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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2023.4/24~2023.4/30)

トガジンです。

毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

『ヴィレッジ』ポスター画像(オールキャスト)
今週観た映画はこれ1本。
ゴールデンウィークの繁忙期に突入したため、向こう2週間ほどはゆっくり映画と向かい合う時間は取りにくくなりそうです。



4/24(月)
『ヴィレッジ』🈠
(劇場:福井コロナシネマワールド)
2023-04-24 『ヴィレッジ』鑑賞
昨年5月にエキストラとして参加してきた『ヴィレッジ』を観てきました。

<あらすじ>
美しい自然と神秘的な薪能が残る山間の集落・霞門村に暮らす片山優(演:横浜流星)は、村の山頂に誘致された最終ゴミ処分場で働いていた。
優の父親はかつて処分場誘致に最後まで反対し続けた男だったが、賛成派と争ううち殺人を犯してしまい自殺してしまっていた。
そのため優は10年以上も村人や職場の同僚たちから村八分にされ続ける日々を過ごしていた。
しかし、幼なじみの中井美咲(黒木華)が東京から戻ったことから、優の人生が大きく変わっていく。


一見すると「同調圧力の怖さ」を描いた映画に見えますが、私はそれだけではない別の怖さを感じました。

『ヴィレッジ』霞門村全景
映画の冒頭に1カットだけ映ったこの霞門村周辺の地形をよく見てください。
大雨が降ろうものならいつ決壊してもおかしくないくらい大きくカーブしている河川と、いつ土砂崩れが起きるか分からない山のふもとという普通なら人が住む場所としてまず選ばないであろう場所に位置しています。

この画を見たとき、私が感じたのは「この村は昔はいわゆる穢多非人の村だったのではないか?」ということでした。
そこまではいかなくとも、台風などの自然災害から街中心部への被害を防ぐための「都会の捨て石」的な意味合いを感じたのです。

昔の日本では、都の中心部から遠く離れた川の上流部に離れ小島のような村を作って、そこに流人や罪人などを住まわせていたそうです。
豪雨の時、都から離れた上流部で先に川が決壊してくれれば下流にある都は水害を免れることが出来ます。
つまり、災害が都に至る前にそこの住民たちに受けとめさせて(つまり犠牲にして)都の中央部を守るという、いわば都にとっての避雷針的役割を負わせるための村落ということです。
もちろん、決壊後の堤防修復もその村落の住民の役目ですから都は痛くも痒くもありません。
霞門村とは現在の日本にまだ残っているそんな村落のひとつなのではないかと感じました。

そして、そんな村だからこそ街の汚穢の溜り場である最終ゴミ処理場建設を受け入れざるを得なかったのだと思います。

もう一度↑の空撮画面をよく見ると、山奥の村落でありながらも舗装された広い道路が通っており、河川の堤防も簡単には決壊しないようコンクリートで固められていることが分かります。
広い道路は村が最終ゴミ処理場建設用にダンプや重機を通すために整備された道であり、その後もゴミ収集車の通行をスムーズにするために必要な道路です。
堤防も、ゴミ処理場誘致のおかげで村におりた多額の補助金で強固に補強したものと思われます。
その反面、現在は霞門村よりさらに下流に位置する別の村がその役目を押し付けられているに違いありません。

たった1カットの空撮映像でそこまで表現してしまう藤井直人監督の演出センスは相当なものだと思いました。

『ヴィレッジ』能舞台のある神社
では、昔は貧しい山村だった筈の霞門村にどうしてあのように大きな神社があるのでしょうか?。
しかもその境内には立派な能舞台もあって、毎年村人たちが能面を被って神社に集い能を奉納するという大規模なお祭りも行われています。

私は、この霞門村は都にとっての水害防波堤の役目と同時に、スピリチュアルな意味での厄災除けの役も請け負わされていたのではないかと考えています。
古来の日本では霊的な敵(怨霊)から帝を護るため、都から鬼門に当たる方角に悪霊を退治する(あるいは追い返す)ための神社や仏閣を建立していました。
そうすることで鬼門の方角から都に入り込もうとしてくる悪しきものを防ごうとしていたのです。
霞門村には不釣り合いな立派な神社と能舞台、そしてあの不気味な祭り。
それらは実は日本の闇の歴史に因するものかも知れない・・・と考えるとオカルティックな意味でゾッとします。

『ヴィレッジ』能面祭
主人公を執拗に村八分にし続ける村人たちの異常さも、都会に出て行けない・・・出て行ったとしても結局この地へ帰って来てしまう若者が多いことも、この村そのものが請け負ってきた呪いのように感じました。

『ヴィレッジ』霧の中
冒頭にも書きましたが、この映画は単なる「同調圧力の怖さ」を描いただけの映画ではありません。
古(いにしえ)から日本国と日本人の奥底に巣食う闇の部分を霧のオブラートに包んで描いた傑作です。


重苦しい感想ばかりが続いたので次は出演者のお話です(笑)。

『ヴィレッジ』横浜流星
主演の横浜流星さんが思っていた以上に良かったです。
失礼ながら、先日見た『線は、僕を描く』では主演でありながら共演の清原果耶さんや江口洋介さんに完全に食われていたあのイケメン兄ちゃんと同じ人とは思えませんでした。

