週刊映画鑑賞記(2023.1/30~2023.2/5)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。
今週見た映画はこの3本。

このうち2本はNETFLIXのオリジナル配信作品です。
1/30(月)
『E.T.』
(ホームシアター:BS4K録画)

4Kはフィルム作品との相性が良いそうです。
そのためか、NHKのBS4Kプレミアムシネマではフィルム製作の作品しか扱っていないそうです。

今回の4Kリマスター版『E.T.』もフィルムグレイン(フィルム特有のザラっとした粒子感)が程よく残されていて、フィルム作品らしい空気感がよく伝わってきます。
ただ、最近の若い映画ファンの中にはフィルムグレインをノイズと勘違いしている知ったかぶり野郎が多く、「あんなザラザラノイズなんかデジタルで消せばいいのに」とドヤ顔で言ってるのを聞いて嘆かわしい気分にさせられました。
スピルバーグ監督はフィルムグレインを意図的に残した映像を好むため、デジタル処理でフィルムグレインを消してしまうとそれと一緒に映像の細部まで潰されてしまうのです。

『E.T.』は何度も見てますが、私は兄妹全員がE.T.と出会うこの場面が大好きです。

この3兄妹のリアクション演技が素晴らしいのです。
特にガーティー役のドリュー・バリモアさんは後年「着ぐるみのE.T.を本物の宇宙人だと思い込んでいた」と語っていました。
それが真実かどうかは別として(笑)、彼女を含めた全ての俳優の真摯な演技がこの映画にリアリティを持たせたことは確かです。

初めて見た時は子供版『未知との遭遇』みたいな感じで異星人(E.T.)との接触にばかり気持ちが向いていましたが、この映画の本筋はエリオット少年の冒険と成長の物語です。

意外なことに、この画が『E..T,』のラストショットだと思い込んでいる人がビックリするくらい多いです。
うちの妻など、見終わった直後に訊いてみても「宇宙船が虹になって飛んでいく絵で終わりでしょ?」と当たり前のように答えたくらいです。
確かにファンタジックで印象に残りやすい画ではありますが、この映画のスピルバーグ監督の視点は去っていくE.T.ではなく彼を見送る主人公:エリオットにあります。

『E.T.』のラストショットは、E.T.が乗った宇宙船を力強い表情で見送るエリオットの顔のアップなのです。
まだ声変わりもしておらず兄とその友達に使い走りにされるばかりで、初めてETと出会ったときには悲鳴を上げて逃げ出したエリオット少年が、最後には兄たちの協力を得て遠い星から来た親友の帰還を助けるお話なのです。
だからこそ、それを成し遂げたエリオットの少しだけ大人になった精悍な顔のアップがラストカットに選ばれているのです。
成長を遂げたエリオットの表情をラストに持ってきたことで『E.T.』は見た人全ての記憶に残る良質なジュブナイルとなり得たと思っています。
それでも宇宙船と虹のショットのほうが強く印象に残ってしまうというのが映画というものの奥深いところです(笑)。

この素晴らしい画質の4K版『E.T.』をブルーレイディスクに残そうと、BD-R(一層)にダビングを開始したんですが・・・。
ありゃ?。
BS4Kの番組は一層BD-R一枚にギリギリ1時間55分まで入るはずなのですが、『E.T.』の場合はあと106MBだけ足りません。
私は、映画は常にDRモード(非圧縮)で残す主義なのですが、だからといって2層ディスクを使うと半分以上余ってしまいます。
先日パナソニックがBD-R事業からの撤退を表明したことから日本製メディアの希少価値が高まっているためそんな無駄使いは出来ません。

しかし、ふとBD-REなら同じ一層でも-Rより容量が多めであることを思い出しました。
早速買い置きしておいたBDメディアの中からホワイトディスクタイプのBD-REを取り出して再トライ!。

ギリギリですがなんとか一層ディスクに収まりました。
どうしてBD-RとBD-REとで容量が違うのかは謎ですが、とにかく4K版『E.T.』を無劣化でディスク保存出来たので良しとします。
【NETFLIX再契約(ただし一ヶ月間限定)】
実は私、「ディズニープラスと較べるとコストパフォーマンスが悪すぎる!」と昨年夏にNETFLIXを一時契約解除しておりました。
>まだだ、まだ終わらんよ!(2022/7/29)

しかし、あれから半年の間に「見たい!」と思えるNETFIXオリジナル作品が増えてきたことで、仕事が少なめの今月だけ再契約することにしました。
プランは最高品質の「プレミアムプラン」。
契約料は月間1,980円。
同じスペックのディズニープラスの倍額ですが、まあ一ヶ月間だけなので良しとします。
2/1(水)
『トロール』🈠
(ホームシアター:NETFLIX)

