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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2022.12/26~2023.1/1)

トガジンです。

毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。
たとえ元日であろうとも、ブログ開設以来一週も欠かさず続けてきた「週刊映画鑑賞記」は休みません!。
我ながら律儀なことだと感心します(笑)。

20230101 週刊映画鑑賞記TOP
年末見たのはこの2作品。

4Kリマスター版『ラドン』最高でした。
福井では1月12日まで上映が続くのであと1~2回は見に行きたいくらいです。



12/27(火)
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(ハイフレームレート3D/日本語吹替版)
(劇場:イオンシネマ新小松)
2022-12-27 『アバターWOW吹替え版』チケット
『アバターWOW』は先週木曜に2D字幕版を見てきたばかりですが、今回技術的興味から2度目を見に行きました。
字幕を読みながらではあの映像美をじっくり楽めませんから。
そこで、次は地元の劇場で日本語吹替版をチョイスしました。
映画の内容にいくつか不満があったとはいえ、本作一番の売りであるハイフレームレート3Dだけはどうしても体験しておきたかったのです。

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』ハイフレームレート解説
話題のハイフレームレート映像は特に映像の密度が上がったようには思いませんでしたが、激しい動きの残像感とかブレが少なくなって細部が良く見えるようになっていました。
4倍フレームレートモードのテレビで映画を見ると秒間24コマの映画がビデオ撮影のドラマみたいなヌルヌルした気持ち悪い動きに変わってしまいますがあれとは別物です。
例えるなら「自分の動体視力が良くなったのかな?」みたいな感じでした。

「SF映画とはまるで見てきたように嘘をつくもの」と誰かが言っていたのを思い出しました。
この新技術があらゆる映画に有効だとは思いませんが、少なくともファンタジーものには相性が良い気がします。

ただ、激しい動きのシーンの細部も見えやすくなったことで、捕鯨船の銛撃ち機に書かれていた「日浦」という日本語名までハッキリ見えてしまうのは日本人としてはマイナスでした。
ちなみに、前回字幕版で見た時「日浦」というのは船名か会社名だと思ったんですが、どうやら銛撃ち機のメーカー名だったらしいです。

リアル3Dメガネ
ハイフレームレート版『アバターWOW』は3Dがとても自然です。
福井コロナの3D上映はアクティブシャッター方式ではなくシンプルな偏光式(REAL 3D)ですが、クロストークが気になることは無かったです。
また、前作はやたら3Dであることを強調するかのように眼前に物が飛び出してくる画が多かったですが、今回はむしろ奥行き感を出すことに注力している感じで、3Dメガネをかけて見ていることをいつの間にか忘れていたくらいでした。

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』パンドラに建造された人類の基地と捕鯨船
あと、今回は吹替え版で見たんですが、前回字幕版で見た時に超重要なセリフを見落していたことに気づきました。
「地球はもう人間が住めない星と化していて、今回は資源採掘ではなく移住のための準備である。」と目的が変わっていたのです。

でも、パンドラの大気は地球とは全く違います。
今回の映画では詳しく描かれませんでしたが、地球人の採掘基地に見えたのは実はパンドラの大気を地球と同じにするためのテラホーミング施設なのかも知れません。
そんなものが完成したら、ナヴィをはじめパンドラの全生物は死滅してしまいます。
次回作はそれを阻止する話になるのでしょうか?。

先週へろんさんとのコメントのやりとりの中で、私は「全5部作ということで最後の2本はナヴィが地球人型のアバターを使って地球へ行く話になるんじゃないか?」という仮説を書いたんですが、地球人が資源搾取ではなく移住のための侵略に目的を切り替えたとなるとこの仮説が本当になりそうな気がしています。

それにしても、吹き替え版でもう一回見て本当に良かったです。
ていうか、本作は字幕より吹替え版で見るほうが絶対良いです。



12/30(金)
『空の大怪獣ラドン』(午前十時の映画祭)
(劇場:鯖江アレックスシネマ)
『空の大怪獣ラドン』ポスター画像B
「午前十時の映画祭」に特撮映画枠が設けられて今年で2年目。
昨年の『モスラ』が好評だったことから、今年は『ラドン』がスクリーンに復活することとなりました。

『ゴジラ1983』in メトロ劇場
私が『空の大怪獣ラドン』を始めて見たのは、83年夏の「ゴジラ復活フェスティバル83」のときでした。
その後LD、DVD、ブルーレイ、そして衛星放送のリマスター版と何度も見返してきていますが、劇場で見るのは「ゴジラ復活フェスティバル」以来39年ぶりです。