『ヴィレッジ』美咲
そして、優の心を開かせた幼馴染を演じたのが黒木華さん。
単に優のことを想っているヒロインというだけでなく、東京で心を病んでしまったためこの村に帰って来ざるを得なかったという心の闇を微妙な表情と目の演技で表現していました。

『ヴィレッジ』好転
美咲の計らいによって、それまで死んだ魚のような目をしていた優が後半ではハツラツとした好青年に変貌します。
それでも彼の目の奥の暗い炎は消えてはおらず、笑顔を見せながらも今度は村長の悪事に加担しているという良心の呵責と焦りを演技で表現していました。

『線は、僕を描く』と『ヴィレッジ』の間に何があったのかは知りませんが、横浜流星という俳優さんの急成長ぶりを目の当たりにした作品でもありました。

『ヴィレッジ』撮影現場は京都のゴミ処理場
重苦しい映画でしたが、時間を置いてもう一度見たいと思わせてくれる映画です。
藤井道人監督作品を見るのはこれが初めてでしたが、過去作品の高評価は伊達ではありませんでした。


ここで話はガラリと変わります(笑)。
藤井組当選メール
実は私、この『ヴィレッジ』の1シーンにエキストラとして参加しております。

2022-05-21 現場入り口
撮影日は2022年5月21日。
場所は京都府亀岡市の某最終ゴミ処理場。
朝6時半に現地集合だったため、前日19時に仕事を終えてそのまま京都へ向かい、夜は亀岡市の道の駅で車中泊して時間通り現場に到着出来ました。
つまり、(汚い話で恐縮ですが)前日から着替えもせず風呂にも入っていない状態だったわけです(汗)。
でも、「どうせ現場はゴミ処理場だから」とそのまま参加しておりました(笑)。

『ヴィレッジ』ロケ地は京都某所のゴミ処理場
映画では危険物の不法投棄や殺人事件の遺体遺棄の現場として描かれているため、本編中には当該ゴミ処理場の全景は一切映っていません。
(映画に映っていたゴミ処理場の本館建物はおそらくCGです)
せっかく撮影に協力してくれたそのゴミ処理場に悪いイメージが付かないよう配慮したのだと思います。

『ヴィレッジ』私が参加したインタビューシーン(この写真の右側にいました)
私はゴミ処理場から不法廃棄物が見つかったあと、PR係になった優にインタビュー撮影するTVカメラマンの役でした。
後ろ姿だけではありましたが、確かに自分の姿を確認することが出来ました。
秒数にして2~3秒しかなかったと思いますが、それだけでもわざわざ京都の山奥(失礼)まで行った甲斐がありました。
ちなみに↑の写真に写っている白髪の人は私ではありません。
私はこの写真の右側にいて、横浜さんと作間龍斗さんの真正面から二人へのインタビューを撮影しておりました。

あと、フェンスの外から処理場内を捜査している警官たちを取材撮影する場面も撮ったのですが、残念ながらそのシーンはカットされていました。

『ヴィレッジ』係長!
あと、ゴミ処理場内で遺体が発見されるシーンでは、警官や鑑識役のエキストラさんの姿にばかり目が行っておりました。
というのは、昨年夏に福井で行われた『罪と悪』という映画の撮影に京都から来ていたエキストラさん数人と親しくさせていただいたのですが、そのうちの一人が私と同じ日の『ヴィレッジ』ロケに参加していてあの鑑識員の一人を演じたと聞いていたからです。

・・・が、しかし。
映画本編ではカット割りとカメラの動きが早すぎて全然分かりませんでした(汗)。
ブルーレイを購入したらこのシーンをコマ送りで見て京都のエキストラ仲間の姿を探してみようと思っています。

『ヴィレッジ』作間龍斗
あと、エンドクレジット後のラストシーンを見たときは「あれ?」と首を傾げてしまいました。
5/21の夕方に参加した「翌日撮るラストシーンのリハーサル」の内容とは全く違うものだったからです。

あの日私たちがリハーサルしたラストシーンとは・・・件のゴミ処理場内で大勢の村人やマスコミが優について話し合っている中をカメラが通り抜けて行ったその先で美咲が能を舞っている。
しかし、カメラが回り込むと大勢いたはずの村人たちは全員消えていた・・・という内容でした。

カメラが通り過ぎるたびに大勢のエキストラが後方のテント裏に逃げ隠れるという難しいものだったので撮影が上手くいかなかったのでしょうか?。
それとも、編集しているうちに監督が「これは違う」と考えて変更したのでしょうか?。
いずれにせよ、「もう一つのラストシーン」とか銘打ってブルーレイの特典映像に収録してくれると嬉しいです。


今週鑑賞した映画は『ヴィレッジ』一本だけでしたが非常に見応えある映画でした。
また、個人的にも思い入れがあったことでいつもより気合を入れて書いていた気がします(笑)。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。<(_ _)>
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