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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2023.6/12~2023.6/18)

トガジンです。
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

20230618.jpg
今週はこの3タイトルに加えてある対談番組も見ております。
その番組が凄く面白かったので巻末に書き加えました。



6/12(月)
『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』
(ホームシアター:ディズニー・プラス)
ディズニープラス「インディ・ジョーンズ2」
大学2回生のとき、友人2人と連れ立って公開初日のオールナイト上映を見に行きました。
実はこれが私にとって人生初のオールナイトで見た映画でした。

『魔宮の伝説』公開当時の新聞
劇場は大阪・梅田のナビオ阪急内にあった北野劇場(現:東宝シネマズ梅田)。
当時の映画館は今と違って完全入れ替え制ではなかったので、3人とも明け方まで3回は続けて見る意気込みでおりました。
夜の10時か11時くらいの回を狙って行きましたがロビーは超満員!。
2時間前から並んで待って前の上映が終わると同時にダッシュで入場し、運よくセンターライン上の3席を確保して鑑賞に臨みました。

北野劇場の中央部には別料金を払ったお客用の指定席があってそこには白いカバーが被せてありました。
私たちはそのすぐ後ろの普通席を確保したんですが、このとき勝手に特別席に陣取った数名のグループときちんと指定料金を払ったお客が私たちの目の前で言い争いを始めました。
その後係員が介入して勝手に座った連中は渋々立ち去りましたが、彼らは劇場のシステムを知らなかったらしく「俺らが先に座ったのになんでや!」「こんな映画館火ぃつけたる!」といつまでもグチグチと文句を言っていて不快でした。
でも、今となってはそんな光景さえも『魔宮の伝説』鑑賞時の思い出の一部として記憶に刻まれています。

『魔宮の伝説』ゲテモノ宴
一晩中3回見るつもりでいたものの、ゲテモノ食いの宴だの心臓を掴み出す悪魔の儀式だのとグロい場面が連発して3人とも2回でギブアップ!(笑)。
3回目はパスして深夜に北野劇場を出ましたが、当然ながらまだ電車は動いていません。
他のオールナイト映画を見て始発を待つという案も出ましたが、3人とも眠気には勝てずナビオ阪急のエレベーター横の柱にもたれてそのまま寝てしまいました。
それが私にとって最初で最後の「路上寝」です(笑)。

『魔宮の伝説』余計なお世話
ただし、私が『魔宮の伝説』でいつも不愉快な気分になるのは、ゲテモノ食いや心臓掴み出しのグロいシーンではありません。
戸田奈津子婆の字幕です。
とにかく「余計なお世話」が多過ぎてイラっとするのです。
例えば、上海の建物の看板に「オビ=ワン」と書かれていることを字幕で示していますが、こういったお遊び要素をわざわざ字幕で強調する必要がどこにあるのでしょうか?。
そういうものは観客が自分で気付いてこそ面白いのです。
戸田婆は観客を楽しませることより、自分が気付いた(あるいは教えられた)ネタをひけらかして自己満足に浸っているとしか思えません。

『魔宮の伝説』年の差相棒
戸田婆の字幕と悪趣味なゲテモノ食い&悪魔の儀式シーンのために今まではあまり好きではなかった映画でしたが、今回インディの相棒:ショート・ラウンドを軸に見ていると「歳の離れたバディもの」として面白く出来ていることに気が付きました。

第95回アカデミー賞 インディとショーティ
ショート・ラウンドを演じたキー・ホイ・クアンさんはその後も子役として活躍しましたが、大人になると「東洋人」と差別を受けるようになりハリウッドでは役がもらえなくなってしまいました。
そのため、映画の裏方の仕事やカンフーの腕を活かしてアクション指導などの仕事に就いていたそうです。
そして苦難の30年間を経て『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』に出演を果たし、さらにアカデミー助演男優賞も獲得。
そのときのプレゼンターがインディ=ハリソン・フォードさんでした。
かつての年の離れた相棒同士の抱擁と、その姿を笑顔で見つめるスピルバーグ監督の3者の姿は我々映画ファンにとって涙なくして見られない素敵な光景でした。

ところで・・・。
仁徳天皇陵古墳
実はジョージ・ルーカスの『インディ2』初期企画案では日本を舞台にする予定だったらしいです。
仁徳天皇の古墳を巡ってインディが(多分)日本帝国軍と争う話だったのでしょうが、当然ながら宮内庁が即却下!。

当時私は大阪に住んでいましたので、本当に大阪の仁徳天皇陵古墳が『インディ』2作目の舞台になったとしたら間違いなくテンションMAX状態になったと思います。
実際、数年後の『ブラック・レイン』に京橋や心斎橋近辺が出てきたときには、映画館から出てすぐ京橋やミナミのロケ地を聖地巡礼して回りましたから(笑)。

あと、当時は日本経済が(今の中国並みに)強くなっていて、アメリカ映画の多くが日本市場をメインターゲットにしていました。
『インディ』2作目の舞台を日本にしようと考えたルーカスにはそんな思惑もあったに違いありません。



