週刊映画鑑賞記(2023.2/6~2023.2/12)
CATEGORY週刊映画鑑賞記
トガジンです。
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

今週見たのはこの2本です。
2/6(月)
『鳥』
(ホームシアター:BS4K録画)

BS4Kで放送されたアルフレッド・ヒッチコック監督の名作『鳥』を鑑賞。
10年以上前に「午前十時の映画祭」で見て以来これが3回目(多分)です。
4K放送ということでさぞ鮮明な画質になっているに違いないと期待していましたが、結構細部が潰れていて思ったほどではありませんでした。
もしかすると2Kハイビジョン素材のアップコンバートだったのかも知れません。

大まかなストーリーと有名な場面(ジャングルジムに集まってくる鳥たち等)だけは覚えてましたが、細かい部分については程よく忘れていた(笑)ので自然に引き込まれながら見てました。
オープニングタイトルなど「あれ?、こんなにスタイリッシュだったっけ?」と見惚れてしまったくらいです。

嫌味な都会女が鳥に襲われるようになり、田舎街の人々がその巻添えを喰うという話です。
どうして鳥が人間を襲うのか、その理由は一切語られていません。

しかし、鳥が人間を襲う場面を見ているうち、ふと「鳥は恐竜の子孫である」という説を思い出しました。
この映画が作られた1963年にはまだ影も形も無かった学説ですが、大の鳥嫌いだったというヒッチコック監督は鳥類の内に潜んでいる恐竜のDNAを本能的に見抜いていたのかも知れません。
でも、今回は鳥の不気味さよりどちらかというと人間のほうが怖く見えました。

まずヒロインのメラニー(演:ティッピ・ヘドレン)からして変な女です。
ペットショップで出会った男:ミッチ(演:ロッド・テイラー)にコケにされて頭に血が上った彼女は、彼の車のナンバーから名前と住所を探り出し、彼が探していたつがいのインコをプレゼントして驚かせようとするのです。
そしてミッチが週末は実家に帰っていて留守だと分かると、更に車で2時間近くかけて彼を追いかけて、街の人から住所や家族構成を聞き出してしかも勝手に家に侵入します。
これはもう完全なストーカーです。
いくら美人といえども、こんなサイコパス女とは絶対に関わり合いたくありません。

普段は気の良い田舎街の住人達も、鳥の襲来を受けたことで彼らのDNAに刻まれた祖先たちの忌むべき記憶が蘇ります。
メラニーがこの街に来てから鳥の狂暴化が始まったことから、メラニーを「魔女」呼ばわりする者が出てくるのです。
魔女狩りというと普通は中世ヨーロッパのイメージしか浮かびませんが、実は300年ほど前アメリカのセイラムという街で酷い魔女狩りが行われていたという事実がありました。
>「セイラム魔女裁判」(Wikipedia)
『鳥』の舞台はカリフォルニア州の架空の街ですが、例えば「セイラムの住民の一部がカリフォルニアに移住して出来たのがこの街だった」という見方も出来ると思います。
名も無きモブキャラクターのたった1つのセリフからここまで想像が膨らむとは自分でも意外でした。

それにしても、あの不気味過ぎるラストシーンは何度見ても背筋がゾッとします。
この世界はこのあとどうなってしまうのだろうか?・・・と。
あと、この記事を書くにあたって色々確認しているうち初めて分かったことがありました。

ミッチの年の離れた妹:キャシーを演じていた子役さんが、『エイリアン』のヴェロニカ・カートライトさんだったことです。
10代の時には鳥の大群に襲われ、20代にはエイリアンの餌食になったり亭主が宇宙人に入れ替わられたり、30代にはせっかく宇宙飛行士の妻になれたのに亭主がミスしたせいでNASAからも政府からも冷遇されてしまうという実に気の毒な役柄が多い人です。
でも、それだけに今でもSF映画ファンから愛され続けている女優さんです。
2/10(金)
『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』🈠
(ホームシアター:NETFLIX)

今週見た2本目の映画はNETFLIXオリジナル作品『グラス・オニオン』でした。
せっかく1ヶ月間限定で契約復活したNETFLIXですから、週に1~2本は見ないと元が取れません(笑)。
そして、この『グラス・オニオン』は現在NETFLIXで限定配信されている作品の中でも特に「見たい!」と思っていた作品でした。
『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』でダニエル・クレイグが演じた名探偵ブノワ・ブランが再登場!。

