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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2023.1/16~2023.1/22)

トガジンです。
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

・・・とはいうものの、今週は体力を消耗する外仕事が多かったため夜ゆっくり長尺の映画を見ることは出来ていません。
見始めて1時間も経つと猛烈な睡魔に襲われて気が付いたら椅子の上で寝落ちしてばかりいたのです。

WOWOW4K『あしたのジョー』ジョー対力石
その代わり・・・と言ってはなんですが、「1話25分程度のアニメなら・・・」と空いた時間にチマチマと見続けてきた4K版『あしたのジョー』全79話が今週ようやく最終回に辿り着きました。(*´꒳`*ノノ゙パチパチ



2021年3/3(水)~2023年1/20(金)
『あしたのジョー(全79話)』🈠
(ホームシアター/自室4K液晶テレビ:WOWOW-4K録画)
WOWOW-4K『あしたのジョー』
WOWOW-4Kが開局したおととし(2021年)春から約3ヶ月間、最初のアニメ版『あしたのジョー』(昭和45年放送)の4Kリマスター版が毎週4話づつ連続放送されました。
全話録画していて、最初の頃は週に1~2本くらいのペースで見ていたんですが、力石が死んでからの数回は再編集による回想シーンばかりが続いて退屈だったためしばらくの間見るのを止めておりました。

そして昨年末から再び残り20数話を見始め、今週金曜日にようやく最終回(カーロス・リベラ戦)まで辿り着いたのであります。
放送から実に1年半を費やしてました(汗)。

WOWOW4K『あしたのジョー』矢吹丈
原作漫画は高校生の頃に全巻読んでいますが、最初のTVアニメ版を全話通して見たのは今回が初めてです。
(ただし、このTVアニメを再編集して作った劇場版は公開当時に見ています。)

名匠:出崎統監督の第一回監督作品ではありますが、やはり初期の作品なので出崎監督の得意技「ここぞというところで止め絵!」も「ズーム/パン3連発!」も「キラキラ光るゲロ(笑)」もまだ出てきません。

『あしたのジョー』クロスカウンター
また、大筋についても原作と劇場用アニメ(ダイジェスト版)を見て既に知っているため、「明日のためのその1その2」も必殺のクロスカウンターも力石の無理な減量と死も、ただ既成事実をなぞるような醒めた気分で見ておりました。

『あしたのジョー』ジョー、段平、西
そのせいか(自分が歳取ったせいも手伝って)ジョーのいきがった行動や言動を鬱陶しく感じることが多く、「やはりこの作品は60年代後半から70年代初頭の若者(全共闘世代)に向けて作られていたのだな」と感じました。

そんな風に少し醒めた目で見ていましたが、そうなるといくつか気になる矛盾や疑問が出てきました。
(ただし、そのほとんどは原作自体に起因するものばかりです。)

『あしたのジョー』初期の西
まず気になったのは、ジョーの親友:マンモス西(西寛一)の急激なキャラ変化です。
初めて出会った少年鑑別所では部屋のボスとして君臨していて、部下たちに命じて新入りのジョーにかなり手荒い歓迎を仕掛けたりしていました。

『あしたのジョー』マンモス西
ところが、その後ジョーと一緒に特等少年院に送られてからは、急に気が小さくて心優しい良き友人に変わってしまいます。
鑑別所時代はジョーに対し「おんどりゃ~、ぶっ殺したる!」と殴りかかっていた奴と同一人物とは思えません。

西の変化は原作漫画では特に気にしていなかったと思いますが、アニメでは動きと声優さんの演技が加わったことでその違和感が具現化したように感じます。
この都合のよいキャラ変によって、なんだか西はジョーの引き立て役としてしか扱われていないように見えて可哀そうでした。
せめて「根は良い奴だったが家庭環境の悪さや学校に馴染めなかったとかで不良の道に走ってしまった奴」みたいな描写があって欲しかったです。

『あしたのジョー』青山くん
もう一点。
これは原作を読んだときからずっと疑問に思っていたのですが、特等少年院で丹下段平がジョーに防御とフットワークの重要性を教え込むために利用した気弱で小柄な少年:青山くんの罪状についてです。
特等少年院は日本でもトップクラス(?)の不良ばかりが集まるところですが、あの気弱で大人しい青山くんは一体何をやらかしてあの究極の少年院に入れられたのでしょうか?。

原作『あしたのジョー』青山再登場
原作ではラストのジョー対ホセ・メンドーサ戦で再登場し、そのときかつて自分がジョーに対して仕掛けた戦法をジョーがホセ相手に再現するのを見て驚くシーンがありました。
何が彼を少年院行きにさせたのかは今も謎のまま(笑)ですが、その後はちゃんと厚生して真っ当な人生を歩んでいるらしいと分かって安堵した覚えがあります。

『あしたのジョー』子供の喫煙
あと、子供の喫煙シーンが普通に出てきたときにはビックリしましたが、「たぶん当時はOKだったんだろう」と考えて見て見ぬフリをすることにしました(笑)。
これはWOWOWだからそのまま放送出来たのであって、もしNHKのBS4Kだったら確実にカットされていたでしょう。


そして今回一番強く感じた違和感。
それは、主要キャラクターのほぼ全員に親の存在が描かれていないということです。
ジョーは元々孤児院育ちで「親の顔も知らない」と本人が言ってますから別として、前述の西は親の事はもちろん鑑別所で出会う以前のことは何一つ語られていません。

『あしたのジョー』力石減量
親の存在が一切語られないのはジョーのライバルである力石徹も同じです。

いや、力石だけではありません。
よく考えると、白木葉子の両親も一切登場していないのです。
葉子は祖父である白木財閥の会長と常に行動を共にしていますが、その祖父はあくまでも道楽として白木ボクシング・ジムを経営していました。
ということは、実際に財閥を切り盛りしている息子か娘(葉子の親)が存在しているはずですが、原作にもアニメ版にもその名前すら出てきません。
もしかして、葉子の両親は既に亡くなっていて会長である祖父から直接帝王学を学んでいたということなのでしょうか?。
それならそれで、なんらかの説明があってもよかったと思います。

『あしたのジョー』最終回
『あしたのジョー』が名作であることになんら異論はありません。
しかし、主要人物のほとんどが自分の気持ちを素直に表現出来ない奴ばかりであることもまた事実です。
それはおそらく彼らを産み育てた親の存在が消されているからではないでしょうか?。
ジョーも力石も葉子さえも、彼らの親について全く触れようとしないのは原作者の高森朝雄(梶原一騎)氏の生い立ちが影響していたのかも知れません。

『あしたのジョー』紀子と子供たちとその親たち
逆に、ジョーに想いを寄せる乾物屋の娘:紀子とジョーを慕うドヤ街の子供たちにはそれぞれ親の存在がきちんと描かれていました。

『あしたのジョー』ちばてつや先生の世界
紀子や子供たち、そしてドヤ街の住人達には人と人との繋がりがしっかり描かれていました。
それは、漫画を執筆したちばてつや先生のお人柄が滲み出た結果に違いないと思っています。


今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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