6/14(水)
『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』
(ホームシアター:ディズニー・プラス)
ディズニープラス「インディ・ジョーンズ3」
この映画も梅田の北野劇場で観ました。
ただ、この頃の私は大学を卒業してもどこにも就職せずにフリーターをしてました。
学生時代から続けていたテレビ局関係のアルバイトを数社掛け持ちしていて、「カメアシ(カメラアシスタント)のプロ」というワケの分からない妙な称号を頂戴していましたが、バカで世間知らずだった私はそんな言葉を真に受けて調子づいておりました。
それが親にどれだけ心配をかけているかも考えずに・・・。

『最後の聖戦』ジョーンズ父子
前作ではショート・ラウンドとのバディものとしての面白さを再発見しましたが、今度は父親とのバディものです。
父親のヘンリー・ジョーンズ役は初代ジェームズ・ボンドことショーン・コネリーさん。
流石の貫禄で、画面に登場した瞬間主役のインディを食ってしまいかねないほどの存在感を見せつけました。
それでも、あくまで助演として要所要所ではインディを引き立てることを忘れていません。

『最後の聖戦』本名
本作では、その父親の口からインディの本名が明かされます。

ヘンリー・ジョーンズ・ジュニア

『最後の聖戦』ジュニアと呼ぶな
私としては「ジュニア」と呼ばれることを極端に嫌がるインディに激しく共感しておりました。
というのも、私の名前は父の名に一文字足しただけのものなのです。
小学校高学年のとき、たまたま自分と父親の名前が並べて書かれている書類を見て「これじゃまるで俺が父のオマケみたいじゃないか!」と思ってしまいました。
以来、無意識に自分のアイデンティティを守ろうとした私は、父に対してあからさまな嫌悪感を抱くようになりました。
それはいわゆる「反抗期」とは別の感情であり、父は息子がなぜ急に自分を嫌い始めたのか分からなかっただろうと思います。

『最後の聖戦』エルザ・シュナイダー
『最後の聖戦』はアクション映画として面白い映画ではあるのですが一点だけ欠けているものがあります。

『レイダース』マリオン
『レイダース』のマリオンは最初ガサツな女として登場しましたが、話が進むにつれてどんどんチャーミングになっていきました。

『魔宮の伝説』インディとウィリー
『魔宮の伝説』のウィリーは騒がしいばかりのトラブルメーカーでしたが、それなりに可愛くて色っぽかったと思います。

『最後の聖戦』エルザとインディ
でも、『最後の聖戦』に登場する唯一の女性キャラ:エルザ・シュナイダーはナチスドイツの女スパイ。
インディを簡単に手玉に取って、しかも父親とも関係を持っていていました。
ジョーンズ父子に逆親子ドンブリを仕掛けてほくそ笑むプロの女です。

『最後の聖戦』おっさん4人
結局、この映画はおっさんたちの話でした。
前作『魔宮の伝説』になぞらえるなら、父:ヘンリーがショート・ラウンド、マーカスがウィリー、サラーは序盤で死んだインディの仲間といったところでしょうか。
「魅力的なヒロインがいない」=「華がない」ことがこの映画の欠点です(笑)。

『最後の聖戦』ラストシーン
でも、この美しいラストシーンを見ながら勇壮なレイダースマーチを聴いているとそんな不満も忘れてしまうから不思議です。
『インディ・ジョーンズ』シリーズの魅力のうち、3分の1はインディというキャラクター、3分の1はジョン・ウィリアムスの音楽、そして残りの3分の1がストーリー&他のキャラクターたちなのではないかと思ってます。



6/15(木)/16(金)
『藤子・F・不二雄SF短編ドラマ』3作品🈠
藤子・F・不二雄SF短編ドラマ ラスト3話
先週と先々週の日曜に『藤子・F・不二雄SF短編ドラマ』の新作3話(このうち1話は前後編)が放送されました。
各話15分なので木曜と金曜に2話づつ見ておりました。

『方舟はいっぱい』
藤子・F・不二雄SF短編ドラマ『方舟はいっぱい』
原作の発表は1975年。
オイルショックによる人心混乱と「ノストラダムスの大予言」の終末思想ブームが重なった頃の作品です。

藤子漫画の実写化は、原作の独特の「間」を演出や俳優がどう解釈しどう表現するかでドラマの出来不出来が決まります。
方舟に乗るための費用を捻出するため主人公一家に格安で家を売った友人役の袴田吉彦さんはその後ろめたい感じがよく出ていて上手かったと思います。
残念だったのは、肝心の主演俳優が原作のイメージより若かったせいか、彼が守ろうとした日常というものがあまり伝わってこなかったことです。

・・・と思っていたら、金曜日にとんでもないニュースが!。

『方舟はいっぱい』主演俳優逮捕
その主演の永山絢斗が大麻取締法違反で逮捕されました。
おいおい、それじゃ地上波での放送も見逃し配信も出来ないじゃないか!。
もしかして、幼い子役さんと共演していたときもおクスリ使っていたのか?。
関係者はもちろんのこと、藤子先生も天国で泣いているぞ、永山よ!。