2022-12-30 チケット
「午前十時の映画祭」Bグループではこの日が『ラドン』初日です。
早速見に行ってきました。
座席はやや前寄りのどセンター。
映像が視界いっぱいに広がり、スピーカーの音も真正面から聴こえる最良の席です。

2022-12-30 劇場内
平日の午前中だったとはいえ、20人ほどの客が入っていました。
全国的にはどのくらい入っているのか分かりませんが、昨年の『モスラ』みたいにたくさんお客さんが入って来年以降も「午前十時の映画祭」特撮枠が継続(出来れば増枠も)してくれることを願ってやみません。

「午前十時の映画祭2022」空の大怪獣ラドン
正直、「ゴジラやモスラに較べて地味なラドンで大丈夫なのか?」と思ったことは確かです。
しかし、今回の『ラドン』再上映には、そんな懸念などソニックブームで吹き飛ばすほどのインパクトがありました。
4Kリマスター化に加え、オリジナルそのままの「イーストマンカラー総天然色」を完全再現することに成功したというのです。

『ラドン』のデジタルリマスター化は実はこれが二回目です。
2018年4月に日本映画専門チャンネルでデジタルリマスター版「東宝特撮王国」のひとつとして放映されました。
そのときの映像はおそらく従来のマスターネガを最良の方法でレストアしたものでしたが、今回の4Kリマスター版はあのときの好印象を遥かに上回る美しさでした。
最初の東宝マークとタイトルを見ただけでも「噂には聞いていたがこれほどとは!?」と、ただただ驚くばかりの綺麗さでした。

『空の大怪獣ラドン』屋外ロケシーン
今回の『ラドン』は単に4Kレベルでリマスタ―化しただけではありません。
新たに発見された3原色分離の保存用ネガから当時本多監督と円谷特技監督が意図した通りの色と解像度を完全に復元しているのです。
それがはっきりわかるのは、なんといっても屋外ロケシーンの空の青さや緑の鮮やかさです。
初のカラー怪獣映画で、しかも『空の大怪獣』というくらいですから、本多監督も黒澤監督ばりに天気待ちしながら撮ったに違いないと思ってしまいました(笑)。

『空の大怪獣ラドン』浴衣
そして白川由美さんが着ていた浴衣の艶やかさ!。
兄が殺人容疑をかけられているという時にこんな浴衣を着るものだろうか?・・・なんて野暮な突っ込みは不要です。
日本で最初のカラー特撮なのですから、ヒロインも常に美しくなければいけません。
むしろ、この艶やかな浴衣姿でメガヌロンに襲われるからこそ対比的に恐怖感が増すのです。

『空の大怪獣ラドン』メガヌロン対警官
あと、音声に関しても丁寧に復元されているらしく、メガヌロンのキュキュキュという不気味な鳴き声の中に微かに鈴の音のようなシャリンシャリンというおとが混じっていることに今回初めて気が付きました。
あの鈴の音が何を表現するためのものかは分かりませんが、音響効果で架空の音に聴きなれた身近な音が混じって聞こえことでリアリティが増すことはすでに確立している手法です。
(『宇宙戦艦ヤマト』の爆発音の中にガラスが割れる音が混じっているのと同じです)
今回はそうした音響面でもリマスター関係者の強いこだわりを感じました。

『空の大怪獣ラドン』福岡襲撃
そして、お馴染みのラドン福岡市強襲シーン。

これまで再上映や放送に使われた『ラドン』のフィルムは、経年劣化したポジフィルムを元にしていたため全体が黄ばんだイメージになっていました。
そのため青天のはずの空がまるで黄砂でも降っているかのように黄色っぽく、ラドンの色も赤なのか茶色なのかよく分からなくなっていました。
また、ノイズの多さとコントラスト低下のためにラドンの造形も精巧なミニチュアも黄色いベールに包まれて見えにくくなっていました。
2018年のデジタルリマスター化の際にはかなり修復されていたものの、あくまでも保存用コピーネガからのレストアだったため、あれが本当の色やコントラストだったかどうかは定かではなかったのです。

それが今回三原色分離ネガを使用したおかげで、本多/円谷両監督の意図した通りの映像が再現されていました。
やはり、ラドンが襲撃した日の福岡市は晴天だったのです。
そして黄砂も降っていませんでした(笑)。

