週刊映画鑑賞記(2023.6/19~2023.6/25)
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

今週は『インディ・ジョーンズ』4作目と『スター・ウォーズ』スピンオフ短編アニメ集第2弾。
どちらもディズニー・プラスでの視聴です。
そういえば最近映画館へ行ってないなあ・・・。
6/19(月)
『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』
(ホームシアター:ディズニー・プラス)

前作から19年もの時を経て作られた第4作目です。
ルーカスフィルムとパラマウントとの間では『インディ』シリーズは5作品を制作する契約になっていましたが、ストーリーを作るべきジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』新3部作にかかりきりだったせいもあって随分長いこと待たされました。
実はこの第4作については最初に劇場で一度見たきりその後ブルーレイやWOWOW等の放送でも見返したことがありません。
15年ぶりの再会ということで、前の三作に比べると新鮮な気持ちで見ていられました。

インディの生年は1899年です。(『ヤング・インディ・ジョーンズの冒険』より)
ということは、1957年の物語である本作のインディは58歳ということになります。
ってことは・・・今の私とほぼ同じ年齢ではないですか!。

15年ぶりの鑑賞でしたが、冒頭部であの帽子を被った男の影に「レイダースマーチ」がうっすらと重なって聴こえてきただけで「あ!、インディだ!」とすんなり没入することが出来ました。

核爆発から鉛製の冷蔵庫に入って難を逃れるシーンには当時非難ゴウゴウだった記憶があります。
被爆国:日本の人間としては、核爆発や放射線についてあんなに軽く扱われることに「なんて無神経な!」とドン引きしました。
この感覚は『トゥルー・ライズ』やギャレス版『ゴジラ』の核爆発シーンに感じたのと同じものです。

それに、鉛の冷蔵庫で放射線からは身を守れたとしても、摂氏7,000℃以上の高熱や墜落時の衝撃に耐えられるとは思えません。
でも、私はあの荒唐無稽なシチュエーションに関して「リアリティが無い!」などと目くじら立てる気はありません。
なぜならこの映画は『インディ・ジョーンズ』なのですから!。

思い出してください。
『魔宮の伝説』でインディたちは墜落する飛行機からゴムボートに乗って脱出していたのですよ!?。
あのゴムボートと今回の冷蔵庫とどれほど違うというのでしょうか?。

最後のUFOにしたって同じです。
公開当時「『インディ』にUFOなんか出しやがって!」と非難する人が多かったですが、あれの一体どこがどう駄目だというのでしょうか?。
そもそも『インディ』シリーズはオカルトや超常現象を肯定する映画なのです。
聖櫃から悪霊が出てきて見た者全員を皆殺しにした『レイダース』。
『魔宮の伝説』の黒魔術と奇跡の石。
『最後の聖戦』には永遠の命をもたらし瀕死の重傷も治癒してくれるキリストの聖杯が登場しました。
そして、クリスタル・スカルは最初から宇宙人関係の遺物と言われていたものです。
あの展開はむしろ当たり前過ぎるくらいです。
ルーカスやスピルバーグが少年時代に夢中になって観ていたという連続冒険活劇を現代に蘇らせたのが最初の『レイダース』であり『インディ』シリーズです。
そこに多少の(いや、かなりの)無理やご都合主義があったとしても面白ければそれでいいじゃないですか。
私がUFOの場面に不満を述べるなら、あの場面が全てCGだったという点だけです。
「古き良き冒険活劇映画」を作るのであれば、あのUFOも昔ながらのミニチュアと合成で作って欲しかったと思います。

インディの息子が登場。
最初は末期の『男はつらいよ』が老いた寅さんに代わって甥の満男がメインになっていたことを思い出して心配でしたが、インディに限ってはそれは杞憂でした。
最初にも書きましたが、この時のインディの年齢設定は現在の私とほぼ同じです。
そのせいもあってか、劇場での初観賞時とは比べ物にならないくらい没入して楽しめました。
見た目は老いても『最後の聖戦』の頃と変わらぬバイタリティで見る者を楽しませてくれます。

1作目『レイダース』のヒロイン:マリオン(カレン・アレン)が再登場。
しかし、公開当時はファンサービスの域を出ていない感じがして少し醒めた気持ちで見ておりました。
シリーズにとっても本作にとっても重要なキャラクターなのでもっと大切に扱って欲しかったと残念に思います。
・・・しかし!。

今回15年ぶりに見返して驚きました。
老けたマリオンの笑顔が私の妻とそっくりなのですよ。
妻の顔写真をお見せ出来ないのが残念ですが、ニカッと大きく口を開けて笑うマリオンは「まるで親子か姉妹」と思えるくらい今の妻とそっくりです。
考えてみれば妻は現在54歳。
1951年生まれのカレン・アレンさんが『クリスタルスカルの王国』でマリオンを再演したときはおそらく56歳くらいだったはず。
同じような年齢になって顔の作りが似ていることに初めて気が付きました。
そういえば妻と初めて出会ったとき「誰かに似てる気がする」と思った記憶がありますが、そうかマリオンだったのか!。