NETFLIX再開一発目に選んだのは、ノルウェー産の怪獣映画です。

トロールとは古くからノルウェーの伝承に出てくる妖精とのことですが、この映画ではまるでキングコングみたいな怪獣として描かれています。
山岳部の開発工事により住処を破壊されたトロールが巨大な怪物となって人間たちに襲いかかる!。
これを怪獣映画と呼ばずして何と呼べと?。
人間の破壊行為による自然の怒りが具現化した怪獣が人間世界に逆襲するという物語構造はまさに怪獣映画そのものです。
日本で言えば、ゴジラもラドンも大魔神もウルトラ怪獣の大半もこの枠組みに嵌ります。

でも、トロールって本当は怪獣というより妖精なんですよね。
ということは、日本の場合はゴジラではなくダイダラボッチに例えるのが正しいかも知れません。

ちょっと気になったのは、トロールについて研究している異端の民族学者(主人公の父親)の風貌です。
(↑の画像右側の汚いオヤジ)
なんか今回出てくるトロールにそっくりなんですよね(笑)。

父親役の俳優さんがトロールのモーションキャプチャーも兼ねていたんじゃないかと思ったくらいです。
この二人(?)の相似にどういう意図があったかは不明ですが、どちらも長年家族と離れて孤独に生きてきたという共通点があります。
この映画のテーマってその辺にあるのかな?とか思いながら見てました。
2/4(土)
『インフィニティ:無限を旅する』🈠
(ホームシアター:NETFLIX)

「”無限”とは何か?」をテーマに数学・物理学・理論物理学・哲学者など各分野で著名な8人の学者さんたちが、”無限”についてそれぞれの見解を語る科学番組というかインタビュー集というかそんな感じの作品です。
最高度に難しいお話を少しでも分かりやすくするためにアニメを使った解説も加えられていますが、正直私のおつむでは「ちょっと何言ってるか分からない」状態でした。
それでも、編集のテンポの良さと学者さんたちのインテリらしからぬ砕けたキャラクターに惹かれて最後まで見ていました。
唯一、私にもストンと腑に落ちたのは車輪を例えに使ったアジア人女性数学者の話でした。

もし車輪が三角形だったとしたら走ることはとても無理。
しかし、角の数を増やして10角形にするとガタゴトしながらもなんとか動く。
そして角を無限に増やして究極は角数0(ゼロ)となれば円形の完璧なタイヤとなる。

つまり、この学者さんは「無限=0」と言っているわけです。
(-ロ_ロ-)✧φ))ナルホド!!
「数学の歴史上最大の発見は0(ゼロ)と∞(無限)である」と聞いた覚えがありますが、そのことをこんな身近な例で解らせてくれたことがこの作品の最大の収穫でした。
余談ですが・・・。
「円」と「無限」に関して、私には小学生の頃から持ち続けている自論があります。
オバケや宇宙人などいった空想の話をしていると、頭の固い奴は大抵「科学万能の今の時代にそんなものあるわけない。」と馬鹿にしますよね。
でも、私は小学生の頃からこう言う連中に対していつも強い態度で反論してしまうのです。
「円周率も割り切れない現代科学のどこが万能なのか!?」と。
きっかけは、算数の授業で「円周率は割り切ることが出来ない数字なので0.14以下の数は省略して約3.14で計算しましょう。」と教えられたときです。
このとき深く考えずに「ハイ、3.14で計算すればいいんですね」と素直に受け入れていれば、私もその後普通に良い成績を取って良い大学に入れていたかも知れません。
でも、私はこの時点で引っかかってしまったのです。
「コンパスで円は描ける。ボールもお皿も丸い。自分たちが住む地球だって丸いしその地球は太陽の周りを円を描いて回っている。円は現実に存在しているのにその円を計算する円周率が割り切れないなんて、そんな科学はどこか間違っているんじゃないのか?。」。
・・・と、そう考えてしまったのです。

「円周率は割り切れない」ということは、現在の科学が定義している円というものは切り捨てられた3.14以下の数値が生み出す小さな隙間がある知恵の輪みたいなものだということです。
この隙間の中にこそ、オバケも怪獣も宇宙人もタイムトラベルもパラレルワールドもワープ航法も本当に存在しているのかも知れません。
そんな考えを持ったまま成長した私は、その後「映画」という空想を形にする世界と出会って現在に至ります。
あのとき素直に3.14で計算した優等生たちの目から見れば、私は「足を踏み外した奴」でしかないのでしょう。
でも、58年生きてきた今でも「この世にはまだまだ人間が知らない世界があるに違いない」と想像を膨らませることで楽しく生きていられます。
そんなことを思いながら見ておりました。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。