけです。
同じ環境にいる同年配の仲間だけが相手では学生と同じです。
それだけでは光の星のリピア(ウルトラマン)が「人間世界を知った」「人間を好きになった」とはまだまだ言えない気がします。
リピアには人間の影の面、つまり汚い部分や冷酷な部分、そして子供の純粋な心にも接したうえで「もっと地球人を好きになって欲しい」のです。

庵野監督は『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』ではイジけた14歳のままのシンジに昔と同じように接してくれる友達や、礼儀について叱ってくれるおじさんや綾波に農業を教えてくれるおばちゃんたちなど良い大人をちゃんと描いてみせてくれました。
『シン・ウルトラマン』の神永(リピア)にもああいう素敵な人々と会わせてあげて欲しかったと思います。

『シン・ウルトラマン』元同僚:加賀美
ザラブの陰謀にハメられた神永は、前の職場での同僚:加賀美の助力により拉致状態からの脱出に成功します。
序盤では禍特対メンバーにはほとんど関与しなかった神永(ウルトラマン)も、何故か加賀美にだけは独自にコンタクトを取っていました。

この加賀美という男。
パンフレットで名前を知った時から「もしかして『ミラーマン』の鏡京太郎をモチーフにしているんじゃないか?」と思ってました。
更に今回自宅でじっくり見ていると、加賀美は最初からザラブの陰謀もメフィラスの暗躍も知っていて調査を進めていたように見えてきます。
もしかすると加賀美は本当に異次元人で、もし2作目が作られたらその正体を明かしてウルトラマン(=元同僚の神永)に協力するんじゃないか?と思えてきました。

『シン・ウルトラマン』神永シンジ
最後に目覚めた神永は、生き返ったオリジナルの神永なのか?
あるいは、ベーターシステムを体内に内包して人間とウルトラマンが完全一体化している神永(つまり郷秀樹状態)なのか?。

いずれにせよこれで終わって欲しくはありません。
ぜひシリーズ化して最低でも3部作にして欲しいです。
そのためにも、私たち特撮ファンはアマゾンプライムで『シン・ウルトラマン』を何度も見て再生回数を上げなければなりません。
そして、ブルーレイが出たら必ず買って売り上げに貢献しなければなりません。
「『シン・ウルトラマン』を見たがる奴がこんなに大勢いるのか!。」と、明確に数字を上げなければスポンサーは決して動いてくれないのですから!。



11/29(火)
『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令!』
(ホームシアター:AMAZON PRIME VIDEO)
DAICON『帰マン』プライムビデオ
先週も記事にしたばかりですが、気になる部分がいくつもあったのでもう一回見てみました。
この映画は8ミリフィルムで作られていますが、これほど高画質にレストアされていれば合成画面を細かく判別できるかも知れないと思ったのです。

シングル8とスーパー8のフィルムカートリッジ
今では知らない人のほうが多いと思うので、8ミリフィルムの規格について少し説明しておきます。
私が自主映画制作に夢中になった’80年代には、アマチュア映画のフォーマットとしては8ミリフィルムが唯一のものでした。
その名の通りフィルム幅が8ミリの小さな映画システムですが、その規格にはビデオのβとVHSのように大きく二つの種類がありました。
家庭用ムービー規格として世界的に普及していたコダックの「スーパー8方式」と、日本の富士フィルムが独自に展開した「シングル8方式」の二つです。
シングル8の高級機には巻き戻し機構が付いていて、それを利用して多重合成が可能でした。
『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令!』には、シングル8方式でなければ実現不可能なショットが多数含まれています。

フジカ シングル8方式 ZC1000
シングル8カメラの最高峰がZC1000です。
画面の一部を黒マスクで隠して一回目の撮影を行い、二回目は最初のものと反転させた黒マスクで既撮影部分を保護しながら撮影すれば現場で合成画面が作れるのです。
(ただし、現像するまで成否が分からない一発勝負でした。)
この機能は私が大学時代に所有していたスーパー8方式(機種はキヤノン 814XL-S)では不可能なものでした。
また、スーパー8とシングル8は同じ8ミリフィルムでありながら厚さが違うため、スーパー8用に調整した映写機でシングル8フィルムを上映するとピンボケになるという弊害がありました。(逆も同じ)

あと、同級生の一人にZC1000を持っていた金持ちのボンボンがいて羨ましく思っていたんですが、何故かそいつは一度もその機能を使って特撮ものを作ろうとしませんでした。
私たち特撮志向のスーパー8ユーザーは「宝の持ち腐れもいいとこだ!」「そいつを俺たちに貸せ!」と、強引に彼をメンバーに引き込んで特撮作品を作っていました。

『DAICON帰マン』シングル8でマスク合成
今回は特撮ショットばかり重点的に見ていました.
ウルトラマン(庵野さん)と怪獣が戦っている手前を隊長親子が駆け抜けるこのショットは間違いなくマスク合成で作られています。
塀の形に切り取られたマスクの跡が微妙にブレていることと、奥のウルトラマン対怪獣の部分と手前の人物部分とで若干色味が違うことからそれは明白です。
奥と手前で色合いが違うのは、奥行き感を出すためにそれぞれフィルターを変えて撮っているからです。
「人の目は青っぽい色は遠く感じ、赤っぽい色を近く感じる。」と言う色による錯覚を活用しているのです。

