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映画と日常

『クラッシャー・ジョウ』(劇場版)

トガジンです。

昔大好きだったこのアニメがようやくブルーレイで発売されました。
このブルーレイには劇場版とOAV版が収録されていますが、今回レビューさせていただくのは劇場版のみです。
後半には、今回のブルーレイの画質・サラウンド評もありますのでご参考までにどうぞ。

クラッシャー・ジョウ』(劇場版)
(ホームシアター:Blu-ray)
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(ホームシアター:Blu-ray)

<あらすじ>
時は2160年代、人類は居住可能な惑星へと進出し“宇宙時代"と呼ばれていた。
宇宙の何でも屋集団と呼ばれる“クラッシャー"の一つ、クラッシャー・ジョウのチームは評議会を通さずに独断で急な依頼を受けてしまう。
バレンスチノフという依頼人から受けた依頼の内容は、病気治療のために冷凍保存されている大企業の令嬢・エレナをとある星へ送り届けることだった。
依頼遂行のため愛機ミネルバで目的地へ向かうワープしている時、原因不明の事故に遭って乗員は意識を失ってしまう。
そして、その間にバレンスチノフ とエレナは姿を消してしまった。
無断で仕事を受けたジョウたちは資格停止となってしまうが、実はこの事件はバレンスチノフが仕組んだことだった。
なんと彼は海賊の一味でエレナを誘拐していたのだ。
さらにエレナと呼ばれる女性は大企業の令嬢などではなく、実はある画期的な新ワ-プ・システムを作った科学者の娘マチュアだった。
ジョウたちはこの事件を解決できるのか?。

【公開当時】

1983年春というのは、私にとってのフェバリット作品のうち2本が公開された時期であります。

ダーククリスタル ポスター
一つは『ダーク・クリスタル』。
人間の俳優が一切登場しない純然たる異世界ファンタジーです。
未だにこれに続く作品が無いという事実が凄さを物語っています。
続編の話を聞いたことがありましたがどうなったんでしょうかね。

クラッシャージョウ 劇場版
そしてもう一つがこの『クラッシャー・ジョウ』です。

幻魔とヤマ完
この年の春休みには、『クラッシャー・ジョウ』の他に『幻魔対戦』『宇宙戦艦ヤマト完結篇』といった大作アニメが重なっており、その少し前には『うる星やつら/オンリー・ユー』も封切られていました。
「1983年春のアニメ映画戦争」とか言われていましたが、私は『クラッシャー・ジョウ』一押しでした。

当時私は高校卒業間際の三年生でしたが、これらを全部リアルタイムで観ています。
幸運にも大学進学が決まった直後で、あちこちの親戚からご祝儀をたんまりもらっていたので資金には困りませんでした(笑)。
クラッシャー・ジョウ』は福井と進学先の大阪とで2回観に行っています。
公開直後に発売されたビデオカセットも買って何度も繰り返し観たものです。

【魅力】

このアニメがそこまで私を惹きつけた理由は何だったのでしょう?。
まず、当時『機動戦士ガンダム』で人気絶頂だったアニメーター安彦良和さんの独演会のような作品だったことが挙げられます。
デザインもさることながら、キャラクターやメカニックの小気味良い動きのセンスが抜群に良いのです。

そして、原作者高千穂遥氏が書き下ろした新作ストーリーということも大きかったです。
既存の小説のアニメ化ではなくキャラクターや設定はそのままに新しい物語を見せてくれました。

また、当時は「SFとはなんぞや」とか「『ガンダム』はSFか否か」という論争があった頃で、高千穂氏は「『ガンダム』なんかSFじゃない」派の急先鋒でした。
その高千穂氏が作るSFとはどのようなものか見せてもらおうじゃないかという気概もありました。

音楽は、『スター・ウォーズ』を意識したというフルオーケストラの劇伴が全編に渡って奏でられています。
そして4チャンネル立体音響を採用したサウンドデザイン。
こうして考えると、劇場版の『クラッシャー・ジョウ』はアニメというより洋画に近いスタンスの作品だったように思います。

【シンクロ】

しかしそれだけなら他にも優れた映画やアニメはいくらでもあります。
当時の私がこの映画が特別気に入っていたのは非常に強く共感する部分があったからです。

ジョウの父親ダンはクラッシャー稼業の創始者の一人であり評議会のトップでもあります。
当然仕事を始めた頃からジョウは父親と比べられ続けられたのでしょう。
父親の話題を引き合いに出されることを極端に嫌います。
助け出したマチュアに、「お父さんは心配しているのよ」と言われてもムキになって突っぱねてしまっています。

