週刊映画鑑賞記(2023.4/10~2023.4/16)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

今週はなんと6本!。
このうち初見ものと再見ものが半々でした。
数が多いため、各作品のレビューはいつもより短めに書いています。
4/10(月)
『沈黙のパレード』🈠
(ホームシアター:レンタルBlu-ray)

TVドラマ『ガリレオ』の劇場版3作目。
実はTVドラマ版は一度も見たことがないのですが(汗)、前2作『容疑者Xの献身』と『真夏の方程式』がどちらも面白かったのでレンタルBlu-rayで見ることにしました。
前2作と較べるとちょっと無理を感じる部分もありましたが、見終わってみれば「うん、面白かった!」とかなり満足しておりました。
ストーリーとしては、アガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』をベースに市川崑監督版『悪魔の手毬唄』の磯川警部の人情話をミックスしたような印象です。

今回はガリレオこと湯川先生(演:福山雅治)よりも、事件の謎解きと人間を信じたい気持ちの間で苦悩する草薙刑事(演:北村一輝)の泥臭ささが凄く魅力でした。
法の壁に遮られて警察が殺人犯を起訴出来なかったことを被害者の遺族から激しくなじられる草薙刑事。
ただでさえ濃ゆい顔の北村一輝さんの苦渋に歪む表情をどアップで見てしまうと、冷静で非人間的な湯川の印象など吹き飛んでしまいます。
この映画の主役は間違いなく草薙だったと思います。
既に公開済みの作品ではありますが、ミステリーものなのでこれ以上詳しくは書きません。
(私みたいにこれからレンタルや配信で見る人もいるでしょうから。)
でも、どうしても気になった点をひとつだけ。
黙秘を押し通すことで法の間隙をすり抜けた連続少女殺人犯は人として絶対に許せないクソ野郎であることは確かです。
奴が●されたときには「ザマ―ミロ」と思ったくらいでした。
でも・・・よくよく考えてみると、この事件のそもそもの原因は被害者女性の婚約者の不注意な行為だった気もします。
彼が彼女を〇〇させなければあんなことにはならなかったと思うのですが・・・。
4/11(火)
『ジュラシック・パーク』(午前十時の映画祭13)
(劇場:鯖江アレックスシネマ)

初公開時のあの衝撃からもう30年も経ったのですね。
そのことに改めて驚きました。

この映画から特撮/SFXはガラリと変わったことは確かです。
画面に初めて恐竜(ブロントサウルス)が現れたのを見たときは全身に鳥肌が立ちましたし、その瞬間、劇場内が静かにどよめいたことを今でもよく覚えています。
本作以前にも『アビス』や『ターミネーター2』などCGを使った作品は存在していましたが、ここまで違和感なくCGキャラ(恐竜)が画面に溶け込んだ映画は『ジュラシック・パーク』が最初でした。

何度見てもやっぱり面白い!。
見せ場作りを優先するあまり細かな演出が雑になりがちなところはあるものの、最後のTレックスの千両役者ぶりに圧倒されて「あ〜面白かった」と全て許せてしまうのが最盛期のスピルバーグ作品らしいところです。

『ジュラシック・パーク』を観るたびに私が思い出すのは、ストップモーション・アニメーションの第一人者:フィル・ティペット氏に関するエピソードです。
最初スピルバーグ監督は恐竜の全身映像の描写にティペット氏の人形アニメを使う予定で企画を進めていました。
ところが、ルーカスフィルムが提案したCG映像を見た監督は即座に方向転換。
そのため『ジュラシック・パーク』ではティペット氏は失職する憂き目に遭いました。

この映画の中には、生きた恐竜を最新技術で復活させたのを見た古生物学者が「僕らは失業だ」と自虐するシーンがあります。
おそらくフィル・ティペット氏と古生物学者を重ねて描いていたに違いありません。