『DAICON帰マン』シングル8のマスク合成
ちょっと判断に迷ったのはこの画面です。
このレイアウトなら、家のミニチュアセットを立体ではなく写真にして出来るだけ手前に置き、塀ギリギリの位置で庵野さんが演技をすれば錯覚を利用した遠近法で十分作れそうな気がします。
(私も友人が作った特撮ものに撮影担当として参加したとき実際にこうした遠近法で撮った経験があります。)

でも、よく見ると手前の人物よりウルトラマンのほうが若干大きく映っています。
遠近法ではこういう画にはなりません。
また静止画にしてよく見ると、塀のブロックの上部が不自然にスッパリ切れていることから、このショットもマスク合成であったと断定出来ました。
でも、こうして静止画で見なければ分からないということは、余程上手い撮影技術と画作りのセンスを有していたことの証しです。

DAICON『帰マン』スペシウム光線
スペシウム光線発射カットはまず発射ポーズを普通に撮影して巻き戻し、そこに黒紙に描いた光線のアニメーションをコマ撮りで多重撮影したと考えられます。

『DAICON帰マン』多重露出合成
8ミリ映画の多重撮影の大変さを知る者としては、ウルトラマンの光線技を怪獣がバリアではじき返すこのカットは何度見ても驚かされます。
これらの光線技シーンは撮影済みの元絵の位置関係や動きのタイミングをしっかり把握しておかなければ、位置やタイミングがズレてしまってカッコ悪い画になってしまいます。
想像ですが、これらのショットは何回も何回も撮り直してコツを掴みながら作ったに違いありません。
だって、現像が上がってくるまでは撮った映像を見ることは出来ないのですから。

DAICON『帰マン』勝利
最後の怪獣大爆発は合成ではなく、本物の火薬を使って庵野さんの目の前で吹き上がった本物の爆炎です。
メイキングビデオには、炎のあまりの大きさと熱風に驚いたスタッフが「庵野くん大丈夫か!?」と慌てて駆け寄っていくところが映っていました。
当時、20歳前後の特撮青年たちが本気で作っていたことがよく分かります。

「それを知ってるからってどうだというのか?」とよく言われますが、昔8ミリ映画作りに傾倒した者としてはこんな風に作り方を考察するだけでも十分シアワセになれるのです(笑)。
そして、今更ながら同じ大学の先輩たちの凄さに驚くと同時に、自分もあと1~2年早くこの大学に入って作品作りに参加したかったと思えてなりません。



11/30(水)
『王立宇宙軍』
(ホームシアター:4K ULTRA HD Blu-ray)
『王立宇宙軍』ULTRA-HD BD
LD、サウンドリニューアル版LD-BOX、DVD、BD、そして今回の4K ULTRA-HD BDと、フォーマットの進化と共に必ず買い直している私のフェイバリット作品の一つです。
アマゾンの「ブラックフライデーセール」で3割引きくらいで安くなっていたので思わずポチってしまいました。
4Kリマスターの最新バージョンで、都市部では10月に劇場再上映もされていたみたいです。

『王立宇宙軍』ロケットとPLの塔
劇中に登場するロケットのデザインは、我が母校である大阪芸術大学からもよく見えていたPL学園の塔がモチーフだと言われています。

話が思いっきり横道に逸れますが、私の大学生時代のPL学園野球部キャプテンは現在の中日監督:立浪和義氏でした。
富田林のほうに出ると時々野球部のランニングに遭遇することがあって親しみを感じていたんですが、そのPL野球部も今はかつての栄光は失われてずっと休部状態になっています。
「阪神よりPLのほうが強いんちゃうか?」とまで言われたあの頃を思うと「諸行無常」という言葉がズシリと胸に響きます。

閑話休題・・・。

『王立宇宙軍』架空の文字
このアニメーション映画、当時としては(いや、今見ても)常識外れなまでに細部まで拘っています。

架空の世界とか異世界に私たちが見知った文字が出てきたら途端に気持ちが醒めてしまいます。
そのため『王立宇宙軍』では、オネアミスという国を架空の世界として描ききるため全ての文字を創作してしまいました。
日本語の「あいうえお~」と数字とアルファベットを別の文字デザインに置き換えて、日本語の文章をそのまま置き換えただけのものらしいのですが、それだけでも十分に異世界感が醸し出されておりました。

あの『スター・ウォーズ』第1作(77年アメリカ公開)でさえ、初公開バージョンではデス・スター内部に普通にアルファベットで表記されていた部分がありました。
’97年に<特別編>としてリニューアルした際、CG処理でそれらのアルファベットを全て架空の文字に置き換えていましたが、『王立宇宙軍』は最初から(しかもスター・ウォーズ特別編の10年前に)それをやってのけていたのです。