『空の大怪獣ラドン』砲撃
クリアな映像と音声でストレス無く見れたことで今回改めて心に染みた部分がありました。

実はこの映画には人間視点の音楽はほとんどありません。
音楽が鳴るのはメガヌロンによる怪事件で緊迫感が高まる部分とか、ラドンが飛行するシーンの勇ましい伊福部マーチとか、二羽のラドンが最期を遂げるシーンのレクイエムなど、怪獣を主体とした音楽ばかりです。

そのことが顕著なのがラストの阿蘇山に潜むラドンを集中砲火してあぶり出すシーンでした。
ひたすらミサイル発射音と爆発音が繰り返されるばかりで、「どうしてここに伊福部先生の勇壮な音楽が鳴らないのか?」と長年不思議に思っていました。

私は、あの執拗な爆撃の繰り返しは当時の日本人が10数年前まで毎日のように聞かされていた戦争の記憶であり、その同じ武器を使って共存不可能な怪獣を殺処分するという皮肉を表現していたのではないかと考えています。
ラドンやメガヌロンの恐怖感や勇壮さや哀れさを音楽の力を借りて強く印象付け、逆に人間に関してはひたすら淡々と描くことで「本当に酷いのはどちらだ?」と観客に問いかけているように感じました。


今週も付き合いいただきありがとうございました。
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COMMENTS

2 Comments

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へろん  

>パンドラの大気を地球と同じにするため
それ、ガミラスの遊星爆弾と同じことですやん!!

そうなってしまうとナヴィ人と地球人との種の存亡をかけた宇宙戦争しかなくなってしまう……ナヴィ人が策略で奪取した宇宙戦艦で地球に赴き、戦艦の最終兵器を地球へ向けてぶっ放し、関係ない無辜の地球人もろとも地球は死の星と化し、最後にナヴィ人が「なぜもっと愛し合うことができなかったんだ!」と……すみません、なんか混線してます(^^;)
(あ、ナヴィ人の青い肌って以前からガミラス人を連想していたのですが、やっぱりヤマトの裏返し!?)

まあアメリカ映画ですから、良くも悪くもあまり暗くならずに落としどころを付けるような気もします……ありそうなところでは、

「地球はもう人間が住めない」というのは軍人たちに侵略への疑問を持たせないための偽情報だとか。

あるいは、別の惑星とか人工冬眠とかマルチバース移住とか、パンドラを侵略せずに済む手段が見つかるか。

しかし侵略という重いテーマを描くからには、あまりご都合主義的な安易な方向に流れてほしくないという気もしますね。

2023/01/03 (Tue) 17:32 | EDIT | REPLY |   
トガジン

トガジン  

へろんさん、コメントありがとうございます。

「地球は人間が住めない星になったからパンドラへ移住する」というセリフは司令官がサラッと言うひと言だけなので、うっかりすると聞き逃す(字幕だと見逃す)人が多そうですが、これが3作目への重要な伏線であることは間違いないと思います。

>それ、ガミラスの遊星爆弾と同じこと

ですよね~(汗)。
遊星爆弾はガミラスにしてみればガミラスホーミングということでしたから。
あと、今回ナヴィの別種族で緑の肌の連中も出てくるのですけど、そっちは彗星帝国か?って思ってしまいました(笑)。

>あまり暗くならずに落としどころを付ける

パンドラ星には星全体に根を張っている精霊の樹(一つの生命体)があって、ナヴィ人は肉体が滅んでも精神はその樹の中に取り込まれる(あるいは還っていく)ことで星と一体化するという設定になっています。
(『禁断の惑星』のイドのようなものか?)
前作のラストで主人公ジェイクは地球人としての肉体を捨て、この精霊の樹を通してナヴィ人の身体(アバター)に転生しましたから、もしかすると最終作では全地球人がナヴィ人の身体を手に入れて生き延びるという話にも出来そうです。

あるいは、ナヴィ人が地球人型アバターを使って地球へ行って、コスモクリーナーDみたいにその精霊の樹を植樹することで地球の危機的状況が救われてハッピーエンドとか?。
人類側にはそれにも反対する石頭が大勢いて諍いも起きるでしょうが、人種差別とか多様性への理解とかがやたら取り沙汰される現在ではこれが理想的な落としどころではないかと思います。

2023/01/04 (Wed) 07:43 | EDIT | REPLY |   

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