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映画と日常

週刊映画鑑賞記(2023.11/6~2023.11/12)

トガジンです。
毎週日曜日はこの一週間に観た映像作品を日記代わりに書き留めています。
今週は『ゴジラ-1,0』一本のみ。
現在秋の繁忙期真っ只中のため他の映画を観る時間がなかなか取れないこともありますが、『ゴジラ-1,0』のインパクトがあまりにも強すぎたため他の作品を見ようという気が起きないというのが本当のところです。

※本記事には『ゴジラ-1,0』のネタバレが含まれています。映画を未見の方はお読みにならないでください。



11/7(火)
『ゴジラ-1.0』🈠
(劇場:109シネマズ大阪エキスポシティ)
『ゴジラ-1,0』ポスター画像(生きて抗え)
さて、今週はちょっとネタに困ってます。
『ゴジラ-1,0』の感想は7日の記事(「わたしは見た! 史上最凶のダークなゴジラを!」)にあらかた書いてしまったため、今回書くことが殆ど残っていません。
実は「週刊映画鑑賞記」には俳優さんについて書こうと思ってネタを残しておいたんですが、先日頂いたコメントの返事にその一部を書いてしまいました(汗)。
重複する部分がありますが、当初の予定通り役者さんの演技と演出について書くことにします。

『ゴジラ-1,0』出演者
以前から山崎監督の人物描写には大袈裟な演技が多く、そこにクサさを感じて白けてしまうことが少なくありませんでした。
人物の心情をそのままセリフで語らせてしまったり、やたら怒鳴ったり叫んだりさせることで緊迫感を煽る演出が多く、そこに鬱陶しさを感じるのです。
良く言えば「分かり易い」。
悪く言えば「余計なお世話」。
実写よりむしろアニメの演出に近い気がしました。

でも、今回の『ゴジラ-1,0』では(一部のシーンを除いて)その「分かり易い演出」が功を奏していたかも知れません。
人間ドラマに意識を向けさせ過ぎないことで特撮シーンとのバランスが丁度良くなっているのです。
敷島のウジウジ・トラウマ状態をあれ以上見せられたら流石の私も5回目くらいでお腹いっぱいになってしまいますが、あのバランスならあと10回は映画館へ観に行けそうです(笑)。

その分かり易い演出のおかげか登場人物全員のキャラが立っていました。
それぞれ特に印象に残ったセリフを書き出してみます。
(セリフの文言は記憶を頼りに書いたので正確ではありません)

『ゴジラ-1,0』神木隆之介
敷島浩一(演:神木隆之介)
「自分はとっくに大戸島で死んでいて典子さんも明子もその屍が見ている夢なんじゃないか?。」


この「胡蝶の夢」的な話が出てきたとき、思わず「押井守かよっ?」とツッコミそうになりました(笑)。
現実逃避もここまで来るとあとは自らの命を絶つしかありませんが彼にはその勇気もありません。
でも、敷島の深い罪悪感を癒してくれたのは典子の胸の鼓動と明子の寝顔でした。

敷島は典子を失って自暴自棄に陥りますが、最後には橘整備士が局地戦闘機「震電」に付けてくれた脱出装置を自らの意志で使います。
放射能の雨を浴びてしまった彼の余命はそう長くないかも知れませんが、それでも生き続けることを選択したのです。
最高のラストシーンでした。

ちなみに敷島が搭乗した局地戦闘機「震電」は、押井守監督のアニメ『スカイ・クロラ』に登場した幻の戦闘機です。
やっぱり押井監督の影響があったのは確かみたいです(笑)。

『ゴジラ-1,0』吉岡秀隆
野田健治(演:吉岡秀隆)
「この国は人の命を粗末にし過ぎた。今度の戦いは犠牲者を一人も出さないことを誇りとしたい。」


『ゴジラ-1,0』の配役で面白かったのは、吉岡秀隆さんと神木隆之介さんのキャラ性が入れ替わっていたことです。
今回神木さんが演じた敷島のようなウジウジしたキャラクターは、実は吉岡さんの十八番なんですよね。
その吉岡さんがウジウジキャラの敷島の背中を優しく押してくれる兄のような存在を演じていたのが逆にハマっていたと思います。

