パナソニックが突然BD-R事業を完了!。
ビデオテープの時代からおよそ40年間続いてきたエアチェックの歴史に終止符が打たれるときが来たようです。
去る1月23日。
その発表はあまりにも突然でした。
パナソニック、'23年2月で録画用ブルーレイディスク生産完了

理由は「市場規模の縮小に伴い継続生産が困難となったため」とのことです。
数年前に4K放送が本格的に始まり、内容も画質も良質な番組をエアチェック出来るようになったばかりだというのに・・・。

ほとんどのディスク製造メーカーがコストダウンのため海外工場へ軸足を移し、さらに粗悪な海外メーカー製品が出回る中にあって、パナソニックだけは純国産BDメディアを供給し続けてくれていました。
また、現在我が家にあるBDレコーダーは全てパナソニック製です。
だから当然BD-Rメディアもパナソニック一択でした。
そのパナソニックがBD-R事業から手を引いてしまうということは・・・?。
それは信頼性の高い日本製BD-R/REメディアが無くなることを意味します。
(一部のソニー製3層/4層メディアを除く)

私はニュースを見た次の瞬間、速攻でアマゾンで売られている25GBと50GBのパナソニック製BD-Rのスピンドルを買えるだけ買い込みました。
その時点ではまだ以前と変わらない標準的な価格で買うことが出来ましたが、そのわずか1時間後くらいに「25GBと50GBをもう一個づつ追加で買っておこう」と考えて再度アマゾンのページを開いてみると、もう50枚入りスピンドルは25GBも50GBも全て売り切れていました。
それでも、以前からストックしていた分も含めると25GB/50GBと合わせて向こう7~8年分は確保したと思います。

現在、店頭からはパナソニックのBD-R製品が全て姿を消してしまいました。
また、オークションサイトではパナソニック製BD-Rが倍以上の高値で取引きされています。
思わず567ウィルス感染拡大時のマスクや消毒剤の様相を思い出してしまいました(笑)。

誤解しないでいただきたいのですが、今回私がパナソニック製BD-Rを大量に買い込んだのは決して転売目的の「買占め」なんかではありません。
ビデオテープの時代から録画・保存を日常の楽しみの一つとしている私にとって、良質で信頼出来る日本製BD-Rメディアはどうしても必要なものなのです。
BD-R/REの需要を減少させ、市場規模が縮小した理由。
その一つがオンデマンド配信の拡充によるビデオ視聴スタイルの変化であることは間違いありません。
わざわざ高いレコーダーとディスクメディアを買って録画・保存なんかしなくても、「見たい時に見たいだけ見る」ことが簡単かつ安価に出来るようになったのですから。

しかし、気に入った映画やアニメを一枚一枚ディスクに焼き、ラベル印刷も楽しみながら自分の所有物にすることを趣味の一環にしている私には、NETFLIXやディズニープラス等のオンデマンド配信にはまだ馴染みきれないでいます。
時代遅れのオッサンと笑ってくれて結構です。
とにかく「これだけあれば自分が生きてる間の分は足りるだろう」というくらいのブランクメディアは確保できたと思うので、今後も4Kを含めたBS録画を続けていくつもりです。
それにしても・・・。
「2月で完了」とはあまりにも急ぎ過ぎではないでしょうか。
岡山県にあるという自社工場はもちろん、パッケージや輸送を担当する下請け中小企業への影響も少なくないはずです。
それなのに、パナソニックがBD-R生産をこれほど性急に打ち切った本当の理由とは何なのでしょうか?。
考えられるのはただ一つ。
先日閣議決定された「録画補償金制度の改訂」です。

「録画補償金制度」とは、市販BDやDVDだけでなく高品質なBS放送の映画や音楽ものをユーザーが録画して所有することも著作侵害に当たるという理由から「文化庁長官が指定する指定管理団体に補償金を払え!」ということです。
実は、今までこの補償金の分はビデオ録画用メディアの価格に含まれていました。
(BD-R/RE、DVD-R/RWが「ビデオ用」と「データ用」に分かれているのはそのためです)
つまり、これまでは著作権補償金償金を我々消費者が払っていたのです。
しかし、先日改訂された新制度ではメーカーが直接国や著作者に補償金を払うことになりました。
この改訂により消費者の負担が無くなったことは確かですが、だからといって国産メディアの価格が下がることはあり得ません。
現在、材料費や輸送費が高騰していることを考えるとむしろ値上げしなければやっていけないくらいのはずです。
しかし、この法案が閣議決定されたことにより、メーカーはメディア代への補償金上乗せが出来なくなったうえ法規制により指定管理団体への納金を強要されることになりました。
これでは流石のパナソニックとて売り上げ減少は免れません。
「だったら、法案実施の期限までにやめてしまおう!」というのがパナソニックが出した結論であり、そのギリギリの期限が今年の2月だったのでしょう。

現在は若い人がテレビを見なくなったとのことでテレビ本体やレコーダーなど周辺機器が売れなくなってきており、そのため国内テレビメーカーのほとんどが撤退したり海外企業に身売りするなどしています。
そんな状況下にあっても、パナソニックは日本のテレビ・レコーダー事業を牽引してくれていました。
しかし、今度の新・補償金制度のためにパナソニックまでAV事業から撤退してしまったら・・・?。
かつて日本のお家芸だった映像機器産業は確実に壊滅します。

BD-Rメディアを確保出来たのは良かったものの、肝心のレコーダーまで生産終了してしまわないよう今は祈るばかりです。
愚痴半分、考察半分の記事にお付き合いいただきありがとうございました。