前作でヒロインを演じたアナ・デ・アルマスさんが全く登場しないことは残念でしたが、そのことを差し引いてもミステリー映画としての面白さは健在でした。
『スター・ウォーズ』シリーズ中最低最悪の超駄作『最後のジェダイ』の監督の作品とは思えません(笑)。
もちろん独立したお話なので、前作を観ていなくても十分楽しめる映画になっています。

伏線や語り口などネタバレに繋がる部分が多すぎて(語りたくて仕方ないけど)語るわけにはいきません。
大雑把に言えば、前半は事件のあらましを見せて後半でその裏側を描くことで事件の全貌が見えてくるという二段構成になっています。

鼻持ちならないブルジョワどもを完膚なきまで叩き堕とすという前作の痛快さはそのまま継承されています。
ただ、キャラクターの魅力という点では前作の2割減といったところでしょうか。
最後の逆転劇もどこか力づくな感じで、ブノワの頭脳によって勝利する形ではなかったのが残念です。
(ありゃ、書いちゃった💦)

ただ、今回一番気になったのはタイトルについてです。
本編に出てきたタイトルは「Glass Onion」でしたが、ポスターには『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』と書かれています。

ナイブス・アウトとは、前作『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』に出てきたナイフの飾り物のことです。
しかし、今作はあくまで名探偵ブノワ・ブランシリーズ第2作であってナイブス・アウトは一切関係ありません。
これを市川崑監督の金田一耕助シリーズに例えるなら、最初の『犬神家の一族』が大ヒットしたから2作目のタイトルを『犬神家の一族2/悪魔の手毬唄』にするようなものです。
そんなおバカなタイトルはありません。

最初は「どうせまた日本の無知な広報担当者がやらかしたんだろう。」と思っていたんですが、海外版ポスターをよく見ると原題も「Glass Onion: A Knives Out Mystery」となっているではありませんか!?。
本国のNETFLIX担当者も相当なおバカさんですね(笑)。
3作目のタイトルはどうするつもりなんでしょうか?。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

今週見たのはこの2本です。
2/6(月)
『鳥』
(ホームシアター:BS4K録画)

BS4Kで放送されたアルフレッド・ヒッチコック監督の名作『鳥』を鑑賞。
10年以上前に「午前十時の映画祭」で見て以来これが3回目(多分)です。
4K放送ということでさぞ鮮明な画質になっているに違いないと期待していましたが、結構細部が潰れていて思ったほどではありませんでした。
もしかすると2Kハイビジョン素材のアップコンバートだったのかも知れません。

大まかなストーリーと有名な場面(ジャングルジムに集まってくる鳥たち等)だけは覚えてましたが、細かい部分については程よく忘れていた(笑)ので自然に引き込まれながら見てました。
オープニングタイトルなど「あれ?、こんなにスタイリッシュだったっけ?」と見惚れてしまったくらいです。

嫌味な都会女が鳥に襲われるようになり、田舎街の人々がその巻添えを喰うという話です。
どうして鳥が人間を襲うのか、その理由は一切語られていません。

しかし、鳥が人間を襲う場面を見ているうち、ふと「鳥は恐竜の子孫である」という説を思い出しました。
この映画が作られた1963年にはまだ影も形も無かった学説ですが、大の鳥嫌いだったというヒッチコック監督は鳥類の内に潜んでいる恐竜のDNAを本能的に見抜いていたのかも知れません。
でも、今回は鳥の不気味さよりどちらかというと人間のほうが怖く見えました。

まずヒロインのメラニー(演:ティッピ・ヘドレン)からして変な女です。
ペットショップで出会った男:ミッチ(演:ロッド・テイラー)にコケにされて頭に血が上った彼女は、彼の車のナンバーから名前と住所を探り出し、彼が探していたつがいのインコをプレゼントして驚かせようとするのです。
そしてミッチが週末は実家に帰っていて留守だと分かると、更に車で2時間近くかけて彼を追いかけて、街の人から住所や家族構成を聞き出してしかも勝手に家に侵入します。
これはもう完全なストーカーです。
いくら美人といえども、こんなサイコパス女とは絶対に関わり合いたくありません。