『王立宇宙軍』CGベースの手書きアニメ
一般的なアニメなら大胆にデフォルメして描くような戦闘機の飛行・戦闘シーンなども、徹底してリアル描写を貫いて形を崩すことなく描いています。
その一部には当時はまだ珍しかったCGも使われていました。
ただし、CGを使ったのはワイヤーフレームまでであり、その線を元に手描きアニメーションを描き起こしたものになっています。

『王立宇宙軍』手書きアニメーション!?
そしてアニメーター時代の庵野秀明氏が描いたロケット打ち上げ時に細かな氷塊が落ちてくるこのカット。
無数の氷塊一つ一つに番号を振り、その全てが同じ動き・スピードにならないように手描きしたという執念のエフェクトアニメーションです。

『王立宇宙軍』知り合いがが動画を描いたらしきカット
しかし、そんな高度なアニメーションの中にも一部学生がアルバイトで描いた動画も含まれているというから面白いです。
中には私と同じ大学の同級生や後輩など知り合いが動画を描いたシーンもありました。
どのカットかは断定できませんが、当時実際に描いたという後輩が「牛みたいな動物が草を食べるカットを描いた」と言っていましたから、おそらく↑が彼が動画を描いたカットではないかと思います。

これは山賀監督や庵野作画監督が大阪芸大出身だったという縁と、当時大阪にあったアニメスタジオ(社名は失念)を通して回ってきた仕事だったみたいです。
参加した学生の中にはその後本当にアニメーターになった者もいたと聞き及んでいます。
このように、母校の先輩をはじめ同級生や後輩も参加して作られたこのアニメ映画は、同じ学校のOBである私にとって特別な存在なのです。

『王立宇宙軍』行ってきます、行ってらっしゃい
ロケット打ち上げ当日の朝、シロツグはリイクニに会いに行きますが(生きて帰れないかも知れない)任務の事は何も語らずただ「行ってきます。」とだけ言ってその場を去ります。
事情を知らないリイクニもただ「行ってらっしゃい。」と笑顔を返すのみ・・・。

とても素敵なシーンですが、実は私は『王立宇宙軍』公開当時(’87年春)この場面を見たとき、「シロツグは死ぬんじゃないか?」と思ってしまいました。
つまり死亡フラグに見えたのです。

『王立宇宙軍』死んだかと思った
そしてラストでコクピット内に強い光が差し込み、その後シロツグの少年時代と思しきイラストが次々出てくるのを見て「これはシロツグが死の間際に見た彼の人生の走馬灯というやつだ」と勝手に思い込んでおりました。

当時の私はどうしてそんな病んだ見方をしていたのか?

1987年春。
私はロクに就職活動もしないまま大学を卒業し、学生時代から続けていたTV局関係のアルバイトを中心にフリーターになっていました。
フリーターといっても、当時はバブル景気の真っ只中で一ヶ月30日間丸々仕事が入ってきてダブルヘッダー・トリプルヘッダーもしょっちゅうでした。
ハッキリ言って当時の私は、一流企業に就職した同年代の連中の倍以上稼いでいたと思います。
その代わり休みはほとんどありませんでしたが、それでも自分の技術や画作りのスキルが上がっていくのが楽しくて仕方なかったです。

でも、心の奥底には、ちゃんと就職しなかった自分に対する自責の念と、苦労して県外の大学に行かせてくれた両親に対する申し訳ないという気持ちが根強くあったことも確かでした。
そういった自分の将来への不安と心の呵責が、無意識のうちにこの場面を暗い方向に受け取ってしまったのではないかと自己分析しています。




今朝(12/4)、コメントが来ていないかとFC2ブログのお知らせ画面を開いてみてビックリしました。

20221204 映画レビュー部門で1位?
何故か映画レビュー部門で当ブログが1位になっていたのです。(゚Д゚)ハァ?
しかも、昨日は2位だったらしいです。

このランキングって、突然100位以下に叩き落とされたこともあったりして基準がよく分からないのですよ。
だからもう気にしないことにしていたんですが、さすがに「1位」と言われると悪い気はしませんね(笑)。

それにしても・・・。
20221204 何故か映画・レビュー部門で1番に?
自分で言うのもなんですが、皆さんこんな雑多なブログのどこを気に入っていただけたんでしょうか?。


今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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COMMENTS

2 Comments

There are no comments yet.

ゾンビマン  

お邪魔します。

イヤ~1位は凄いですよ。
その前2位と安定していて。
たまに誤作動のように上位にいくことはあっても、ベスト3にはなかなか入れませんから。
おめでとうございます!

2022/12/05 (Mon) 00:18 | EDIT | REPLY |   

トガジン  

これが学校の成績だったら親は泣いて喜んだことでしょう(笑)

ゾンビマンさん、コメントありがとうございます。

とりあえず今日は3位に後退してました(笑)。
いつもは25位前後(1ページ目と2ページ目の間あたり)をウロウロしてるのですぐに定位置に戻ると思います。
上位に名前が上がるのは悪くない気分ではありますが、その反面、理由が分からないのでちょっと気持ち悪かったりもしますね。

2022/12/05 (Mon) 19:27 | EDIT | REPLY |   

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