しかし、CGチームの映像制作は難航します。
最新の映像技術力は持っていてもアニメーターとしてのセンスが欠けていたため、恐竜の自然な動きを作り出すことが出来なかったのです。
そこでスピルバーグ監督は急遽ティペット氏に監修を依頼。
その結果、コマ撮りアニメとCGの良いところが組み合わさってあのリアルで見栄えも良い恐竜の動きが出来上がったのでした。
映画のストーリー自体も、最新技術に溺れた人間が自然の力に敗北するという物語になっています。
「見ていて心地よい自然なアニメーション」というものはコンピューターには逆立ちしても生み出せず、結局は人間(ティペット氏)の経験とセンスが勝利したという点において根底でテーマと繋がっていたような気がします。

今回の鑑賞は、今年度も無事開催された「午前十時の映画祭13」での再上映でした。
関係者の皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。

次に観る予定は7月の『タワーリング・インフェルノ』。
実はまだ映画館では見たことないんですよね。
そして8月にはハリーハウゼンの『アルゴ探検隊』と円谷特撮『地球防衛軍』。
ああっ、夏が待ち遠しい!。
(暑いのは苦手なのですけど・・・)
4/12(水)
『ゴーストブック おばけずかん』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)

山崎貴監督によるジュブナイル映画です。
原作は童話シリーズ「おばけずかん」ですが、映画は4人の少年少女と一人の大人(新米教師)を主人公にしたSFファンタジーになっています。

好きだった同級生の女の子を事故から救えなかったという負い目を感じながら日々を送っていた3人の少年。
そして、教師になる夢を捨てきれず産休代替教員になった新米教師。
彼ら4人が、不思議な古書店でゴーストブックを手にしたことでパラレルワールドに迷い込んでしまい、そこで時間を操る魔物と戦って同級生の女の子を救うという物語。
ネタバレになりますけど、当然最後はハッピーエンド。
子供たちが夏休みに見る映画はこうでなくちゃいけません。

不思議な古書店の店主役は神木隆之介さん。
現在NHKの朝ドラ『らんまん』に主演していて、映画もここ一年で出演作が4本(そのち2本が主演)という超売れっ子です。
最近テレビや映画で彼の姿を見ない日は無い気がします。
そして、実は11月3日公開の山崎貴監督の新作にも・・・。
おっとっと!。
これ以上は書きたいけど書くわけにはいきません。
王様の耳はロバの耳~!
4/13(木)
『シン・ウルトラマン』
(ホームシアター:UHD-Blu-ray)

予約購入していたUHD-BDソフトが届きました。
劇場で3回、アマゾンプライム配信で1回とこれまで4回見ましたから5回目の鑑賞です。

購入したのはUHD-BD付きバージョン。
UHD-BDはデジパックとは別のスリムケースに入っていました。
これは『シン・ゴジラ』のときと同じ仕様です。

今回鑑賞したのはUHD-BD盤です。
音声仕様が劇場公開版からドルビーアトモスにリミックス・アップグレードされていました。
ウルトラマンが初めて着地したシーンでは、シアタールーム内がまるで自衛隊仮設指揮所になったかの如く衝撃波前から後ろへ駆け抜けていきました。

しかし、今回買ったブルーレイで本編以上に楽しかったのは特典ディスクⅡに入っていた『シン・ウルトラファイト』でした。

映画『シン・ウルトラマン』用のウルトラマンと怪獣のCGモデルを使って新規に作られた怪獣プロレスを、昔の『ウルトラファイト』同様に実況中継付きで楽しませてくれます。
樋口監督の解説を含めた約50分間夢中になって見てしまいました。

低予算で作られた昔の『ウルトラファイト』と同じ、くどこかの岩石採掘場や浜辺でウルトラマンと怪獣(禍威獣)たちがひたすらどつきあうだけの短編フィルムです。
中には趣向を凝らした作品もあって、ウルトラマンvsにせウルトラマン編は完全なプロレススタイルになっていてリングの上で戦っていました。

