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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2023.8/28~2023.9/3)

トガジンです。
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。

20230903 TOP
今週はこの三本。
夏休み最後の週だから・・・というわけではないですが、月曜に見た『かがみの孤城』が思いのほか良かったことから今週はジャパニメーション週間にしました。

2023年9月ネトフリ再開(個人情報消去済)
あと、9月1日から1ヶ月間限定(予定)でNETFLIXを再契約しました。
今回のお目当ては『ULTRAMAN』シーズン3と7日から配信開始される『GAMERA-Rebirth-』です。



8/28(月)
『かがみの孤城』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)
『かがみの孤城』ポスター画像
『クレヨンしんちゃん』劇場版で名を馳せた原恵一監督の最新作。

原監督の前作『バースデー・ワンダーランド』のような鏡の世界のファンタジーものだろうと思って見ていたら全然違ってました。
ファンタジーであることは確かですが、主人公を含めた7人のメインキャラクター全員が不登校の中学生という重めなお話です。
「あちゃ~、また暗いアニメを見てしまった・・・。」と思いつつも原監督を信頼して見続けました。

原作は2018年本屋大賞を受賞したミステリー作家:辻村深月先生の小説。
「辻村深月って名前どこかで聞いた気が・・・?」と思っていたら、妻が『ドラえもん のび太の月面探査記』のオリジナル脚本を書いた人であると教えてくれました。
ミステリー作家であると同時に幼い頃から藤子・F・不二雄先生の大ファンである辻村先生が緻密に組み上げられた謎を紐とくファンタジー作品です。
その謎解きの面白さを原恵一監督が2時間の映画に落とし込んだのがこの映画。
原作を読んでないのでどう取捨選択してまとめたかは分かりませんが、予備知識ゼロの私にも面白くて見応えがあったので流石は原監督といったところです。

孤城に集められた7人
主な登場人物は、異世界の孤城に招待された7人の中学生と狼のお面を被った自称「オオカミ様」。
7人のうち1人を除く6人は学校に行けなくなってしまった不登校&引き籠りの少年少女です。
現実世界における苛烈ないじめや父親からの性暴力などもかなりオブラートに包まれてはいますが描写されています。
中学生以下の子供には見せたくない部分も多いですが、逆にいじめや家庭内の事情で学校に行けなくなってしまったナイーブな子たちには心の支えになってくれそうな話です。

話が進むにつれて、実は一人を除いた6人が同じ中学の生徒であることが判明。
更に他の学校に行っているという少年も、本来なら同じ中学に通うはずだったのがある事情で海外留学していることが分かります。
しかし、あるとき同じ中学の6人が意を決して同じ日の同じ時間に学校で会おうと決めたものの、何故か全員誰とも会うことが出来ませんでした。

辛い現実も
ストロベリーティーが2回出てきた時点で大体の構造が読めてきて、さらに一人の女の子が昔懐かしいルーズソックスを履いていたことで「あ、これは同じ中学でも違う年代の子たちなのだな」と確信に変わりました。

オオカミ様
その後はおおむね読み通りの展開で「こんなもんか」と思いましたが、最後に残った伏線(姉弟のエピソード)が回収されたときには不覚にも涙腺が緩んでしまいました。
私の年齢と経験からは心に刺さるものは少なかったものの、それでも傑作であることに異論はありません。



8/30(水)
『えんとつ町のプペル』🈠
(ホームシアター:WOWOW録画)
『えんとつ町のプペル』ポスター画像(1)
原作はお笑いコンビ:キングコングの西野亮廣さんが作った絵本。
ネットであまり良い評判を聞かなかった(良い評価の殆どはサクラだという話さえあった)ため今まで敬遠していましたが、今週はジャパニメーション週間としたことで好き嫌いせず見てみることにしました。

プペルとルビッチ
・・・はて?。
この作品のどこがどう駄目なのか私には全然わかりません。
なかなか良いおとぎ話だと思うのですがね。

空を見上げることも夢を見ることも、そして真実を知りたいと願うことさえ禁じられたえんとつの町。
孤独な少年ルビッチは亡き父が語った「煙の上には星というものがある」という言葉を信じている。
そんなルビッチは異端審問官にマークされたうえ町の人々も「そんなのはおとぎ話だ」と嘲笑する。
そんなとき空から落ちてきた何かにゴミが集まって人型のプペルが現れた。

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ルビッチは「誰かあの向こうを見てきたのかよ!。」と啖呵を切り、プペルと二人で空の煙を取り払い星を取り戻しにすの世界を見に旅立つことを決意します。

あの日諦めた自分
異端審問官や町の人々がルビッチとプペルを阻止しようとする中、彼らを助けてくれたのはそれまで何故かルビッチを否定してばかりいたガキ大将のアントニオでした。
「星が見つかっちまったらあの日諦めた自分がバカみたいじゃないか!。チクショー!。」そう言って泣きながらルビッチの旅立ちを助けてくれるシーンが最高です。
あと病弱な母親の激も素敵です。
「母親命令だ、必ず帰ってこい!。」
映画を見た人にしか分からないでしょうが、こうして書きながらも目頭が熱くなってくるほど良い場面でした。