『どことなくなんとなく』
藤子・F・不二雄SF短編ドラマ『どことなくなんとなく』
「胡蝶の夢」や「水槽の脳」などの「現在自分が居るこの世界は実は何か(誰か)によって作られた疑似世界(シミュレーション)に過ぎないのではないか?」という倒錯した疑念や恐怖を端的に分かり易く描いた作品です。
私と同世代であれば、押井守監督の『うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー』(1984年)の序盤やウォシャウスキー兄弟(現:姉妹)の『マトリックス』シリーズ(1995年~2021年)を連想すると思います。
そして、オチはキューブリック監督が企画しスピルバーグ監督が作った『A.I』とそっくりでした。

でも、この原作漫画は『方舟はいっぱい』と同じ70年代終末ブームの頃に描かれた作品なのです。
藤子先生の先見性とセンスがいかに凄かったかが伺えます。
ハリウッドもSF映画のネタに困ったら、まず藤子・F・不二雄先生のSF短編を読むことをお薦めしたいです(笑)。

ドラマとしても主演俳優のボーっとした風貌がこの世界観に合っていて演出のテンポも良かったです。
今回のドラマ化シリーズの数少ない成功作の一つだと思います。

『イヤなイヤなイヤな奴』(前後編)
藤子・F・不二雄SF短編ドラマ『イヤなイヤなイヤな奴』
原作を知るものとしては、あのイヤな奴:ミズモリ整備士を誰が演じるかでこのドラマの成否は決まると思ってました。

増田貴久・・・?。

誰かと思ったら、あのJ事務所所属のアイドルさんでした。
このキャスティングはJ事務所創始者のスキャンダル発覚前だったのでしょうか?。

『イヤなイヤなイヤな奴』野間口徹さん
でも、風貌から考えるとミズモリ役はキヤマ航宙士役の野間口徹さんのほうが適役だったと思うのですがね。
逆に増田さんはドイ機関助手役あたりが向いている気がします。
もしかして、スキャンダル発覚前のJ事務所から「ウチの増田を主役にしろ」と圧力がかかってそれにNHKが忖度したとか?。
そんな余計な考えが浮かんでしまうような残念というか勿体ないドラマでした。



今週はもう一つ、映画やドラマではないですが強く印象に残った番組がありました。

6/13(水)
『X年後の関係者たち あのムーブメントの舞台裏 樋口真嗣と日本特撮編』🈠
(自室液晶テレビ:BS-TBS)
⼀⼤ブームを巻き起こした関係者が一夜限りの同窓会を開催。
芸能界屈指の特撮好きカズレーザーと樋口真嗣監督が日本特撮を語りつくす!。

今まで全く知らなかった番組ですが、どこかのブログかツイッターで樋口真嗣監督がゲスト出演すると知って録画試聴しました。

X年後の関係者たち 樋口真嗣 怪獣同士の戦い
やはり樋口監督の特撮話はメチャクチャ面白いです。
5年前の京都みなみ会館のイベント上映に登壇されたときも爆笑ものでしたが、あの独特のテンポと間の取り方は流石です。

『G1』怪獣プロレス
私がずっと気になっていた『ガメラ 大怪獣空中決戦』のガメラとギャオスのどつきあいシーンの違和感。
あれは樋口監督自身も分かっていて、怪獣同士でどつきあってもパンチより先に顔がぶつかってしまうと悩んでいたそうです(笑)。
かといって、当時の『ゴジラVSシリーズ』みたいに光線や火球ばかりにしてしまうことはやりたくなかった・・・と。

X年後の関係者たち 樋口真嗣 グドンとツインテール
しかし、その後『帰ってきたウルトラマン』を見返したときグドンを見て閃いたのだそうです。
「ムチって便利!」

『ガメラ2』レギオンのムチ攻撃
なるほど。
『ガメラ2』のレギオンの電磁ムチ攻撃はグドンが元になっていたのですね。
初めて知りました。

いやあ~見て良かった!。
この番組、また怪獣・特撮特集やって欲しいです。


今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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COMMENTS

2 Comments

There are no comments yet.

ゾンビマン  

毎度です。

私も初めて友人たちとオールナイトで観たのが北野劇場初の70mm上映だった『レイダース失われたアーク』でした。
凄い熱気で、北野劇場の大音響に飛び上がり、終映後に劇場内から拍手が巻き起こった最初の経験に興奮しました。
2作目だけ劇場で観ていなくて。

2023/06/19 (Mon) 00:11 | EDIT | REPLY |   

トガジン  

ゾンビマンさん、コメントありがとうございます。

オールナイトって妙にハイになりますよね。
特殊な時間と空間に共有していることで他のお客さんとの連帯感も強まる気がします。

でも、流石にこの歳になるとオールナイトはしんどいです。
むしろ早朝のほうが集中出来ている気が・・・。

2023/06/20 (Tue) 00:08 | EDIT | REPLY |   

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