普段は気の良い田舎街の住人達も、鳥の襲来を受けたことで彼らのDNAに刻まれた祖先たちの忌むべき記憶が蘇ります。
メラニーがこの街に来てから鳥の狂暴化が始まったことから、メラニーを「魔女」呼ばわりする者が出てくるのです。
魔女狩りというと普通は中世ヨーロッパのイメージしか浮かびませんが、実は300年ほど前アメリカのセイラムという街で酷い魔女狩りが行われていたという事実がありました。
>「セイラム魔女裁判」(Wikipedia)
『鳥』の舞台はカリフォルニア州の架空の街ですが、例えば「セイラムの住民の一部がカリフォルニアに移住して出来たのがこの街だった」という見方も出来ると思います。
名も無きモブキャラクターのたった1つのセリフからここまで想像が膨らむとは自分でも意外でした。

それにしても、あの不気味過ぎるラストシーンは何度見ても背筋がゾッとします。
この世界はこのあとどうなってしまうのだろうか?・・・と。
あと、この記事を書くにあたって色々確認しているうち初めて分かったことがありました。

ミッチの年の離れた妹:キャシーを演じていた子役さんが、『エイリアン』のヴェロニカ・カートライトさんだったことです。
10代の時には鳥の大群に襲われ、20代にはエイリアンの餌食になったり亭主が宇宙人に入れ替わられたり、30代にはせっかく宇宙飛行士の妻になれたのに亭主がミスしたせいでNASAからも政府からも冷遇されてしまうという実に気の毒な役柄が多い人です。
でも、それだけに今でもSF映画ファンから愛され続けている女優さんです。
2/10(金)
『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』🈠
(ホームシアター:NETFLIX)

今週見た2本目の映画はNETFLIXオリジナル作品『グラス・オニオン』でした。
せっかく1ヶ月間限定で契約復活したNETFLIXですから、週に1~2本は見ないと元が取れません(笑)。
そして、この『グラス・オニオン』は現在NETFLIXで限定配信されている作品の中でも特に「見たい!」と思っていた作品でした。
『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』でダニエル・クレイグが演じた名探偵ブノワ・ブランが再登場!。

前作でヒロインを演じたアナ・デ・アルマスさんが全く登場しないことは残念でしたが、そのことを差し引いてもミステリー映画としての面白さは健在でした。
『スター・ウォーズ』シリーズ中最低最悪の超駄作『最後のジェダイ』の監督の作品とは思えません(笑)。
もちろん独立したお話なので、前作を観ていなくても十分楽しめる映画になっています。

伏線や語り口などネタバレに繋がる部分が多すぎて(語りたくて仕方ないけど)語るわけにはいきません。
大雑把に言えば、前半は事件のあらましを見せて後半でその裏側を描くことで事件の全貌が見えてくるという二段構成になっています。

鼻持ちならないブルジョワどもを完膚なきまで叩き堕とすという前作の痛快さはそのまま継承されています。
ただ、キャラクターの魅力という点では前作の2割減といったところでしょうか。
最後の逆転劇もどこか力づくな感じで、ブノワの頭脳によって勝利する形ではなかったのが残念です。
(ありゃ、書いちゃった💦)

ただ、今回一番気になったのはタイトルについてです。
本編に出てきたタイトルは「Glass Onion」でしたが、ポスターには『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』と書かれています。

ナイブス・アウトとは、前作『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』に出てきたナイフの飾り物のことです。
しかし、今作はあくまで名探偵ブノワ・ブランシリーズ第2作であってナイブス・アウトは一切関係ありません。
これを市川崑監督の金田一耕助シリーズに例えるなら、最初の『犬神家の一族』が大ヒットしたから2作目のタイトルを『犬神家の一族2/悪魔の手毬唄』にするようなものです。
そんなおバカなタイトルはありません。

最初は「どうせまた日本の無知な広報担当者がやらかしたんだろう。」と思っていたんですが、海外版ポスターをよく見ると原題も「Glass Onion: A Knives Out Mystery」となっているではありませんか!?。
本国のNETFLIX担当者も相当なおバカさんですね(笑)。
3作目のタイトルはどうするつもりなんでしょうか?。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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