更に対ゼットン編は、オリジナルTV版の最終回を『シン』のキャラクターで完コピするという凝ったもので、我々オールドファンとしては「そうそう、こういうのを見たかった!」と、これだけで「元は取れた!」と思うくらい楽しめました。
でも、人間とはどこまで行っても欲が尽きぬ生き物であります。

映画の冒頭に出てきたゴメスやぺギラなど『ウルトラQ』の怪獣(禍威獣)もCGモデルが作られていたはずなのですよ。
だったらウルトラマンvsゴメス、ウルトラマンvsぺギラ、ウルトラマンvsラルゲユウス等の夢の対決も作って欲しかったなあ。
4/14(金)
『人間の証明』
(ホームシアター:日本映画+時代劇4K録画)

♪ママァーン ドゥ・ユー・リメンバー~
この歌、中1のとき無茶苦茶流行ったなあ。
でも公開当時この映画は見ていません。
公開が秋頃だったため、文化祭や体育祭、そしてテストなどの忙しい時期と重なっていたからです。
また、原作も読んでなかったので「どうやら推理ものらしい」ということ以外全然分かっていませんでした(笑)。
初めて見たのは翌年のTV放送(多分ノーカット)でした。
しかし、中2の自分には冒頭のファッションショーのシーンが長過ぎて早々に退屈したことを覚えています。

中学時代の私がTV放映で見た時、一番の目当てはジーパン刑事こと松田優作さんでした。
その頃、私の松田優作さんのイメージはまだ『太陽にほえろ!』のジーパン刑事のままで止まったままだったのです。
この映画ではスーツを着て大人に見えましたが、カッとなって相手をボコボコにするところは全然変わってない気が・・・(笑)。
もし、ジーパンが殉職していなかったとしたら多分こんな刑事になっていたんだろうな。
いや、シンコと結婚してもっと落ち着いていたかも知れない(笑)。
奇しくも、本作での相棒役は『太陽にほえろ!』でシンコの父親役を演じていたハナ肇さん。
本作では鉄面皮を貫いていた優作さんを引き立てていい味出していました。
『犬神家の一族』『里見八犬伝』『戦国自衛隊』『蘇る金狼』そして今回の『人間の証明』と、ここ最近、往時の角川映画の4K化が続いています。
お次は順番通り『野生の証明』か?。
それとも『復活の日』か『鎌田行進曲』か?。
意表をついてアニメ『カムイの剣』とか?。
どれも早く見たい!。
あと隠れた傑作アニメ『時空の旅人』もヨロシクです。
4/15(土)
『アラビアンナイト シンドバッドの冒険』🈠
(ホームシアター:東映チャンネル録画)

昨年春に録画しておきながら見るのを忘れていた古いアニメーション映画です。
今回初めて観ましたが、日本のアニメっぽくない絵柄と動きはまるでディズニーアニメを見ているようでした。
王様の精神年齢が妙に低いところも『アラジン』(1992年)そっくりです(笑)。

脚本は漫画家の手塚治虫先生と『どくとるマンボウ』の北杜夫先生が担当されています。
でも、ストーリーにも映像にもお二人のカラーがあまり感じられません。
調べてみると手塚先生も北先生も「東映スタッフの横槍が多すぎて自分たちが参加した意味が無い」とお怒りだったそうです。
いつの時代もクリエイターのイマジネーションより、スポンサーや制作会社上層部の意向が優先されてしまうものなのですね。
東映は”手塚治虫”と”北杜夫”というお二人の名前が欲しかっただけなのでしょう。

だから手塚先生は「無理をしてでも自分の会社でアニメを作ろう!」と考えたのかも知れません。
『アラビアンナイト シンドバッドの冒険』公開は1962年6月。
手塚先生が日本初のTVアニメ『鉄腕アトム』をスタートさせたのはその半年後のことです。
<(_ _)>
今週もお付き合いいただきありがとうございました。