旧友のオックスリー教授や裏切り者のマックスなど、今回初登場の人物については説明不足が目立ちます。
例えば、ジョン・ハートが演じたオックスリー(クリスタルスカルに魅入られて記憶障害を起こした学者)の役割は、元の脚本ではインディの父:ヘンリーになるはずでした。
つまり『クリスタルスカルの王国』はヘンリー、インディ、マットの三世代の話になるはずだったのが、ショーン・コネリーに出演を断られたため急遽別のキャラクター(オックスリー)をこしらえたのだそうです。
また、ある俳優が自分が出演した場面の内容をメディアに喋ったことに激怒したルーカスがそのシーンをばっさりカットしたため話の繋がりが悪い部分がありました。

ソ連軍の女性将校:イリーナ(演:ケイト・ブランシェット)がなんだか憎めなくて良かったです。
攻殻機動隊の草薙素子みたいな髪型に冷徹で無機質な感じでありながらも、随所に可愛らしいところが見え隠れするのです。
いわゆるツンデレキャラというやつですね(笑)。

特に、足元からよじ登ってくる人食いアリを内股で潰す格好悪さと恐怖に引きつった表情には萌えました(笑)。

最後にクリスタルの玉座を目にしたときには、まるで無垢な少女のように胸の前で手を組んで目を輝かせていました。
憎たらしいはずのラスボスも、演じる女優の演技の幅広さによってこんなに魅力的に見えてしまうとは!。
インディの見立てによると、イリーナは「ウクライナ東部の生まれ」とのことです。
ウクライナは現在ロシアと戦争状態にありますが、この二つの国は1991年まで同じソビエト連邦を構成する隣国同士でした。
たった一つのインディのセリフで一瞬だけ現実に戻ってしまいました。

本作で最も残念だったのは、最後の結婚式のシーンに過去作品の仲間たちの姿が無かったことです。

私はあの中に『レイダース』で聖櫃探索に協力してくれたサラーと、大人になったショート・ラウンドの姿を探したのですが、参加者たちの中に彼らの姿はありませんでした。
まあ、元カノとなってしまったウィリーが居ないのは仕方ないですが(笑)

ここ数週間で『インディ』シリーズ過去作全部を見返しました。
最新作『運命のダイヤル』が楽しみでなりません。
6/20(火)~6/22(木)
『スター・ウォーズ ビジョンズ2』(全9話)🈠
(ホームシアター:ディズニー・プラス)

1話につき15分~20分程の短編集なので、全9話を一日3話づつ3日かけて見ておりました。
前シーズンは日本のアニメクリエイターが独自の『スター・ウォーズ』世界を短編アニメで表現したオムニバス作品集でした。
今回は日本以外の世界各国のアニメスタジオがそれぞれの『スター・ウォーズ』を使って表現しています。
そのため、日本人には馴染みが薄い視点や世界観が多く描かれていて、新鮮な気持ちで楽しめるものもあればイマいちピンとこない作品もありました。
各話の感想をいちいち書いていたら長くなってしまうので簡単な紹介と解釈を3作ごとまとめて書いていきます。

第1話『シス』
シスの道を離れて絵描きとなったパダワンの元にマスターがやって来る。
シスの中にも暗黒面を嫌って自由に生きたいと願う者もいるらしい。
全体が油絵のようなタッチで描かれており、穏やかな主人公の心情はカラフルな色で、忍び寄る負の感情(シス)は漆黒で表現しています。
第2話『スクリーチャーズ・リーチ』
どこかの星で帝国の奴隷として働かされている子供たち。
3人の少年少女が施設を抜け出して冒険の旅に出る。
一人の少女は謎の洞くつで邪悪な老婆と戦い勝利するが、相手に対する恐怖と憎しみに支配された彼女はそのままシスのマスターに連れ去られていく。
途中まで彼らがジェダイに救われる話かと思っていたら真逆の結末になって暗鬱な気持ちになりました。
それでも、彼女にとっては元の奴隷生活に戻るより遥かにマシだったということでしょうか?。
第3話『星の中で』
ストーリーは、強いフォースを持つ姉弟が亡き母親と同じように自分の星を占領した帝国軍に勇気を振り絞って立ち向かうというもの。
フォースを扱えるのはジェダイだけでなく、ミディクロリアンも関係ない!。
真っ直ぐな心を持った少年少女は誰も皆フォースと共にあるのです。
この作品、最初はCGアニメかと思って見ていたら、なんとストップモーション(コマ撮り)アニメでした。
ここまで見て、シーズン2は作品ごとに世界各国のアニメ会社がそれぞれ得意な手法で作っていることに気付きました。
シーズン1は全作品を日本のアニメ会社が制作したため、映像よりも『スター・ウォーズ』ユニバースの様々な解釈を楽しむシリーズになっていましたが、シーズン2は多様な解釈に加えて各国ごとのアニメ映像の差異を楽しめるようになっています。