この、ジョウの父親に対する意地とか反抗心といったものが当時の自分の心情にシンクロしていました。

実は私の本名は父親の名前に一字付け足しただけのものであり、アメリカでいえば「●●ジュニア」というような名前なのです。
このことを自覚した中学の頃から、父親は私の障害物でしかありませんでした。
ジョウと同じで父親と一緒にされたり比較されたりするのが何より嫌だったものです。

流石にあれから30年以上経っていますから、父に対してももうそんな感情はありません。
現在ではジョウの片意地も子供っぽく見えて、中学高校時代の自分を見ているような微笑ましい気分になってしまいます。
自分の中で視点が変わっているのですね。

レビューというより個人的な思い出話でした。
失礼いたしました。

【Blu-ray BOX購入】

アマゾンより
初回限定版というのもありましたが、私が買ったのは「クラッシャージョウ Blu-ray BOX」通常版のほうです。
1983年春に公開された劇場版と、その後作られたOVA2本がセットになっています。
正直なところ、欲しいのは劇場版だけなのですが、DVDの時と同様に抱き合わせBOX仕様しか出ないようです。

私は本編至上主義なので設定資料集などにはそれほど興味はないのですが、限定版のほうに入ってる特典映像『クラッシャージョウ劇場上映版』というのがどういうものなのかは気になっています。

ブルーレイ画質】

今回のブルーレイの画質について言えば、セルアニメのブルーレイとしては間違いなく10指に入るほどの高画質です。

DVDとの比較画像はメーカーサイトにありますので、当ブログでは3年ほど前に日本映画専門チャンネルで放映されたハイビジョン映像との比較をしてみました。
ブルーレイは4Kマスターで当然ながら1920×1080/24p。
日本映画専門チャンネル放映版は1440×1080/60iですが、今日に至るまでは最高画質ソースでした。

アルフィン
ブルーレイ

アルフィンN
日本映画専門チャンネル

ブルーレイ版は日本映画専門チャンネル放映版に比べて、当然のことながらノイズが非常に少ないです。
そして画面右上に走っている青い光線もクッキリしています。

ジョウ比較
もっと分かりやすいように2分割画面にしてみました。
向かって左がブルーレイで右が日本映画専門チャンネルです。
ブルーレイはセル画のジョウや花と背景画との質感差がはっきりしていて奥行き感があるのに対し、放送版はノイズのせいかベタッとした印象で奥行きが感じられません。
背景の緑もブルーレイのほうが鮮やかで、ここが平和で過ごしやすい場所であることが感じられます。

暗比較
暗部諧調です。
向かって左がブルーレイで右が日本映画専門チャンネルです。
違いは一目瞭然で、ブルーレイでは消灯している上部のパネルもよく見えています。

赤
赤N
赤の表現です。
上がブルーレイ、下が日本映画専門チャンネルです。
ブルーレイは真っ赤な照明の中でもジョウの白目部分や服の各色が赤に飲み込まれていません。
暗部諧調も出ています。

マチュア
最後にこんな映像も。
ブルーレイ版のマチュアです。
お肌スベスベです。

マチュアN
放送版のマチュア。
肌荒れが気になります・・・。

麗しき女体は出来る限り綺麗な状態で拝ませていただきたいものでございます。

【4チャンネル音声】
劇場公開当時、本作は4チャンネルサウンドで公開と宣伝されていました。
当時どれくらいの劇場が対応していたのでしょうか?。
ドルビーサラウンドとは別物だったらしく、その後発売になったLDやDVDには2チャンネル音声しか収録されていませんでした。

メニュー
今回はせっかくなのでこちらを選択しました。
4チャンネル分の音をDTS-HD MAに振り分けているということでしょうか。

アンプの表示
アンプの表示は確かにDTS-HD MAになっています。
従来の音響よりも確かに広がりや移動感がありますね。
しかし、近年の作品のように全編を通して緻密なサラウンド演出が成されているわけではなく、冒頭のカーチェイスやミネルバのワープシーンなど派手な音響効果が期待されるシーンで突然音空間が広がり始めるという感じです。
これは音声フォーマットの問題ではなく、当時はサラウンドを駆使した音響デザインに作り手が慣れていなかったということだと思います。

総じて、買って大満足のブルーレイでした。
あえて難を言えば、OVAは不要で劇場版だけを単品で欲しかったことと、ジャケット画が当時のポスターの絵柄にして欲しかったということぐらいです。

本日もお付き合いいただきありがとうございました。
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