旅立ち
今の子供たちに見て欲しいと思える良質なアニメです。
酷評している人たちは作者の西野さんが前面に出過ぎていることに反発しているだけではないでしょうか?。

あ、でも残念な点がひとつだけ。
これも見た人にしか分からないでしょうけど、プペルは最後まで友達のプペルのままで終わってほしかったです。



9/1(金)
『映画大好きポンポさん』🈠
映画大好きポンぽさん NETFLIX扉画面
(ホームシアター:NETFLIX)
「絵柄から受けるイメージに反してなかなかの傑作」という評価を聞いて前から見たいと思っていたアニメ映画です。
NETFLIX再開一発目としてこれを選びました。

『映画大好きポンポさん』主人公ジーン
映画が好き・・・というより映画だけが友達というコミュ障の少年:ジーンが敏腕少女プロデューサー:ポンポさんに見出されて映画監督デビューするというのがおおまかなストーリーです。

『映画大好きポンポさん』編集イメージシーン
アニメという媒体を活かした攻めた演出の連続に思わず時間を忘れて見入ってしまいました。
特に映画を編集するシーンが凄いです。
あの脳内イメージの奔流はアニメでなければ絶対不可能な表現だったと思います。

高3から大学卒業までの約5年間、8ミリフィルムで自主映画作りに夢中になった私にとっては「刺さる言葉」が次から次へと出てきます。
そのうちの一つが、ポンポさんの「幸福は創造の敵だ」というセリフです。
常にうまく立ち回って挫折を知らずに育った者には「何かを作り出したい!」という衝動が無いためクリエイターにはなり得ないという意味です。

このセリフを聞いて私は高校生のときの自分を思い出しました。
陸上部を退部して帰宅部になった私は、高3の夏休みに似た境遇の仲間と一緒に初めて映画を作った経験があるのです。
「部活を辞めて悶々としたまま高校生活を終えてしまうの?」という焦りと「卒業までに何か一つやり遂げたい」という衝動がその原動力でした。

他にも
「何かを残すということはそれ以外を犠牲にすること」
「一番見てもらいたい人のために作る」
「君の映画に君はいるか?」

等々、モノ作りに携わる者なら絶対にグッとくるセリフが目白押しです。

最期まで映画オタクのまま
しかし、このアニメには根本的な欠陥があります。
それは「主人公のジーンが最後までコミュ障の映画オタクのまま終わってしまう」ことです。
ハッキリ言って、コミュ障に映画作りなど絶対に出来ません。
映画は一人で作るものではないからです。
大勢のスタッフと出演者が一つのストーリーをより良く表現するために一致団結して作るものであり、またお金や人を集めてくれるプロデューサーや資金提供してくれるスポンサーが不可欠です。
どんなに優れた才能やセンスを持っていても、しすて過去に大きな実績があったとしても、腹を割って他人と交流しようとしない人物に映画作りの才覚はありません。
(『シン・仮面ライダー』の製作現場を追ったNHKドキュメンタリーを見た人ならきっと分かると思います)

これは高3の夏休みにビデオ機材を借りて初の映画作りに挑んだものの、撮影場所の許可をちゃんと取らなかったことが学校で問題になってしまって目標としていた文化祭で上映させてもらえなかったという大失敗をやらかした私にはそう思えてならないのです。
その後、大学に入ってからは10分から30分ほどの8ミリ映画を30本以上作りましたが、それらは友人たち(スタッフや出演者)の協力無しでは一本たりとも作れなかったと思います。

ジーンとポンポさん
しかし、『映画大好きポンポさん』にはジーンが自分から人間関係を構築していく姿は全く描かれていません。
そうした対人関係は全てカリカチュアされた敏腕プロデューサーのポンポさんが請け負ってくれるため、ジーンは最後まで自閉症の映画オタクのままなのです。
映画制作の過程で監督のジーンが乗り越えるべき障害の全ては彼のオタク知識とプロデューサー(ポンポさん)の尽力によって切り抜けてしまうため、あまりにも主人公に都合が良くて挫折の無い物語になっていました。

その最たるものは、編集途中で「絶対に必要な場面が足りない」と気付いて追加撮影を要望する場面です。
ジーンはポンポさんに土下座して頼み込むことで追撮の了承は得ましたが、新人監督の作品であることに加えて完成の遅れと予算超過に危惧した銀行は出資を渋ります。
そこを助けてくれたのは、その銀行に勤めていたジーンの高校時代のクラスメートでした。
なんという幸運!。
百歩譲ってご都合主義的展開は看過するとしても、せめてジーン自身が追加融資をしてくれた銀行とその友人に直接頭を下げに行く描写は必要だったと思います。
(それがこの映画に足りない「絶対に必要な場面」です)

主人公はコミュ障の映画オタク
ラストでジーンは映画人として最高の栄誉を手に入れることになりますが、私にはあのラストシーンも「コミュ障映画オタクの妄想」にしか見えませんでした。
攻めたアニメーション演出が出色の出来だっただけに本質的な部分が抜け落ちていたことがとても残念です。



【9月の予定】
9月はこれ見る!
9月は『GAMERA-Rebirth』と『ULTRAMAN』シーズン3を軸に再契約したNETFLIXを見まくり、さらにディズニー+で『スター・ウォーズ:反乱者たち』を見るのに時間を費やすことになりそうです。
あと東映チャンネルで毎週2話づつ放映されている4Kリマスター版『仮面ライダー』も欠かさず見てますから、9月は長編映画を観る時間はあまり取れない気がします。


今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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