第4話『だってママだもの』
こちらはなんとクレイ(粘土)アニメーション。
家族で出場するポッドレースがまるで町のお祭りイベントのように行われている世界。
ということは、この星はタトウィーンでしょうか?。
自由奔放な性格の母親と、そんな母親を恥ずかしいと思う思春期の娘がポッドレースに出場して家族の絆を結び直す話でした。
第5話『ダークヘッドへの旅』
5話目にしてようやく見慣れた2次元アニメが出てきてなんだかホッとしました(笑)。
ストーリーは、ツンデレ美少女と根クラなジェダイ・パダワンとのバディもの。
韓国のアニメ会社が作った作品ですが、絵柄も演出も日本のアニメそのものです。
日本のアニメはコスト削減のため一時期作画下請けを中国や韓国に出していましたが、ものの見事に技術を盗まれました。
第6話『スパイ・ダンサー』
おそらく反乱軍が発起して間もない頃、つまりスピンオフドラマ『キャシアン・アンド―』と同じ時代の話のようです。
20年前、帝国軍の襲撃を受けて最愛の息子を連れ去られた女:ロイは帝国軍御用達のトップダンサーとなって客である将校や兵士たちから情報を盗み取るスパイ活動に奉じていた。
ある夜、劇場の来賓席に息子を連れ去った将校の姿を見たロイは・・・。
出来るものなら、シーズン3でロイと再会した息子のその後を見せて欲しいです。

第7話『ゴラクの盗賊』
3DCGアニメですが、意図的なのかこれが技術的限界なのかキャラクターの造形や画作りがかなり古臭い印象です。
幼いながらフォースを操れる妹と、そんな彼女を匿い続ける兄。
フォースを使う妹を帝国にチクろうとする輩が大勢いることから、おそらく『シスの復讐』後の帝国支配時代と思われます。
そんな二人は列車を襲った盗賊一味と行動を共にしますが、その首領の老婆はなんとオーダー66を生き延びたジェダイでした。
妹は兄と分かれてジェダイ・パダワンとなるべく老ジェダイに付いていきます。
第2話『スクリーチャーズ・リーチ』と対を成す内容でした。
第8話『穴』
帝国軍がカイバークリスタルを掘り出すために捕えてきた奴隷たちが大きな縦穴を掘らされている。
目的のクリスタルを掘り尽くした後、帝国軍は穴の底に奴隷たちを置き去りにして去ってしまう。
一人の若者が崖をよじ登って脱出に成功し、街の住民たちに仲間の救助を求めるが・・・。
第2話に続いてここにも「奴隷」という存在が描かれています。
これは日本人が作ったシーズン1には無かった観点です。
もちろん昔は日本人も戦争に勝って奪った相手国の住人を奴隷化した黒歴史があったはずですが、今の私たちはそういった歴史教育を受けていないため今ひとつピンときません。
更に、日本人は自らが奴隷として扱われた歴史的経験を持っていません。
そうした国民性の違いを如実に感じ取れる作品です。
第9話『アーウの歌』
最初は「これのどこがスター・ウォーズ?」と思ったんですが、歌をフォースに置き換えて見ると「なるほど、そういうことか!」と着眼点の面白さに思わず膝を打ちました。
「フォースとは銀河系のあらゆる生命を繋ぐエネルギー場である」。
これは『帝国の逆襲』でヨーダが語っていたフォースの定義(のひとつ)です。
美しい歌や音楽には地球上の全ての人間同士を精神的に繋いでくれる力があります。
いや、人間だけではなく植物や全ての動物たちも自然界の音の影響からは逃れられません。
綺麗な音を聴いて育てば心優しい子に育ちますし、耳障りで嫌な音ばかり聞かされれば心が荒みます。
背景がまるで『アルプスの少女ハイジ』のように牧歌的で美しいことにもそうした意図が込められている気がします。

先日、アマゾンで予約購入していたUHD-BD盤『七人の侍』が届きました。
すぐにでも見たかったんですが、なにせ3時間20分の大長編です。
残念ながら、これから暫くはまとまった時間が取れそうにないため当分おあずけです。
「午前十時の映画祭」で再上映されたときは映像だけでなく音声もかなりクリアになっていましたし、これまで買った『用心棒』『椿三十郎』『天国と地獄』がどれも素晴らしい高画質だったので今回も見るのが楽しみです。
<(_ _)>
今週もお付き合いいただきありがとうございました。