『ゴジラ-1,0』佐々木蔵之介
秋津淸治(演:佐々木蔵之介)
「この国は変わらねえな、いや、変われない・・・か。」
「誰かが貧乏くじ引かなきゃならねえんだよ!。」
「戦争に行ってないってことは幸せなことなんだぞ。」


この映画で一番分かり易い人です(笑)。
言い換えるなら状況の解説者というところでしょうか。
まるで寅さんみたいな秋津のべらんめえ口調と、優しく論理的な野田の話し方が絶妙なバランスをもたらしていました。
そういえば野田を演じた吉岡秀隆さんは『男はつらいよ』のレギュラー出演者で、名優:渥美清さんとの共演が多かった人です。
べらんめえ口調に対するリアクションが上手いのも納得ですね(笑)。

『ゴジラ-1,0』山田裕貴
水島四郎(演:山田裕貴)
「俺も乗せてください!。俺もこの国を守りたいです!。」


「若い者を死なせるわけにはいかない」という理由でわだつみ作戦参加を許されなかった水島が叫んだセリフです。
水島は敷島の仲間で唯一人戦争経験がありませんが、彼の「国を守りたい」という純粋な気持ちが溢れていました。
水島の世代は、軍国教育を受けて育ちながらも出兵前に終戦を迎えたため人生の大きな目的を見失いました。
この世代の人たちの頑張りが戦後の日本経済をモーレツな勢いで再興したことは事実ですが、その根底には常に「戦争に参加出来なかった」悔やしさ歯痒さがあったのだと思います。

特殊任務艇:新生丸のクルー4人はまるで兄弟みたいでした。
主人公:敷島を中心に、冷静で包容力ある長兄(野田)、口は悪いが真っ直ぐな性格の次兄(秋津)、ヤンチャな末弟(水島)。
この4人のバランスが良かったからこそ自然に入り込めた気がします。

『ゴジラ-1,0』安藤サクラ
太田澄子(演:安藤サクラ)
東京大空襲で夫と子供3人を失った未亡人。
最初は復員してきた敷島に嫌味を吐いて罵っていたものの、典子が連れてきた赤ちゃんに母性本能を刺激されて優しくて頼れる女性に戻っていました。
その澄子が典子生存の電報をわだつみ作戦で生き残った敷島の元に届けるシーン。
ここで「早く行っておやり!」なんてセリフがあったら台無しになるところですが、セリフは一切無く涙目で敷島の肩をバシバシ叩きながら電報を手渡すだけという俳優さんの表現力を信じた演出をしています。

『ゴジラ-1,0』青木崇高
橘宗作(演:青木崇高)
この映画で私を一番泣かせてくれたのは実はこの人でした。
元は大戸島基地の敏腕整備士でしたが、最初のゴジラ襲来の際に敷島が怯えて銃撃出来なかったせいで部下全員を失います。
そのため敷島を恨み続けていましたが、敷島の決死の覚悟を知って局地戦闘機「震電」の整備を請け負います。
そのとき、橘は特攻機には無いはずの脱出装置を付け加えていて敷島に告げた言葉は「生きろ」でした。
ラストで敷島の生還を知ったときの彼のグシャグシャに崩れた表情が最高でした。

『ゴジラ1,0』浜辺美波
大石典子(演:浜辺美波)
「私の両親は火に焼かれながら私に”生きろ”と言いました。だから死んでは駄目です。」


最初はガサツな言葉遣いの生意気な少女として登場しますが、徐々に美しさと母性を合わせ持つ女性へと変化していきます。
正直、映画の前半は彼女を見ているだけでシアワセな気分になれました(笑)。
中盤、敷島を庇って爆風に吹き飛ばされたときは「ええええ?、『シン・仮面ライダー』に続いてまた途中退場か!?。」とガッカリしましたが、最後の最後に奇跡的に生存していたことが判明。
しかし、喜びも束の間、そのうなじには何やら不気味なアザが浮かび上がっていました。

「浩さんの戦争は終わりましたか?」
このラストのセリフには、母性を感じるとともに何かの始まりも感じさせます。

『ゴジラ-1,0』明子と典子
典子と並んでこの映画のビーナス的存在を担っていたのが幼い明子です。
この子役さん、ときどき目線があさっての方向を向いたりもしますが、そこはそれ幼い子供なのでそれもまたリアルです。
典子の葬式シーンでは本当に泣いていたように見えました。
何かの拍子で本当に泣いた瞬間を捉えたのでしょうか?。
だとしたら、その場の大人の俳優陣が即座にアドリブで演技したことになります。
この子を中心に出演者とスタッフのチームワークが培われたのかも知れません。

『ゴジラ-1,0』ゆきかぜ艦長
あと、旧・日本帝国海軍駆逐艦:雪風の艦長を演じた田中美央さんという俳優さん。
先日の記事に頂いたコメントで初めて知ったのですが、なんと私が卒業した大学の後輩でした。
とても印象に残る役だったので今後も活躍の場が増えそうで楽しみです。

駆逐艦 雪風
ちなみに、雪風は計16回の海戦に参加して戦果を上げつつ一度も損傷を受けずに終戦を迎えたことで「奇跡の艦」とか「幸運艦」と呼ばれた艦艇です。
あと、『宇宙戦艦ヤマト』ファンには主人公の兄が乗艦していた船の名として記憶に刻まれています。
その雪風の参加が決まった時点で海神(わだつみ)作戦の成功は約束されていたのかも知れません(笑)。

『ゴジラ-1,0』”都合よく”典子を助けに現れる篠田
あと、昨年5月の長野県での撮影に一緒に参加したエキストラさんの一人を画面の中に見つけることが出来ました。
私のすぐ横に居た埼玉県の人で、ゴジラに追われて必死に逃げる群衆の中に彼の姿がありました。
YouTUBEで何度も見た予告編にも入っていた場面でしたが、やはりIMAXの大画面だと一人一人の顔や衣装がはっきり分かりますね。
とても懐かしい気持ちになりました。
あと、最初の方に出てくる復員船でうなだれている兵士の中に、京都や滋賀、そして福井での映画ロケで何度もお会いしたベテランエキストラの方の姿がありました。
こうして撮影で知り合ったお仲間たちとスクリーンの中で再会出来ることも楽しみの一つなので、出来る限り大きな画面で何度も見返したいと思います。

山崎監督と神木隆之介inハリウッド
山崎貴監督と主演の神木隆之介さんがハリウッドサインの前でゴジラポーズ!。
『ゴジラ-1,0』はアメリカでも上映されることが決定しています。
本編でアメリカ軍がほとんど登場しなかったのは、米軍をやられ役にしたらアメリカでの興行に悪影響すると考えたからかも知れません(笑)。

『ゴジラ-1,0』ハリウッドでスタンディングオベーション
プレミア上映後は観客から熱烈なスタンディングオベーションを受けたそうです。
『シン・ゴジラ』はアメリカでの受けが悪かったそうなのですが、今度の『ゴジラ-1,0』は世界規模での大ヒットも狙えそうです。
また、米国で一般公開もされるとのことなので、アカデミー賞外国映画部門のノミネート対象にもなるそうです。
そしてそれはつまり、この映画に3カット映っている私の姿も世界中の人に見てもらえるということであり、アカデミー賞作品の一部になれるということでもあります。
おおっ、エキストラとはいえど、私も遂に世界デビューか?(笑)。
これからも演技を磨いてエキストラに精進するぞ、と誓うトガジンでした。

「ゴジラ-1」ムビチケ2枚
あと、今回の鑑賞ではせっかく買ったムビチケを使うのをすっかり忘れていました(汗)。
慣れないことするとダメですね。
まあ、『ゴジラ-1,0』はあと10回は見に行くでしょうからそのうち使うといたしましょう。


m(__)m
今週もお付き合いいただきありがとうございました。
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